ペスト大流行―ヨーロッパ中世の崩壊 (岩波新書 黄版 225)

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著者 : 村上陽一郎
  • 岩波書店 (1983年3月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202257

ペスト大流行―ヨーロッパ中世の崩壊 (岩波新書 黄版 225)の感想・レビュー・書評

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  • 序 ペストの顔
    一 古代世界とペスト
    二 ヨーロッパ世界の形成とペスト
    三 黒死病来る
    四 恐怖のヨーロッパ
    五 さまざまな病因論
    六 犠牲者の数
    七 黒死病の残したもの
    八 黒死病以後

  • 1983年刊行。著者は東京大学助教授。

     タイトルどおり、本書は、14世紀の西洋社会を震撼させたペスト禍を、具体的に叙述する。

     ところで、なぜ、15世紀に西洋人は欧州外へ出ようと努力したのか。なぜ、大航海時代と言われるようになったのか。
     この疑問に関して、例えば、①地域における木材枯渇によるエネルギー不足、②所謂「富」が西洋より東洋・中東に多かったということも想定され、種々議論されているところだ。
     が、本書を見ると、その理由の一がペスト禍ではないか、と思わせるほどの大惨事である。少し古いが、歴史的なペスト被害を概括できる点で、一度は目を通しておいても良い書である。

  • w

  • 中世のヨーロッパ世界を席巻したペストについて、科学史と精神史の両面から考察している本です。

    病因をめぐる医学上の論争のほか、ペストを逃れようとする人びとが信仰に頼ったことや、ユダヤ人がスケープ・ゴートにされたという事実など、病気をめぐる人びとの振る舞いを多様な側面から描き出しています。

  • 古代化のペストの歴史を概括。第7章「黒死病の残したもの」がこの本のクライマックス。14世紀のペストがヨーロッパ社会に残し、そして現代にも引き継がれているものが多い。ユダヤ人迫害、マリア聖堂(ユダヤ人迫害→贖罪の大きさ→助けをキリストに直接求めるのは大きな罪)、死の恐怖→素朴な信仰への立ち返り→宗教原理主義→宗教改革、中世社会の崩壊(農民の激減→農民の権利向上→農奴から賃金労働者→資本主義の発生の土台)等々。
    ストレスを受けた社会が、日常の中で燻っていた社会の中の不満不安をあぶり出し、それを権力者が利用する。歴史上何度も繰り返され、その都度、大きな災いをもたらしている。

  • これまた20年以上前の本ですが、図書館のリサイクル市で見つけて読み始めました。ペストは現在、それほど恐れるべき病気というわけではありません。しかし、完全に絶滅しているわけでもなく、いくつかの地域では時々散発しているのだそうです。(この20年ほどで変化がなければ。)そしてまた大流行が起こるということもありうるのだとか。さて、本書では、過去に起こったペスト大流行が世界の歴史にどんな影響をもたらしたのかが記されています。原因も分からず、解決策も見つからないまま、たくさんの身近な人々が次々に亡くなっていく。そして、神に祈りながら収まるのを待つしかない、そういう場に置かれた人々の思いは想像を絶します。当然のことながら当時の政治や経済にも大きな影響を及ぼしたことでしょう。そして何よりも宗教への影響が大きかったことでしょう。今また、新型インフルエンザの大流行が懸念されています。そのときいったい何が起こるのか。新興宗教に走る人はそうは多くないでしょうが、社会に対する打撃はかなり強いものになるのでしょう。もっとも、そんなときくらい、学校も会社もすべて休みにしたらいいのかもしれません。でも、食物は、電気は、水道は、ゴミは・・・どうなる?! しかし、どうして村上先生は難しい漢字を使いたがるのだろう。それが、当時の先生の流儀だったのだろうか?

  • ペストの流行について、歴史的地理的観点から論じた本。魔女狩りやユダヤ人との関連についても話されている。

  • 当時考えられた病因論は興味深かった。それ以外は死者数も発祥地もよく分からないということが分かったくらいで、特筆することはない。少しでも西洋史をかじった人には新鮮味は感じられないと思う。科学思想史?というジャンルに馴染みがないせいもあるが、読みづらかった…。コラムを集めた様な文や構成も流麗とは言えない。

  • ペストという伝染病を軸に、ヨーロッパ社会の変化を活写しており、大変興味深い内容です。また、中国や中央アジアが感染源らしいことが指摘されています。病原菌理論がない時代の病因論は地震による空気の腐敗、視線による殺人、ユダヤ人謀略説など、さまざまな思惟があり、興味深いです。とにかく、歴史を理解する場合に、とくに14世紀や17世紀は、ペストの影響を見のがすことができないということを教えてくれます。

  • 読みやすく、簡潔にまとまった本。最後にはビシッと余韻を残して終わるストーリテラー。

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