エビと日本人 (岩波新書 新赤版 20)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300205

感想・レビュー・書評

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  • 1988年刊行。著者は上智大学外国語学部教授。現代日本で大衆食と化した海老を定点とし、第三世界と日本との関係性を問う著。鶴見良行著「バナナと日本人」の続編的位置づけ。という意味で、主題・内容は予想される範疇を超えるものではない。また、環境問題、特に生態系破壊という問題意識が希薄なのは刊行年次によるものか。ただ、海老の国内販売の中核が冷凍・加工食品である点で、他の水産物や農産物と流通の在り様が違うのは、全然異質の問題意識として興味を引く(日本の食品卸の問題点という意味)。

  • 20年以上前の卒論のネタ

  • 今更だが読了(高校の課題図書だった記憶…20年前か)。エビ、関わる人々に思いを馳せて食べよう…。身近な一つの食材の背景を探ることで、社会や世界のつながりを知る、というのって、当時新しいフィールドワークの手法だったのかな。

  • 大学院ゼミ 8環境と技術

  • もともと輸入されているのエビの現状が
    とてつもなく悲しいものであるというのは
    知ってはいました。
    この本に書いてあるのはやはり
    想像通りの内容でした。

    いろいろと考えさせられるのは
    むやみな食というものが
    自分たちの首を絞めてしまうということ。
    そしてその後に思い知らされるということ。

    結局エビ好きは
    踊らされている、ということなのかもしれません。

  • エビ・日本人

    =で結んでも問題ないほど強い絆で結ばれる両者を切り取って一冊にした視点が面白いと、思わず手に取り読む。

    う~ん、なるほどっ!合点がいくとこや気づきはあったので面白くて読み進むも、
    はてメインメッセージは?
    も少し強い著者の主張を感じたかったなぁと思う。

  • これを読む前に「バナナと日本人」が先ですが、この本を先に呼んだので紹介。

    エビの本ですがエビの本ではありません。
    1970年代から資本主義によるグローバルな経済が行われていたと実感できます。

    エビを獲る人々
    エビという生き物
    エビを育てる人々
    エビを加工する人々
    エビを売る人、食べる人

    1970年代からエビに関わるビジネスは、台湾、中国、東南アジア全域を含んだグローバルなビジネスになっています。

    エビという商品一つとっても、これだけの国と、エビを商品として届けるまでにどれだけ多くの人が関わっているのか、読むことで理解できます。

    予想以上のスケールの大きさに圧倒されます。

    資本主義の露骨な貧富の差や、欧米の容赦ないアグリビジネスのやり方なども見たいならば、「バナナと日本人」がよいと思います。

    大学1・2年生の間に読むべき本だと思います。

  • 目次(抜粋):
    プロローグ
    1 エビを獲る人びと ――トロール漁の現場――
    2 エビという生き物 ――生態・種類・獲られ方――
    3 エビを育てる人びと ――養殖をインドネシア・台湾に見る――
    4 エビを加工する人びと ――調味料づくり・殻剥き・箱詰め――
    5 エビを売る人、食べる人 ――この四半世紀に何が起きたか?――
    エピローグ
    あとがき

  • エビの種類やエビ業者の話など、その情報量の多さに感心した。著者は上智大教授であり、ジャーナリストではない。このあくなき好奇心と取材力は評価に値する。著者が述べる通り、エビは日本人にとって重要なモノになりつつある。なぜなら、輸入量世界1位であり、またエビが輸入占める割合が1位である(った)からだ。また、私たち日本人にとってシーフードという言葉から想起される魚介類は、エビであることが多いのではないだろうか。エビの種類などから、エビ産業についての分析まで、この本の射程は広い一方で、著者が上智大の外国語専門であることも重なり、その分析はやや浅いものであることは否めない。例えば、「日本人がエビを輸入することは現地にとって、損にはならない」という商社マンの言葉に対して、慎重な態度をとっていたり、エビ産業における搾取を国内政治の問題あるいはグローバル経済の問題と捉えたりしているが、分析上の物足りなさを感じる。ただ、一介のジャーナリストでもこれほどの情報を調べることが珍しいという意味でも、またエビの問題を考えるきっかけになりえるという意味で、この本は優れている。先程の商社マンの言葉を見て、城山三郎の小説にあった「一流の商社マンは法を破る」という言葉を思い出した。

  • 地産地消とかフードマイレージという言葉が気になったので、古いけど何も読まないよりは。
    と思って手にとった一冊。

    日本人が大好きなエビ。ではそのエビはどうやって私たちのお皿の上にくるのか?
    昔はめったに食べられなかったのに、今はなぜこんなにも簡単に手に入るのか?
    どういう人が働いていて、どんな形で獲られていて、どんな形で運ばれてくるのか?
    を生産者や中間業者に直接コンタクトを取り、生の声でその全貌がまとめられています。


    読んだあとは、お皿の上のエビについて深く考えてしまいました。
    このまま輸入し続けていいのか?って。

    30年前にこの事に危機感をもって調べた著者がスゲーです。

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著者プロフィール

1943-2013年。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程中退。上智大学外国語学部教授。早稲田大学アジア研究機構研究員教授を歴任。
著書: 『スンダ生活誌――変動のインドネシア社会』(NHKブックス、日本放送出版
    協会。2014年『インドネシア・スンダ世界に暮らす』と改題。岩波書店、岩波現
     代文庫)
    『小さな民からの発想――顔のない豊かさを問う』(時事通信社、1982年)
    『スラウェシの海辺から――もうひとつのアジア・太平洋』(同文舘、1987年)
    『エビと日本人』(岩波書店、岩波新書、1988年)
    『サシとアジアと海世界――環境を守る知恵とシステム』(コモンズ、1998年)
    『グローバル化とわたしたち――国境を越えるモノ・カネ・ヒト 』(岩崎書
     店、2006年)
    『エビと日本人Ⅱ――暮らしのなかのグローバル化』(岩波書店、岩波新書、
     2007年)
    『ぼくの歩いた東南アジア――島と海と森と』(コモンズ、2009年)
    『パプア――森と海と人びと』(めこん、2013年)
    『海境を越える人びと 真珠とナマコとアラフラ海』(共編著、コモンズ、201
     6年)

「2023年 『小さな民からの発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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