- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004300953
感想・レビュー・書評
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芭蕉関連で1989年に読んだ本書を再読す。近世日本文学史を専攻する著者は、やはり何年も推敲をかけた「奥の細道」や、芭蕉死後に版行された作品を、文学的視点で解説する。芭蕉は、江戸で俳諧宗匠としての地位を築き、西行を始めとした豊富な古典の知識を持ち、旅に生きることを生き甲斐としていたことは理解できた。しかし、嵐山光三郎氏の著作を読むと、作品群は芭蕉自身の利潤を追求するものではなく、別の目的があると思えてくる。文学作品としては真の目的を隠すための虚構や省略があったと思えるのは穿ちすぎか?
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芭蕉における「旅」をテーマにした、エッセイに近い内容の論考です。
本書は三部構成となっており、第一部では芭蕉の晩年にえがかれた『旅路の画巻』の解説をおこなっています。第二部と第三部も、おなじく「旅」をテーマにした論考で、「旅」という不安定な行程のなかでこそ、心がとぎすまされ、人びととの新鮮な交流が生まれ、世界の新しい意味が発見されるということを、芭蕉やその門人たちのテクストのなかに読み取る試みがなされています。
テクスト論的な方法を踏まえながらも、テクストのなかからテクストを超える「旅」というテーマが立ち上がってくるような、興味深い視点がいくつか示されているようにも感じられるのですが、なかなか著者はそうした問題を明晰に語ってくれず、もどかしさが募ります。 -
(2016.11.15読了)(2001.11.30購入)
【目次】
はしがき
Ⅰ 描かれた旅
幻の画巻
旅路の画巻
旅路の画巻を読む
Ⅱ 旅を綴る
芭蕉の「旅の賦」
虚構と現実
芭蕉の文章
芭蕉の紀行文
Ⅲ 芭蕉、旅へ
ひとり旅
歌枕行脚
なつかしい人々
旅へ
おわりに
(「BOOK」データベースより)amazon
芭蕉が「奥の細道」の旅に出て、300年。遥かみちのくの漂泊の旅を綴るこの紀行文が、人々を魅了しつづける秘密はなにか。芭蕉が最晩年に描いた「旅路の画巻」には、農民や武士、市井の人々など、旅のさなかに見つけたさまざまの人生が登場する。画巻の解説を通じて、芭蕉の見た旅の現実が文学作品になるまでを辿り、旅と文学の関係をさぐる。