ホメーロスの英雄叙事詩 (岩波新書 青版 615)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004140061

作品紹介・あらすじ

詩人ホメーロスの作と伝えられる雄大な物語-。神と人との戦い、英雄たちの生と死、恋と憎しみなどを描いた「イーリアス」と「オデュッセイア」。紀元前7世紀にさかのぼる歴史を背景とするこの大英雄叙事詩を、風俗習慣、言葉や文字、トロイアの遺跡などによって考証し、その成立過程、文学的価値などについて興味深く述べる。

感想・レビュー・書評

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  • 古い新書ながら、ホメーロスのテーマについて、一通りのことが結構詳しく伝えている。
    白眉は6章のホメーロス問題を論じた箇所だろう。叙事詩、口承文学の伝統のありかを詳しく論じ、理解を深めてくれる。

  • ホメーロスの二大叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』を概観し、その内容や成立背景を考証・解説した書。両叙事詩の構造や思想は勿論、作品の成立過程やその背景となるミュケーナイ・暗黒時代ギリシャの歴史についても紹介、古代ギリシャ最大の詩人が歌った英雄たちの世界を考察する。
    本書は、ホメーロスの二大叙事詩の多角的な考証を新書サイズにまとめたものである。内容は詩人ホメーロスの身上調査から始まり、叙事詩世界のモデルである古代ギリシャ(ミュケーナイ時代から暗黒時代)の歴史文化、叙事詩の成立史やその思想など様々な視点から両叙事詩を分析・考察している。ホメーロスの来歴やその活躍した時代、二大叙事詩の成立など(所謂「ホメーロス問題」)については諸説あるが、本書はそれらの論争についても分かりやすくコンパクトにまとめてあり、両叙事詩を「(それまでの叙事詩伝統の影響や後世の付加・改変の存在を認めた上で)紀元前800~750年頃実在した詩人ホメーロスによる真作」と結論付けてこれを解説している。
    本書の扱う内容は、史学・文学・思想など多岐に渡っている。しかしながらそれらは濃いながらも分かりやすく、二大叙事詩をより深く理解するのに大いに役立つだろう。私自身、歴史時代以前の古代ギリシャ史や叙事詩の構造や技法、さらには叙事詩吟唱における叙事詩人のスキルなど、興味深く感じたことが沢山あった。ホメーロスの作品やその世界にもう一歩踏み込みたいという人にうってつけな入門書である。

  • 詩人ホメーロスの作と伝えられる雄大な物語―。神と人との戦い、英雄たちの生と死、恋と憎しみなどを描いた「イーリアス」と「オデュッセイア」。紀元前7世紀にさかのぼる歴史を背景とするこの大英雄叙事詩を、風俗習慣、言葉や文字、トロイアの遺跡などによって考証し、その成立過程、文学的価値などについて興味深く述べる。

  • 古代ギリシアを代表する叙事詩「イリアス」、「オデッセイア」とその作者とされるホメロスについての長年にわたる研究の歴史を汁粉と画できる本.
     暗黒時代前後のギリシアの軍事的、経済的情勢、ギリシア神話確立以前の信仰がホメロス作品と考古学の結果から語られていて興味深い。

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著者プロフィール

1908-1973年。神戸市生まれ。東京帝国大学文学部卒業。オックスフォード大学に留学し,古代ギリシア語・印欧語比較文法を専攻。東京大学教授,武蔵大学教授,日本言語学会委員長,日本西洋古典学会委員長などを歴任。著書に『比較言語学』『ギリシア民族と文化の成立』『アルカディア方言の研究』等,学術文庫に『古典ギリシア』がある。

「2023年 『ギリシア・ローマの文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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