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- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003360477
感想・レビュー・書評
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訳者の方の註の労力を鑑みて星5だが、アリストテレスの著作単体で考えると星3か2。というのも、史実的に誤りが散見されるらしく、読んでいていちいち註を参照しなければ飲み込めないのがストレスだった。また加えて本書の記述は、国制に関する事項のいわば羅列に止まるものがメインで、戦争や経済といったその背景に対するものが極端に少ない。これでは、歴史動態としてはまるで見えてこない。アリストテレスらしからぬ(といっても自分は2,3冊しか他に読んだことはないのだが)印象を受けた。
だが一方で、やはりアテナイの行政の一端を伝えているという点では、一級の価値を持つ。アテナイが、社会保障や、家庭内暴力に対する保護といった先進的なスキームを持っていたことには驚かされた。他方で、道路建設係など、本当になんでもかんでも役職を籤で決めたり、殺人を犯した動物はおろか石のような無機物まで国外追放に処すルールがあったなど、愉快な部分も多々あった。
いずれにせよ、民主制の運営がいかに大変かということを現代の我々に投げかけてくれるという点において、本書は2400年ちかく経ってなお読まれるに値する書だといえよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和十二年の旧版(当時・改訂版)「アテナイ人の国家」(原随園訳)。
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