この人を見よ (岩波文庫 青 639-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003363966

作品紹介・あらすじ

『この人を見よ』が書かれたのは1888年の秋、ニーチェ(1844‐1900)44歳のときであり、以後彼は死の年まで11年間を狂気の闇に生きることになる。この破天荒な自伝は、あらゆる価値の根本的転換を説きつづけたニーチェの全思想について自らなされた解明であって、われわれはこれによって彼の内面的全体像を把握することができる。

感想・レビュー・書評

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  • ニーチェ自身がニーチェについて語る。書名の「この人」とはニーチェのことであり、当時世間から理解されることが少なかったニーチェが「(愚民ども)この私を(もっと)見よ!」と言っている。(笑)
    「解説」を読むとこんなにも深淵な大望が記されているのかと思いをいたすが、普通に読んでいると随所で笑いがこみあげてくる。(笑)
    章立てをみると、
    「なぜわたしはこんなに賢明なのか」
    「なぜわたしはこんなに利発なのか」
    「なぜわたしはこんなによい本を書くのか」
    といった感じでこれだけでも抱腹ものだ。(笑)
    「ひとにわたしのことを悪く思わせる技術を、どうしても身につけることができなかった」ニーチェさん。(笑)食べ物を通した比喩を記しているのかと思えば、本当に好きな食べ物の話を延々としているし・・・。(笑)「ドイツ人」や「キリスト教」へのねちねちと執念深く罵声を浴びせたりなど偏執ぶりもさることながら、数千年にわたる人類歴史のなかで最強の天才であるという自分自身への躁的誇大的な自画自賛を読んでいると、就寝前読書としては笑いがこみあげてしまい困ってしまう。(笑)
    ニーチェにとっては「ツァラトゥストラ」像は、辿りつくべき理想像なのですね。というか自分自身の仮託でしょうか。自身の概念であるディオニュソス的たらんとする思いだけはとっても強烈に伝わった。
    余談だが、ギリシャ神ディオニュソスは別名バッカスで、ワインの神。酒を飲まなかったというニーチェだが、バッカス「好き」なところは同感する。(笑)

    • lacuoさん
      ニーチェは、我ら酒好き、ワイン好きの最強の味方ですよね?

      だって、ディオニソスの支持者ですから。

      この本は、私も大好きなんです。...
      ニーチェは、我ら酒好き、ワイン好きの最強の味方ですよね?

      だって、ディオニソスの支持者ですから。

      この本は、私も大好きなんです。

      ニーチェのように苦痛に満ちた人生を、こんなにハッピーに表現できるなんて、最高のアーティストだし、最高の哲学者だ。
      2015/03/15
    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!

      本書は笑いがこみあげてきてなかなか寝付けなかった思い出がある本...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!

      本書は笑いがこみあげてきてなかなか寝付けなかった思い出がある本です。(笑)
      酒に酔っぱらえなかった人間が、心の底から最高に酔っぱらっている。うーむ、ぶっ飛んでいてとても面白いですね!(笑)
      2015/03/15
  • 今まで感じたことがないような凄みを感じました。難しくて分かりにくかったというよりもニーチェ氏の考えについていけなくて分かりにくかったです。おいおいとツッコミたくなるような部分も多いので信じるか信じないかは読んだ人次第だと思います。

  • 途中から気付いたけど明らかに読む順番を間違えた
    主要著作を読んでから改めて読み直したい
    誰かそういう色んな人物の読む順番をまとめた本とか出してほしい

  • すごいこと主張する人だな、と感じる一方で、この人のことをもっと知りたいと思いました。本の作者に対してこんな感情を抱いたことに、ちょっと驚いています。

  • とても読みやすい。しかし、俺は絶対にニーチェ主義者にはならないしなれないのだと思った

  • この狂気には最早お笑いだとしか思えない方も多いだろうと思う。
    論理的矛盾も多く、病的なまでに自意識過剰だ。
    しかし、狂気こそが体系を破壊し、要素の抽出、肥大化によって思想を再建するのだ。
    あらゆる矛盾が、矛盾したまま同居することが真理なのである。
    多分に危険を孕んだ書である。生への渇望、その熱量に圧倒された。
    ニーチェは哲学者というより文学者と言うべきだろう。

  • 自伝でとっつきやすい。
    しかし永井均がニーチェについて言ってたことが少しわかった気がした。
    ニーチェの人間味が溢れている

  • ポール・ヴェーヌによるフーコーは、あらゆる既成の真理とされているもの、さらにはもちろんあらゆる権威を徹底的に疑う者、つまり真正ニーチェ主義者とされたのだった。
    そして、さかのぼって、このニーチェ自身によるニーチェ。自作に対する尋常ならざる自負心を込めた饒舌は、まるで菊地成孔さんだが(笑)、発狂直前のこの明敏過ぎるスパークに、フーコーばかりでなく、後世は最大限の賛辞を贈らなければならないのだ。
    ニーチェが牙をむいたのは、キリスト教よりもむしろドイツだったことを改めて確認しよう。ワーグナーからの離反とともに。
    そして、ニーチェは確かにキリスト教を攻撃したけれど、キリストその人に対してはそうではなかった。むしろ時代の受難者として、自己を模していたのではないか、との訳者の指摘に納得する。
    ニーチェの超人は、後期フーコーに至ってより現実的に新たな自己の倫理の探索にとって変わられた。それは未完のまま、わたしたちの前に残されたままである。

  • いい感じに思想的なものに飽きてきた。しかし、新しい楽しみ方を発見した。現実逃避しがちなときにここまでのがちがちの思想系の文章を読むことによって「ここまでではないな」ということで現実世界に戻ろうとする自発性が生まれるらしいのである。先人の絶望との格闘履歴に感謝。

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