艶笑滑稽譚 第二輯――明日無き恋の一夜 他 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003750841

作品紹介・あらすじ

「恋よ、笑いよ、喜びよ、よき滑稽話よ」-身分違いの恋人たちの命をかけた一夜の逢瀬、中世の「淫夢魔」の謎めいた裁判記録、フランソワ・ラブレー師の最後の説教…。典雅な言葉に、きわどい諷刺、人間社会の根幹をえぐり出す、天衣無縫の第二輯(全3冊)。

感想・レビュー・書評

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  • 450頁程度の中に、序跋除いて十篇収録だけど、第九話め『淫夢魔裁判録』だけで約100頁。これがなかなか楽しく読ませる構成。ただし内容が解ってくるにしたがって苦さに笑えなくなる。まったく人の世に、神も仏もねぇッ! 第一輯の最初の頃は、訳の読みにくさ(ただし、意図がある訳なので致し方ないが)・不必要なまでのルビの多さと格闘していたけれども、いつの間にか慣れたのか、普通に読んでる自分にふと気がついたり。

  • R17指定岩波ワンダーポルノ文庫

    パート2に入ってバルザック選手のエロ噺のおもしろさといかがわしさはますます快調なり。

    第八話の「ムードンの司祭の最後のお説教」もかのフランソワ・ラブレー師に仮託した文豪の筆が異常なまでに冴えわたり、当時の権力者たちを徹底的にパロった皮肉な諷刺が見事であるが、もっと凄まじいのは第九話の魔女裁判の顛末じゃ。

    ムーア人の超絶的美女が次々にお固いカトリック司祭や王侯貴族たちを色香をおとりに血迷わせて陥落させ、もうもう天国も極楽もどうでもよい、お前様とまぐわうことさへ出来れば地獄の底までついていく、ああ、いくいく、いくう、と、それこそ神も仏もない邪教淫魔伏魔殿の酒池肉林濡れ蒸れ肉布団の狂乱アモラル疾風怒濤の人間本質暴露の原風景が繰り広げられていく。

    そこでは「すべての者がありとある悦びの叫び声を発しあいながら、お互いに一体化し、楔の如くしっかり嵌まりあいつつ、重なり合う」のみならず、「あらゆる女の天体と男の天体が身を交え、そこから流れ出す精液の星の群れも垣間見えている」そうな。

    どうだ、参ったか。とバルザックが言うた言わなかったかは、誰も知らないけれど、どうしてローマ教会が発禁処分にしなかったのか分からないR17指定岩波ワンダーポルノ文庫であります。

    ああいくいくいくうこれがいちばんいいのよなぞとおめきつつ昇天したり 蝶人

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著者プロフィール

オノレ・ド・バルザック
1799-1850年。フランスの小説家。『幻滅』、『ゴリオ爺さん』、『谷間の百合』ほか91篇から成る「人間喜劇」を執筆。ジャーナリストとしても活動した。

「2014年 『ジャーナリストの生理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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