- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004150978
感想・レビュー・書評
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続 羊の歌
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健全な思索の軌跡
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150620 中央図書館
終戦後、医者としてのキャリアをスタートさせたのち、加藤はフランスに行くことを欲し、留学生試験を受ける。
半費留学、すなわち渡航費は自分持ちでパリに赴いた加藤は、1年間だけと思っていた当初の意図とは異なり、欧州に住まうようにまでなった。
その過程で、多くの人と触れ合い、自らの成長を記したというエッセイであろうか。 -
面白かったです。
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下巻では、太平洋戦争の終結から、3年にわたるフランスへの留学を経て、日本に帰国するまでが語られています。
京都に一人の女性を残してヨーロッパに留学した著者は、フランスで華々しく活躍する芸術家や詩人たちとの交流を通じて、新しく精神の洗礼を受けます。やがて帰国を決意したとき、著者はもはや、京都の女性と生活を共にすることはできないと悟っていました。
やや私小説的な展開があり、また著者のヨーロッパ体験についての叙述も読み応えがあって、楽しめました。福沢諭吉の『福翁自伝』には及ばないかもしれませんが、我が国の自伝文学の傑作の一つに数え入れられるのではないでしょうか。 -
恋愛関係の記述が多かったのは意外。
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久しぶりの加藤周一氏の著作です。
だいぶ以前に「羊の歌」は読んでいるのですが、本書は、いつかは読もうと思っていた「続編」です。
本書での加藤氏の回想は、「終戦直後の東京の風景」から始まります。この終戦直後の東京の風景は、その後の加藤氏の思想の原点を規定するものだったようです。
本書では、加藤氏がヨーロッパで暮らしていた頃のプライベートな交流の様子も詳しく語られています。また、医者の道を捨て、文筆に生きることにした瞬間も明らかにされています。そこにはやはり“戦争”がありました。
時々思い出したように読みたくなるのが加藤氏の著作です。 -
前編に比べてより専門的な叙述が多く、理解できない部分が多くあったが、逆に印象深くとても共感できるところもあった。
決して傲慢ではない、深層に秘めた強い加藤周一の主張が、色濃く出ている作品。まさにそれは「未年に生まれた」ことに起因した個性なのだろうか? 年男である自分の人生も考えさせられる一冊。 -
展示期間終了後の配架場所は、1階 学士力支援図書コーナー 請求記号:910.268//Ka86//2