大西祝選集I 哲学篇 (岩波文庫)

制作 : 小坂 国継 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003811313

作品紹介・あらすじ

大西祝(1864‐1900)は、明治中期の哲学界、論壇を代表する思想家。大西の登場により、日本哲学はようやく論理化・体系化の段階に入る。徹底した批判精神と鋭利な思索力によって、学問と良心の自由を擁護し独自の理想主義を展開した。36歳で急逝した思想家の精髄を初めてまとめる。本篇には代表作「良心起原論」と、哲学、美学、心理学等の論文を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 小坂国継編『大西祝選集I 哲学篇』岩波文庫、読了。近代日本思想史における最初の哲学者大西祝、初の文庫選集化。徹底した批判精神と鋭利な自前の思考力で、独創的な理想主義を展開したその思想に光が当てられることは嬉しい。Iには主著『良心起源論』のほか哲学・美学・心理学の諸論文を収録。

    姉崎正治は36歳で夭折した大西に対し「一夜づくりの者はよく出来ても、やはり一夜づくりなり、三年かゝれば三年、五年かゝれば五年、其だけの産物たる価値あり」と追懐。共に井上哲治郎門下であるが、大西は井上らの「速成の著書」と対峙し続けた。

    「自分自身の行為に就て良心に咎めらるるてふ心識を発起せしことなくして、他人の行為を見て良心に咎めらるるてふ心識を発起すと云うは、是れ天地を顛倒すると云ふものなり」(『良心起源論』)。

    国家権力を盾に他の学説と争おうとする井上と調和するはずがない。編者は井上との不和・確執に大西が帝大に残らず、「良心起源論」提出・発表を見送ったとみる(解説)。IIは「評論篇」、IIIは「倫理学篇」。大西の全貌明らかにする選集刊行を言祝ぎたい。

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