生命とは何か: 物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版 72)

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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004160809

感想・レビュー・書評

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  • 『読書大全』の200冊に挙げられていたので読んだが現代的意味があるのかわからなかった

  • 読んだとは思うが。

  • 生物学の考察部門では、パッとしないシュレーディンガーさん。発想のヒントがあるかもね、くらいでした。

  • 日本語訳がわかりづらく、内容が入ってこなかった。

  • 相対論・量子論の図解本を読んだ時に、このシュレーディンガーという人物の成したことが、ものを考えるひとのそれであった。
    生命というものを物理学的にみる。それは一体どういうことなのか。生きているということを物理学がどう描いていくのか。存在という不可思議を知りたいという点で、このひとの情熱は先哲と同様であった。
    巧みに形而上学・哲学の問題と切り分けながら、物理学の限界まで突き進んでいく。驚くべきは、この「わたし」が存在している事実。これは一体なんなのだ。彼が知りたいのはこの一点である。
    物理学からすれば、この「わたし」という存在が持続しているというのは驚くべき事実なのである。不確定の熱運動に乱され、原子というものはいつも同じではいられない。常に統計学的・確率論的な揺らぎの中にある。ひとを形作るのは、たったひとつの細胞であり、しかもその中の設計図・暗号文はほんのわずかな原子から成り立っている。とすると、ある一定の持続性をもって生じる遺伝という現象は起こり得るはずがない。ところが、生命はそんな風になっていない。ならば、生命はこれまでの物理学的な説明とは違った構造をとっていなければならない。量子飛躍の考えに基づけば、この説明がつく。
    自然というものは不連続なもので、ある状態からある状態へ移行するには、それ相応のエネルギーが加わらなければならない。そういうしきいによって隔てられている。このしきいによって隔てられたものは、ハイトラーロンドンの力によって結びついたもの、すなわち結晶であり、なおかつ複雑で非周期的なものである。遺伝子というものは本質的にこういうものではないか。
    そして、このような遺伝子によって構成されるからこそ、生命はあたかも機械仕掛けの時計のようにふるまって見える。実際は複雑さの中で常に揺らいでいる。真に機械仕掛けの時計となりうるのは、絶対零度という理想地点でしか起こりえない。
    これが、彼の第一原理。生命の誕生の神話。このように考えると、生命というのは無秩序さの及ぼす力が徐々に強まっていき、とうとうエントロピー最大、平衡状態へたどり着く。これが生命と非生命の違いである。生きているということは、どこかでエントロピーを放出している、あるいはそれを相殺するエントロピーを吸収していると考えることができる。こういうわけである。
    真に物理学に基づくと、もうそれは形而上学とならざるを得ない。そも、物理学とは数式という文字による世界の記述、物語であるから。どんなに考えても、この自分が自分であるという端的な事実の説明がつかないのである。カントは、それをア・プリオリだとして批判しなかった。では、そうするとどうして今目の前に他人という不可解なものが存在してしまうのか。どうしてそういう存在と同じことばを用いて話をしているのか。
    「わたし」とはいったい何か。どうして「あちら」ではなく「こちら」なのか。「経験や記憶をその上に集録した画布」これが形而上学でなければなんなのか。
    彼の声がもっと聴きたい。

  • 内容は遺伝子によって永い年月生命が伝えられるという物理学的な証明という感じでしたが、随所にへぇ~!と思われることがいろいろ書かれていてためになりました。

    特に思考はそれ自体秩序だったものだからそれに対応する脳などの感覚器官は秩序だったものでなければならないというような記述は目からウロコで、ひっくり返せばセカイが無秩序でも脳を含む身体に秩序があるから人間は秩序ある世界認識ができるんだなぁ~ということのようです。

    あと、物理や化学の規則性というか法則性というのは実は統計学的なものでたくさんの原子や分子のふるまいがあるからあらわれるものなんだという指摘には驚きました。感覚的にはまるで逆に考えていました。

    Mahalo

  • 1953年にDNAの二重螺旋構造が「発見」されて、その10年前の43年の本書が書かれた段階で、ここまで「遺伝子」への理解が進んでいたということの凄さを実感した。
    遺伝子の永続性と可変性を、「機械的」物理過程の考えと統計に支配される熱の作用を詳しく見ることで探っている。そこから、「染色体中の巨大な分子」が遺伝をになっていることをあくまで一般の読者に理解出来る形で導き出してしまうのは、すごい。やはり古い本だからか、とても訳文が読みにくいので、新版でどうなっているか読み比べてみたい。

  • 2008年1月,読了。東京大学総合図書館。

    物理学を勉強したことのある人なら誰でも知っているあのErwin Schrödingerが,生物学を勉強したことのある人なら誰でも知っている内容について,1943年頃に書いた本。

    と書くと(特に物理側の人間は)大いに興味を持つだろうが,残念ながらそれほど良い本ではない。

    Schrödingerは確かに偉大で考察もそれなりにしっかりしているが,しかしそれでもそこから60年間の生物学の進歩は彼の能力を遙かに凌駕していた。

    つまり端的に言えば「内容が時代遅れ」である。

    物理学をやっていない人間には分からない概念が沢山出てくるので,物理学をやっていないと読めないが,しかしその一方で生物学をやっていない人間には有害な本と言える。

    ただ,生物学と物理学を両方(表層的にでも)勉強していたなら,とてもよい「歴史書」となるだろう。歴史書として読むのならとても興味深い。

    現在特に素粒子物理学が直面している困難と,一方で「理論生物学」の発展する見込みが殆ど無い現状とを混ぜ合わせて解決するような筋道が,こういう歴史の中に埋まっているような気がしているのだ。

    <a href=http://www.misho-web.com/bookshelf/37>みしょのねこごや - Bookshelf No.37</a>

  • 2007/11/23

  • 量子力学創始者であるシュレーディンガー博士が、物理学の見地から生命とは何かについて論じた書である。統計力学・熱力学および量子力学などの考え方を用いて遺伝・突然変異およびデルブリュックの模型などを検討し、生命の特徴は「「非周期性個体」とよぶべき染色体分子によって高度な秩序性が保持されていること」であると言及していた。特にその「規則性の保持」のなかでも「秩序から秩序」を生み出す能力こそが生命の著しい特徴となるが、それは物理学的に許容される考え方であると結論していた。そして最後に「「私」とは「原子の運動」を自然法則によって制御する人間である」と思索していた。
    本書で示された考え方は、生化学(分子生物学)・脳科学などに大きな影響を与えたようである。確かに物理学的見地から生命を捉えたときの考え方は新鮮に感じられた。今後これらの学問を学びたいと思っている自分にとって、貴重な情報が得られたのではないかと思う。

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