日本人の心理 (岩波新書 青版 149)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004120629

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  • 戦後間もない時期1953年の日本人論。書中で引用されている論者たちが古く旧仮名遣いが多いが、今も昔も同じ、今読んでもなるほどと思う。長いものに巻かれろ意識と滅私奉公(忍従)、日本人の不幸感(幸福感よりも)、非合理主義と合理主義、精神主義と肉体主義についての論述は70年を経ても変わっていないのだ!日本人が幸福な状態についての生活感情が薄い!とは絶妙だ。一方で、「楽」とは心配がないこと、消極的な「安楽」の意味とのこと。その中での「あきらめは絶望・失望ではなく、いつも【最悪】を予想している態度」「断念ではなく、普段から覚悟を決めている」のは思い当たるところが多い。「日本人は人間社会の不幸を自然の中に慰めを求めることから自然を愛する」との主張もなるほど!やくざの世界の非人間的な世界を悲壮な運命とし、罪悪感を薄くしているとの指摘も苦笑い。精神と肉体では、軍の精神・肉体主義と恋愛(性愛)にまで共通した説明が実に面白い。あまり読んだことがない日本人論であり、古い書物ながら新鮮だった。

著者プロフィール

ジャズ・ピアニスト、作曲家、エッセイスト
1960年東京生まれ。1986年東京音楽大学器楽科打楽器専攻卒業。
ピアノを宅孝二、クリスチャン・ジェイコブ、スティーヴ・キューンに師事。1988年バークリー音楽大学から奨学金を得て渡米。ボストンを拠点に活動する。1991年バークリー音楽大学パフォーマンス課程修了。1990年代からはスイス、フランス、ドイツ、デンマークなどに活動の範囲を拡げ、ヨーロッパのミュージシャンと交流、ツアーを敢行。国内では自己のグループ「GO THERE」をメインに活動、綾戸智恵、菊地成孔、ジム・ブラック、クリス・スピード、与世山澄子との共演でも知られる。
文筆にも定評があり、著書に『白鍵と黒鍵の間に──ジャズピアニスト・エレジー 銀座編』(小学館文庫)、『鍵盤上のU.S.A.──ジャズピアニスト・エレジー アメリカ編』(小学館)、『マイ・フーリッシュ・ハート』(扶桑社)、『パリス──ジャポネピアニスト、パリを彷徨く』(駒草出版)がある。

「2021年 『音楽の黙示録 クラシックとジャズの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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