私の読んだ本 (岩波新書 青版 786)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004150893

感想・レビュー・書評

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  • 医師であり、リベラルな評論家としても活躍した著者が、少年期からの読書経験を語った本です。

    大正期の自由な空気のなかで少年時代を過ごし、旧制高校の学生時代にはマルクス主義に傾倒した著者は、戦後になると共産党の方針への違和感を覚えるようになり、現実の患者に向きあうなかで思想的な課題を掘り下げていきます。本書ではこのような著者のたどった道のりが、やさしいことばで語られています。

    一方で、当時のリベラリズムの限界なのかもしれませんが、甘さを感じるところもあります。戦後、天皇制の廃止を掲げた共産党に対して、「共産党員は戦術として、当時かかげることをゆるされなかった日の丸の旗をシンボルとして登場すべきだった」といい、「のちに沖縄で日の丸の旗が解放と抵抗のシンボルとなった」ことに触れていますが、ずいぶんナイーヴな言い方のように聞こえてしまうところがあるような気がします。

    そうした意味で、往年の良心的リベラリズムの実際を知るための本としても、関心をひかれるように思いました。

  • [ 内容 ]
    物心のついた明治末年から、探偵小説に没頭した中学生時代、マルクス主義にふれた高校生時代を経て、弾圧の嵐のなかで小児結核医となる。
    太平洋戦争下には軍医としてかりだされ、戦後社会的活動に積極的に参加した経験をへて現在にいたるまで、時代の動向の中でどんな本を読み、そこから何を得たか。
    読書を通じて語る自叙伝。

    [ 目次 ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「元祖・子どもと母親の味方」松田道雄医師の読書の軌跡。読書を重ねながら思想を深めていく松田医師の人生の軌跡そのものになっています。取り上げるに値する本が選ばれていると思うので、その周辺の本も読んでいるだろう・・・と考えると、読書量がハンパないです。

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著者プロフィール

著者 松田道雄(まつだみちお) 1961年生まれ、生まれも育ちも今も山形県山形市 
中学教師(社会科)、着想家、社会教育家、ポリネーター(ワークショップほか企画作りの相談請負人)
1993年「壁画—ニット」プロジェクトで、ロレックス国際賞受賞 
●著書 『駄菓子屋楽校』(新評論、2002)
『だがしや楽校のススメ』(共著、創童舎 2003年8月発売)              『だがしや楽校を開こう』(仮)(共著、新評論)
 ※「だがしや楽校」は全国に広がりつつある
ラヂオ社会教育講座「天分楽校」 VigoFM78.8MHzHP:http://www.vigofm.co.jp/

「2003年 『天分カフェ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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