平等に憑かれた人々―バブーフとその仲間たち (岩波新書 青版 852)

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著者 : 平岡昇
  • 岩波書店 (1973年3月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130277

平等に憑かれた人々―バブーフとその仲間たち (岩波新書 青版 852)の感想・レビュー・書評

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  • 2013年5冊目

    フランス革命の中で、最初に所有権の廃絶を唱え、完全な平等を求めた人々の軌跡を追う。本書の中ではバブーフ、ブオナロティ、マレシャルが紹介されている。
    バブーフはフランス革命の末期、ロビスピエールが殺され、総裁政府が樹立したのちに、所有権の廃止を掲げつつ政府の転覆を目指した。

    本書の感想としてはまず時代の流れを追うことのむずかしさを感じる。フランス革命は1789年に始まり、バブーフの逮捕は1986年と革命が始まった7年後であった。革命の勃発に伴い、封建制度が打破され、自由・平等・友愛を掲げる人権宣言が採択された。その頃の革命は希望に満ち溢れていたのではないだろうか。しかしながら物事は思うように進まない。封建制度が打破され、平等な社会が希求されたが、のちの憲法では銀貨マルク法により受動市民と能動日民という、税負担に伴う差別が行われ選挙権が制限されていた。貴族社会からブルジョワのための社会の成立である。そのため、フランス革命により平等主義的なものを期待していた人々はひどく落胆したに違いない。この中で、ロビスピエールが政権を握る。彼は所有権の廃止こそ訴えないが、一般市民の立場から物事を論じ、ブルジョワの支配をよしと思わなかった。しかしながら、戦争という非常時とはいえ、その独裁的、そして血にまみれた統治のあり方は市民を疲れさせた。完全な平等は実現されないが、以前より平等にはなった。もう革命にはうんざりしてきた。再び血を流すことで政府を転覆さえ、平等を勝ち取ることにどれだけの意義があろうか。それがロビスピエール死後の1794年当時の一般市民の考え方であったのではないだろうか。
    バブーフの陰謀、すなわち平等主義的な社会の武力による実現は、先述した時代背景をもとに行われた。平等という当時の人々が夢見たものであるにしても、革命は人々を疲れさせた。当時の民衆はそれを実現するだけの意思を持たなかったのではないだろうか。総裁政府によりこの陰謀は露呈されバブーフらは逮捕され、この一幕は終わる。思想自体の問題ではなく、当時の時代背景から実現墓容易ではなかったのである。(もちろん思想自体の実現困難性は当然にあるが。)

    しかしながら、バブーフの功績を忘れてはならない。今まであった平等主義の考え方を徹底させ、それを初めて実現しようとした。共産主義の登場がここで表れる。
    また、革命から取り残されていた下級市民を救済し、平等を実現しようとした意味で価値がある。革命の流れに伴い、平民の間にも差が如実に表れてくることで、最も貧困にあえぐ層は忘れられていった。その彼らを拾い上げようとしたのが平等派はである彼らである。

  • フランス革命前後の王族と教会に対する新しい勢力の産業・金融ブルジョアが
    餓えに苦しむ農民を巻き込んだ革命劇と
    そのナポレオンボナパルト達の平等論にだまされた革命仲間たちのドキュメント

    ルソーの思想に感化されたバブーフとシルヴァンとマレシャルと
    ブオナロティなどの正義感と貧困への同情をエネルギーとした
    啓蒙活動と情報活動から地下にもぐり
    再武力革命に走って失敗するまでの記録

    封建時代の独裁政権から資本主義・軍国主義・社会主義による独裁に
    平行移動しただけの革命の結果に対して無知な農民は時代を読めずに
    啓蒙運動も下支えを得られなかったと言うことなのだろう

    未開人はまだ人間ではない。
    都会人はもう人間ではなくなっている。
    野蛮人はまだ形を成さない人間であり、都会人は形の壊れた人間である。
    素朴な人、田野の人、つまり粗野な食人種と洗練されたパリジャンの中間の人、
    それが自然人だ。
    とマレシャンが書き
    絶海の孤島のユートピアを夢みた物語が沢山出回ったらしい

  • 通称グラキュース(グラックス)・バブーフと呼ばれたフランソワ・ノエル・バブーフは、249年前の1760年年11月23日にフランス北部の貧農の子として生まれ、あのフランス革命勃発の後、正しい革命へと誘導しようとした例のバブーフの陰謀が失敗して、1797年5月27日に36歳でギロチンの刑で処刑されました。

    極貧の中で学校教育を受けられず、独学で貪欲に知識を吸収してルソーに傾倒し、やがてフランス革命という実際の出来事に誠実に対応して、コミュニズム=完全な平等という認識をもって社会主義の先駆を成した栄誉は彼に相応しいものでしょう。

    バブーフ→ブオナロッティ→ブランキ→マルクス→レーニンへと続く革命思想の端緒は、こうして最初から平等主義と武装蜂起と革命的独裁(過渡的な)を企図した真摯な態度で貫かれていたのです。

    ・・・というような感じで、トマス・モアの『ユートピア』からサン・シモンやシャルル・フーリエやロバート・オーエンやピエール・ジョセフ・プルードンやミハイル・バクーニンや、そしてマルクス・エンゲルスからレーニンへと続くこの興味深いファンタジーの変種(誰もこんな風には言っていません、私が勝手に形容しているだけです)は、その理念といい実際の過程といい、今やあまり目を向けられていないようですが、まったく破棄してしまうには惜しいものがまだまだ散見しますので、危険だとか偏向しているとかいって一蹴しないで、もっと長いスパンで大きい展望で熟考していくべきだと思いますし、それに日和見主義的ですが、何と言っても裏切り・大同団結・陰謀術策・波乱万丈に溢れた各革命・内戦・事件の実際のドキュメントの醍醐味はフィクションに代え難いものだと思います。

  • ブランキやトロツキーなど武装革命家に影響を与えた人。今更革命を目指しえいる人は読んだら面白いと思うw

  • バブーフィズムはマルクスの定義によれば、初期社会主義という範疇に属すそうですが、バブーフは自分が起こそうとした革命を達成したあと、しばらくは共産主義社会を完全実現するまでの過渡的な独裁までもを定義していたようです。
    これは、マルクスレーニン主義で定義された、プロレタリアート独裁とほぼ同じ概念です。
    やはりバブーフは世界最初の共産主義者ですね。

    バブーフはブオナロティと友好関係にありました。ブオナロティはという世界最初の職業革命家ですが、彼の定義した概念はバブーフにのみならずマルクスの科学的社会主義の理論、果ては間接的にレーニンの理論にまで影響を及ぼしました。
    また、彼は一国だけではなく世界全体に革命が及んでこそ、意義があると考えました。これはトロツキー主義に通ずるものがあります。

    すべての革命思想は、やはりフランス大革命にあるといえそうです。

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