幼なごころ (岩波文庫)

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制作 : 岩崎 力 
  • 岩波書店 (2005年4月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003750513

幼なごころ (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて手にとって見ました。 幼い心、若い心の情景のアンソロジー
    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50066508&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 寡聞にして知らなかったが、ラルボーはジッドやプルーストにも絶賛されていた「作家に愛された作家」らしい。ただ本人が大作家となることを望まず、「小さな作家」でいることにこだわったのだとか。なるほど。
    タイトル通り、少年少女たちを主役に据えた作品ばかりを収めた短編集。と言っても純粋無垢な美化された「子供」ではなく、幼さゆえの残酷さや狡さもきちんと描かれている。まあ「少女」については「少年」に比べて美化されている部分もあるが、それは致し方ないかな。
    また、どの作品も明るめの色調ではあるが、読後の印象は微かに苦い。その辺りがリアルで、読んでいるうちに、子供の頃の感覚が呼び起こされた。退屈な授業が始まる前の憂鬱、「見えない友達」、残酷な意地悪、庭に作った自分の「王国」――。きらきらと眩さに溢れているものの、その季節が過ぎ去った後間もなく大人となる予兆も秘めていて、どこか切なく映る。
    好きな作品は「ローズ・ルルダン」「包丁」「偉大な時代」「十四歳のエリアーヌの肖像」。
    特に「包丁」は代表作だと言われるだけあるなと思う。この作品にプルーストが衝撃を受けた、ということを事前に耳にしていたので、どんなに激しい展開になるのだろうと緊張しながら読み進めた。そのため目立った大きな波乱のないまま迎えた結末には、最初は少し拍子抜け。でも読後じわじわと余韻が広がっていって、気付けば強い印象を残していた。
    仮にミルーが一途に想いを抱き続けたとしても、彼の身分から、恋の行方は最初から分かっている。だけど大人になった彼の指に、傷跡が微かにでも残っているといいなと思う。結婚指輪を填めたその下に幼い恋の跡があるなんて、何とも象徴的でいいじゃないか。見るたびに、かつて避暑地で出会った「身分違い」の少女達の姿を思い出してくれるといいな。

  • 1169夜

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