自由への道(六) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751060

作品紹介・あらすじ

敗戦。独仏国境付近で捕虜となった兵士たち。飢え諍い諦めが支配する収容所、その組織化に着手する共産党員ブリュネ。だが独ソ不可侵条約が党の方針を変え、「異端者」に唯一残されたのは、「裏切者」との"奇妙な友情"だった…。未完の大作、全六冊完結。

感想・レビュー・書評

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  •  最終巻。読めば分かるし、訳者が度々触れるように、「自由への道」にここから先の物語は存在しない。ファシストも、共産主義も肯定しない。自分の好きなサルトルがここにはあったように思う。
     実存主義がどういうものなのか知らないし、ヤスパースやガブリエル・マルセルのものと、サルトルの<<Existentialisme>>がどう異なるかはキリスト教がどう関係するか、という点で生じるという事しか知らない。ただ、この本(達)から見えるサルトルには、「かつての哲学者の述べた、存在やもろもろのものは現実の世界とどうリンクしているんだ?」とでも言わんばかりだった。また、お前はファッショなのか?ナチなのか?コミュニストなのか?…というレッテル張りを拒否し、あくまで実存を強調している。
     実存がそもそも存在するのかどうかという問いは非常に答えにくい。しかしそれが存在することを仮定し、人間を見る事。これは非常に重要なことなのではないだろうか?大学教授だから偉い、マスコミだから信頼できる、政治家だから信用できない、といったような偏見(厳密には、Walter Lippmannの言うStereotype)からだけではなく、個々人の本質を見抜こうとする姿勢、それこそが重要なのではないか?これこそ、サルトルの宣言<<L'existentialisme est un humanisme.>>―実存主義はヒューマニズムである―に他ならない。やっぱり、僕たちはまだまだサルトルを超えてなどいない。。

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