ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003363928

作品紹介・あらすじ

晩年のニーチェ(1844‐1900)がその根本思想を体系的に展開した第一歩というべき著作。有名な「神は死んだ」という言葉で表わされたニヒリズムの確認からはじめて、さらにニーチェは神による価値づけ・目的づけを剥ぎとられた在るがままの人間存在はその意味を何によって見出すべきかと問い、それに答えようとする。

感想・レビュー・書評

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  • 独特の語り口で難解な論を展開していく本。読んで疲れた。途中から癖になるが、また疲れて、を繰り返していた。

    真理への追究、「神は死んだ」後の我々の生きる道に対するニーチェの考えは示されているのだと感じた。自らがいかに高みに向かうか、が問われる。

    なお、女性に対する考えは現代には合わないのだろうなと思う。

  • 以前、『道徳の系譜』やらニーチェ解説本やらを読んでいたときは、個人的に「魂の救済」をテーマに読書をしていたので、やたらキリスト教を否定するニーチェの良さがよくわかっていなかった。ニーチェの思想で弱者を救えるかよ、と。

    本書を読んでわかったことは、ニーチェの思想は決して「強者の論理」というわけではない、ということ。
    むしろニーチェは弱い人間が強くなるための思考法を提示しているのであって、「超人」思想を説く主人公のツァラトゥストラでさえ、理想的な強い人間(=超人)には完全にはなりきれていないと思わせる箇所があった。
    「俺のように強い人間になれ」というよりも「俺と一緒に強い人間になろう」と言われているような気がした。

    ニーチェの超人思想を社会論的に発展させたのがオルテガの大衆批判だと思っている。
    ニーチェの超人思想には「他者とのかかわり」という視点が無視ないし軽視されている点がいかにも玉に瑕という観もなくはない。
    が、やはり「超人になろうとする意志」は個人の心の中に留めておくのが無難な気がする。
    「私はいまや超人であるぞ」と認定できるのは自分自身のほかにない。
    加えて、大衆批判は「自己言及のパラドクス」の危険を常に孕んでいる。

    「そしてわたし自身も仮想してあなたがたのなかに坐っていよう。――そしておたがいに姿を見せないでおこう。これがすなわち、わたしの最期の処世の術である」(p252)

    冒頭に「だれにも読めるが、だれにも読めない書物」とあるとおり、文章自体は平易だが書かれている内容は難解極まりない。
    半分も理解できたかわからないが、読むたびに違った発見がありそうな気がする。
    時間をおいて再読するのが楽しみな本、ということで!

    下巻に続く

  • 上巻を読むのに2ヶ月かかってしまった。(前からわかっていたことだが、)このような本を理解するには、時間をかけて読んでは個々の印象が薄れてしまうから、寧ろ短時間に集中して読み、それを繰り返さなければならないと思った。…そういう訳であまり内容は理解できていないのだが、それでも少しでも理解してみたいと思わせてくれる本ではあった。何度でも読み返したい。詳しい感想は、(書けそうなら)下巻を読破してから。

  • ニーチェの文体を初めて読んだ。詩的な文章になかなか翻弄されたが、中程まで読んだ頃には段々とそのリズムが心地よくなっていった。
    言っていることは正直よく分からないが、私の乏しいキリスト教の知識と当時の時代背景を考えながら、ニーチェの語る哲学に想いを馳せてみた。
    ユダヤ教の価値観が飽和して、惰性的に割礼の有無だけで信仰を判断するようになってしまった世の中でキリスト教が生まれた。ニーチェのツァラトゥストラは、その後のキリスト教の価値観が飽和した社会においてまた先祖返り的にゾロアスターの名を用いて、キリスト教の負の部分を払拭したいと考えたのではないか。などと考えながら読んだが、ニーチェ研究の書などもっと詳しく読んでみたいと思う。

    さて、頑張って下巻も読破しよう………

  • これは最後の解説を先に読むことをオススメする。訳者による名解説になっている。

  • 高校の倫理を一通り受けて、興味が出たニーチェの代表作ということで読み始めた。解釈が難しい文章で、一ヶ月かけて、ちまちま読んだが、全然頭に残っていない。所々高校の授業で出てきた思想が出てきて読みやすくなったものの、全体を通して何を言いたいのかさっぱり。。
    こういう書評は低レベルであることは心得ているが、これからこの本を読もうと思っている同志に向けて警鐘の意味を込めて書いた。
    ニーチェの入門書を読んでからまた読み直そうと思う。 

  • ニーチェの鋭さの中に少しの狂気も感じる。


    人生生きることは、悩むことに過ぎないとある者は言うが、それなら人生をたんに悩むだけになるように用いたらどうだ!

    死の説教者が、他人の人生をおのれの贈物の鎖でもってますます束縛するとは何事か!

    そうした連中は、人生からの脱出を説教するとともに、自らも立ち去ってくれることを私は望む!と。




    女は謎、だが謎を解く鍵は一つ、それは妊娠。
    女にとって男は一つの手段である。目的は常に子供。「わたしは超人を生みたい」ということでありなさい!と。

    男性は危険と遊戯を求める。だから、女性をもっとも危険な玩具として求める。

    男性は戦いのために教育され、女性は戦士である男性の休養のために教育されなければならない。それ以外一切は、愚劣。

    男性の幸福は「われは欲する」
    女性の幸福は「かれが欲する」

    女性は服従することによって、みずからの表面に対する深みを見出さなければならない。

    と。

  • 超訳ニーチェシリーズを読んでからのツァラトゥストラ。
    少しは理解できるかな?と思って読んでみたけど、私の理解力では追いつけなかった(笑)
    他の方々の感想を見ていて、本文を理解し、楽しんでおられる方が羨ましく、
    私もそこのレベルまでいつかいきたいなと思った(笑)
    言葉の意味を理解するのにも時間がかかり、
    何度も読み返して咀嚼していかないといけない本だなと思った。
    噛めば噛むほど味わえる、スルメみたいな本だなと思った。
    私も超訳とかではなく、そのままのこの文章を自分の中に落とし込んでいって、
    自分なりの解釈を考えることを楽しめるように、
    ツァラトゥストラと対話できるようになりたいな。
    「今のレベルでは私はこう思った」という感想も大事にしたい。
    また再びこの本を挑戦するときまでに、たくさんの本を読み、
    成長した自分がまた読んでどう思うのか?ということも楽しみだなと思った。

  • 自ら善悪を判断(創造)し、苦しいことは幸福として受け取り、それを自ら超克せよ。→これが上巻を超要約した感じはこんなんかなーー。

    ・今我々が立っている大地に目を向けろ(「神は死んだ」)

    ・自分自身を喜ばせることをしろ、そうすれば人を悲しませたりすることはなくなる

    ・人間は平等でもなく、平等になるべきでもない→超人への愛があるから。最高の戦いをして、自己自信を超えて高みを目指さないといけない。意志がとても重要(真理への意志、力への意志)。

    ・善悪は自分自身で自分自身を繰り返し彫刻しなければならず、また善悪において創造者とならなければならない者は、まずは破壊者となってもろもろの価値を壊さなければならない。→最高の善意には、最高の悪意が必要になる。こうした最高の善意こそ創造的な善意

  • 永遠回帰、超人といった概念を、ニーチェらしい力強い言葉でわたしたちに提示してくれています。
    ニーチェについてほとんど知らない状態で読み始めてしまったのでその難解さに折れかけましたが、解説書も併せて読み出したら存外楽しむことができました。弱いものが正しいとするのはおかしくないか、善悪を自分で定める者になれ、など現代社会にも必要とされる前向きな考えを読者に与えてくれるもので、非常に感銘を受けました。

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著者プロフィール

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche)
1844年10月15日 - 1900年8月25日
ドイツの哲学者、古典文献学者。近代がはらむ問題を一新に受け止め、古代以来の哲学との対決に挑み、実存主義の先駆者、生の哲学の哲学者として知られる。その思想は20世紀に続く様々な思想に衝撃と影響を与えた。
代表作に『悲劇の誕生』『道徳の系譜』『ツァラトゥストラはこう言った』『善悪の彼岸』など。

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