たいした問題じゃないが: イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫 赤 N 201-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003720110

感想・レビュー・書評

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  • イギリス4人のエッセイストアンソロ集。4人とも英国人らしい皮肉めいた感じは共通しているが、それぞれ個性があると思う。物語的で面白いのはミル(くまのプーさんの作者らしい)だが、個人的には一瞬フフッと笑えるルーカスが好み。ガードナーは「なんだこのオッサン」という印象で、リンドは「そうかそうか貴方がそう思うならそうなんだろう」と言いたくなる。
    エッセイとはいえ、さくらももこのような爆笑エッセイというわけでもないので、電車の中で構えて読むのに丁度良いと思う。そういえば表紙が他の岩波文庫と違うな・・・。

  • イギリス人のユーモア、100年経っても色あせず。

    ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの四人のエッセイが集められているコラム傑作選。後書きにもあるように、確かに英語の長文読解にありそうな文章。以下、面白かったのをいくつか。

    ガードナー「通行規則について」On the Rule of the Road
    自分の自由を許されるためには、自分の自由が制限される。自由というのは、他者への配慮があってこそ。

    ガードナー「『どうぞ』をつけるつけない」On Saying "Please"
    上の「通行規則~」はルールの話。今度はマナーの話。礼儀正しくしろという法律はないけど、社会的な慣習として、むしろ法律以前のもの。礼儀正しくすることで、周囲の人の心を穏やかにして、よい作法が伝染する。人はどのように扱われるかで、変わるという、マイ・フェア・レディやミーマイを思い出した。

    ルーカス「思いやり学校」The School for Sympathy
    盲人になって一日過ごしてみる。耳、口、手、脚など色々と不自由になったと仮定して過ごすことで、気遣われる方も気遣う方も、思いやりを学ぶ。

    リンド「時間厳守は悪風だ」The Vice of Punctuality
    ものすごい皮肉。確かに時間厳守で過ごせば遅刻しそうで焦ったり怒られて精神的ダメージを受けたりしないけどさ。時間厳守は自分勝手! そりゃ、相手が時間にルーズだと、自分が不愉快な思いをするものね。

    リンド「キャンデー」Sweets
    子どもにとってお菓子屋さんって夢の世界。キャンディーは夢。まさに。どんなキャンディーもきらっきらしている。リンドと握手したい、。

  • 癖はついた方が良い、という話しや、時間厳守は怠惰である、など面白い。さくっと読める。冬に書かれた朝寝論は寝坊助は必読だろう。

  • 肩のこらない、良識あるほんのりユーモアコラム。コラムそのものはその程度としか思わなかったけれど、これを80〜90年ほども前のイギリス紳士たちが、三つ揃いに帽子にステッキという格好で、ふむふむ読んでいたのか…と思うと、…これは楽しまざるを得ない(笑)
    英国が好きな人は、読めばいいと思う。

著者プロフィール

行方昭夫(なめかた・あきお)
英文学者、翻訳家。1931年東京生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学名誉教授。ヘンリー・ジェイムズやサマセット・モームなどの翻訳のほか、その正確な読解力で雑誌「英語青年」の英文解釈講座を長年にわたり担当する。

「2019年 『モナリザの微笑 ハクスレー傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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