日本の舞踊 (岩波新書 新赤版 175)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004301752

作品紹介・あらすじ

複雑な約束事やしきたりによって難解と思われがちな日本舞踊。しかし名人たちの踊りには、名人ゆえに聞こえてくる身体の声がある。踊りの中からその声が聞こえてきたとき、舞踊は見る人の心を捉えて離さぬものになる。その声を聞くことこそ、舞踊の魅力である。鑑賞のための基礎知識から名人たちの究極の奥義まで、舞踊の世界が展開する。

感想・レビュー・書評

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  • 武原はん、先代の井上八千代など、映像でしか観たことはありませんがその舞姿に感動しました。
    私の感じたものは何だったのか。

    本書では余情とか余韻とか陰翳とか、そういう曖昧な言葉ではなく、目に見えないものを具体的に、身体的に語る事で、彼らの何が特別なのかを説明しようと試みています。
    鑑賞体験が少ない私には難しく感じる所も有りましたが、日本舞踊というとっつき難い芸能の鑑賞の手掛かりにはなりそうです。

  • 2017.03―読了

  • 書名「日本の舞踊」というより、著者自身が日本の舞踊を鑑賞して感じる「身体の声」について説明した本。

    冒頭の言葉によれば、日常、踊りを語る共通の言葉がないということから、自らが感じた踊りの魅力、鑑賞法をつづったものらしい。

    新書ということも考慮してか、前半は日本の舞踊に関しての基礎を説明してくれ、後半は本題として、七名の舞踊家についての著者の観方が述べられている。


    渡辺保は幼少の頃から日本の舞踊を数多く鑑賞してきた経験があるようで、舞踊に関して知識よりも自分の観方を育んできた人なのだろう。

    著者の踊りについての描写ひとつひとつが日本の舞踊の魅力を示していると読める。


    著者が観る舞踊は、その場を感じ(肚)、その人を感じる(心)ことを好いとしている、と思われるけれども、もちろん舞踊の見方はこれだけではないだろう。

    例えば武原はんに関して、著者には形を再現しているだけとあまり感心がないようだが、理想の人間の形そのものとして存在しようとする視点は、自分には未知だけれども魅力を感じる。

    もうひとつ、肚=曲の中の人物の気持ち、心=踊り手自身の気持ち、と考えると、これは音楽でも絵でも映画でもマンガでもあてはまることと思う。それらに当てはまらない舞踊の神性、宗教性に関しての何かがあるのではないか。

    そういうところもう少し知りたかった。


    とにかくも渡辺保は日本の舞踊をこう観ているということ。とても有り難い本でした。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784004301752

  • 面白かった。
    けど難しい。

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著者プロフィール

演劇評論家。1936年、東京生まれ。初めて歌舞伎を見たのは6歳のとき。中学生の頃から芝居を見るたびにノートをつけるようになる。古典に限らず、現代劇や舞踊についても、どこをどう見るべきなのか、積み重ねてきた方法論はとても理論的でわかりやすい。『女形の運命』で芸術選奨文部大臣新人賞、『娘道成寺』で読売文学賞、『四代目市川團十郎』で芸術選奨文部大臣賞。著書に『歌舞伎ナビ』『能ナビ』(ともにマガジンハウス)など多数。

「2020年 『文楽ナビ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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