イワナの謎を追う (岩波新書 黄版 272)

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著者 : 石城謙吉
  • 岩波書店 (1984年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202721

イワナの謎を追う (岩波新書 黄版 272)の感想・レビュー・書評

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  • 1984年刊行。著者は北海道大学農学部助教授。

     著者が高校教諭、院生時代より現地観察・資料採集を続けてきたイワナ。
     本書はイワナを例にとり、外見上類似するが同一ではない複数種において、生態系とどう関わっているか。生息地や食性の差異が、種別如何にいかに影響するか、を解読する。

     ゲノム的な近縁性に殆ど触れない点、また、現代では、環境への適応力の強弱という観点でダーウィニズムと対立するわけではないと考えられる今西流「棲み分け論」への言及の仕方は、やや時代を感じさせるものと言えそうだ。

     しかし、そもそも自然選択という言葉が誤解を招くのかもしれない。つまり、ここでの選択とは、対抗種の一方の絶滅を当然の帰結とするわけではない。
     換言すれば、自然選択とは与えられた具体的な環境への適応度を高める進化圧に過ぎず、環境への適応がままならず絶滅するのもあれば、適応が可能で棲み分けに見える結末に至るのもあるということなのだろう。

     本書は「イワナ」という実例から帰納的に、この進化圧と環境適応度の有り方を切り取って見せる。結果、今西錦司流「棲み分け論」とダーウィニズムの止揚に繋がっているのだ。

     ところで、内容の本筋とは関係はないが、著者のような生物学者の見せる生き物愛はホントに微笑ましい。

  • 内容も勉強になった(自分の専攻にはたぶん役立たない)が、謎解き文体が参考になる。たとえば、序章。ここの記述は、ちょっと渓流魚に詳しい人からすれば、実はそれほど謎じゃないんだが、かならず「これこれはこうである。これは一見矛盾である。なぜこんな不可思議なことが起きるのか?」と、渓流魚にまったく予備知識がない人が食いつけるような仕掛けを随所に用意している ――渓流魚に知識がない人がそもそもこの本を手に取るかは「謎」だが。まさに「謎を追う」という書名にふさわしい。

  • 一緒にしたら失礼なんだけど、夏休みの自由研究が楽しかったことを思い出した。日常生活でふと触れた不思議を追いかける情熱と楽しさは、大人も子供もないね。渓流釣りをするものとして馴染み深いオショロコマとアメマスが主役というのも嬉しい。次に釣ったらサイズばっかり気にしないで、じっくりと観察させてもらおう。

  • 赤い斑点と白い斑点のイワナがいるのは、なぜか。その疑問からイワナの謎を追う話がはじまります。
    ふだん何気なく見ている川も科学的に分析すると新たな発見が生まれることを感じます。
    北海道を舞台にした壮大なオショロコマ(赤斑点)とアメマス(白斑点)の世界。

  • [ 内容 ]
    ヤマメと並ぶ渓流の王者、イワナ。
    この「幻の魚」の生物としての位置については、これまで長いあいだ激しい論争が続いてきたが、著者は北海道の山野に彼らを追い、その分布や生活史を明らかにして、ついにその実像をつきとめた。
    大自然の中での孤独な苦闘と興味深い発見を語り、魚たちがくりひろげる野性のドラマへと読者をいざなう。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 新書本の醍醐味は、しばしばこうした掘り出し物の素晴らしい本に思いもかけず出会えることだ。本書は、単なるイワナの話にとどまらず、フィールドワークとは何か、学問的誠実とは何か、種とは何か、分類学とは何か、進化とは何か、など実に色々なことを考えさせ、気付かせてくれる本である。本全体の構成も、まるで一つの物語のようによく練られており、内容も非常に充実している。しかもそれら全てが、魚の素人でも、特にイワナに関心がない人でも十分に楽しめるものとなっている。学問に関わりを持つ、全ての学生、研究者、あるいはこれらを目指す者全ての人によんでほしい一冊である。

  • 学術的にも意外にまだまだ未知のことが多い魚なんですね。
    だからこそ、釣り人にとっても魅力的な魚なんですよね。

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