- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004301356
感想・レビュー・書評
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この本を読む前にベームとウィーンフィルのCDを聴いて
「なんてすばらしいんだ!」と思っていましたが
この本を読んでから
「なんてなんてすばらしいんだ!!」と思いました(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初に読んだのは新刊として出てすぐのころだったが、思うところあって再読。絶版になっているのは残念だが、ウィーン・フィルやベルリン・フィルの状況は現在ではかなり違ってきているところもあるだろうから、再版しにくいのかも知らん。
本当におもしろいのは、オーケストラの「裏方さん」たち(国内外両方)のお話。マエストロ岩城が彼らのことをコンサートの実現のために欠かせないプロとして、本当に敬愛していたのだなぁとしみじみする。
ハープのモルナール氏の若き日のことも書かれてた。この人、そんなに若いときに来日したのか…日本のどこかがそんなに気に入ったのか。ハープの運送業者というのがなかった当時(ハープといってもどんな楽器か知らない人のほうが多かったとか)、モルナール氏の依頼をなりゆきで引き受けちゃった町の引越しやさんが、ハンモックのようにハープを吊って荷台に載せ、びよんびよん弾むのをモルナール氏が必死に押さえてたというエピソードは必笑!この引越しやさんは、モルナール氏との縁ですっかりハープの運び屋さんになってしまったという。いま検索してみると、立派なウェブサイトがあって、ちゃんと業務内容の筆頭に「楽器運送」とある(笑)
よく知られた話なのかもしれないが、岩城氏の軽妙な文章から、元気はつらつな人柄もしのばれて楽しい。いい本です。 -
岩城さんの本は大好きで、でも、もうあまり書店で見かけることもなくて寂しい思いをしていましたが、この本はYAMAHAでゲット!これからは楽譜とCD以外のコーナーもきちんと覗くようにしよう。
「ウィーン・フィルの秘密」、「ベルリン・フィルの表情」、「舞台裏の風景」、「ハープの運び屋さん」、「指揮棒のこと、ホールのこと」と、クラシックに興味を持ち始めたらきっと誰もがちょっと気になるに違いないことをうまーく教えてくれて楽しい。 -
2/6
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『森のうた』に続いて本書も再読し、改めて岩城宏之は手練れの書き手であると思った。もちろんベースには一流の本業があるのだが。巻末のプロフィールによると小説まで上梓しているらしい。
前半はウィーンフィルやベルリンフィルなどの「超」が付く一流音楽家のお話で、驚くようなエピソードが記されている。例えば巨匠カール・ベームについて、あるウィーンフィルの団員は「あのジイさんの棒の通り弾いたらエライコトになるんだぜ。もうすっかりモウロクしているから(中略)おれたちがカバーしてやっているのさ。苦労するよ。ショウバイショウバイ」と語る。ベームの来日公演時の話だが、演目から(Wikipedia他によると)1975年のことと思われる。一方ベームと言えば思い出す名盤中の名盤、モーツァルトのレクイエムは(今調べると)1971年の録音だ。いずれもオケはウィーンフィルだが、このわずか4年ほどでベームは「すっかりモウロク」してしまったのだろうか。
ベルリンフィルのコンサートマスターは「このオーケストラには三つの大きい欠点がある」と語り、「第一にこのオーケストラはリズムが悪い。第二に音程が悪い。第三にお互いが聞き合わない。これを解決しなければわれわれの先はない!」と絶叫する。岩城は「つまり『基本を忠実に守る』ことに尽きるのである。それだけのことなのだ。世界一とはこういうことなのか。感動した」と記す。
いわゆる裏方の話もとても面白い。ベルリンフィルの「世界一の」ステージマネージャー。『森のうた』にも登場するN響事務局の延命氏。こちらも岩城の見立ては世界一だ。「田中陸送」というハープ運送専門の会社に岩城は一日同乗取材したという。こんな指揮者が他にいるだろうか。岩城がデビューしたころは、菜箸を削って指揮棒を自作したというのにも仰天する。
本書は1990年刊行の岩波新書だが、本箱の奥には文春文庫の『棒ふりの休日』と『棒ふりのカフェテラス』もあった。いずれも数十年前の古い本だが、次はこれかな。幸か不幸か内容はすっかり忘れているし... -
[private]<u><b>ウィーン・フィル=プライド高い奴の溜まり場</b></u>
<span style="color:#cc9966;">ウィーン・フィルやベルリン・フィルの素晴らしい音色は、楽員たちのどんな苦心によって磨かれ、華やかなコンサートの舞台裏では、どんな人たちがそれを支えているのか。</span>
久しぶりにのだめ読みたくなったw
フィルの舞台裏がよくわかる。彼らのプライドの高さは格好良すぎる。
特に格好良かったベルリンフィルのコンサートマスター、ミッシェル・シュヴァルベ
<blockquote>このオーケストラには三つの大きい欠点がある。それを克服しない限り、ベルリン・フィルは先へ行かない。何だかわかるかい?」
…「そういえば、ファゴットの2番がちょっと弱いし…」…と、言いかけたら大きな声で遮った。
「そんな小さなことじゃない。第一に、このオーケストラはリズムが悪い。第二に、音程が悪い。第三に、お互いが聞き合わない。これを解決しなければ我々の先はない!」
机を叩いて絶叫した。</blockquote>hoooo!!!!カッコイイね!!岩城さんが私の言葉を代弁してくれている。
<blockquote>つまり、「基本を忠実に守る」ことに尽きるのである。それだけのことなのだ。世界一とはこういうことなのか。感動した。</blockquote>感動した![/private] -
嫌味のない文体で、スラスラ読めて面白い。
バブル期に書かれていて、サントリーや新日フィルができた当時のこと、その頃の岩城さんが指揮していた海外オケの様子などがよく分かった気になれる。
個人的に一番良かったのは5章の「指揮者のこと、ホールのこと」だが、そこにたどり着くまでのビルドアップがあったから、余計にクライマックスを感じられたのかもしれない。
文章・編集が本当に巧いです。
彼の他の本も探したくなった。 -
一流指揮者による一流オーケストラの素顔と、その演奏を陰で支える人々(帯より)に関して。
文章がとにかく読みやすくて、夢中で読了。バブル期の日本の頃の話なので、不況の中、お金のない楽団を支えた小さい企業さんたちの今もすごく気になります。
現在の音楽業界の話も読んでみたくなりました。 -
関内ブックオフで購入する。非常に読みやすい文章です。音楽関係の本の中で、一番読みやすい本でした。他の本が、クラシックマニアを読者としているのに対して、一般の読者の中で鍛えられた文章です。興味を持ったのは、ウインフィルの運営は興味深いです。指導者は置かない。採用はコネが基本である。あくまでも、結果的に世界一なのであり、世界一を目指すオーケストラではないのでしょう。現在も、同様の形態なのでしょうか。