幻の声: NHK広島8月6日 (岩波新書 新赤版 236)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302360

作品紹介・あらすじ

8月6日、壊滅状態の広島で、交信を求める悲しげな女性の声がラジオから流れた…。NHKに舞い込んだ一通の手紙から、"幻の声"の主を追う著者の旅は始まる。17年にも及ぶ取材から見えてきた、巨大な悲劇の下の人間たちのドラマとは?戦時下のメディアの実像、そして、敗戦を目前にした日本の防空体制の不備をもつく異色の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和20年8月6日朝、原爆投下直後の広島で、ラジオからほんのわずかな時間、大阪放送局へ救援を求めるアナウンサーの声が聞こえたという被爆者の証言を追及するドキュメント。

    以前から興味があった本で、機会があり古書を入手してみました。

    著者は当時の関係者などから、貴重な証言を精力的に集めています。
    が、途中から調査内容と方向性が本来(題名の)の趣旨からどんどん外れていき、目的が(読み手には)良く分からなくなりました。
    また当時の関係者の証言については、証言内容と事実との整合性を細かく追求し過ぎで、不確実な部分をいちいち指摘し、関係者の証言内容自体を疑うような記述がみられます。
    被爆から長い年月がたち、かつ非日常的な悲惨な状況の記憶を、関係者が100%正確に証言できるものではないでしょうし、著者の記述の仕方はインタビューに応じてくれた関係者に失礼なのではと思います。
    どうも後味の悪い感想を持ちました。

  • 2021年11月8日購入。
    2023年10月25日読了。

  • 岩波新書ツイッターで紹介されていたのを見て手に取る。ラジオリスナーからの投稿をきっかけに始まった調査は8月6日前後の放送体制へ、防空体制へと広がる。中国地方の大勢から警報に不慣れだったこと、もう少し早く警報を出していたら原爆の被害も少しは減らせたのではないかとの指摘は初めて見たものでそう言った側面もあったのかと驚く。空襲警報が遅かった、参謀の判断の甘さがあった、防空体制の分析の脆弱さ、軍に指導されるままの報道などの指摘は昨今のコロナ禍で宣言が遅いことや報道に対する批判とつながっているようにも読めた。調査の中での人々の記憶の曖昧さ、あるいは頑迷さへのイラつきは調査の難しさを物語る。後年制作される広島関連のドキュメンタリーでの誤りへの批判は舌鋒鋭い。
    なお「幻の声」については後年さらに解明が進んでいるようだが誰であったのはか今だに謎のようである。

  • 前半はとても興味深く読めたが、途中から方向性変わったかのように、焦点がぼやけてきた。結局、結論はなんだったのか?

  • 人の記憶は時間とともに薄れていき、本人に悪意が無いにしても創作的な部分が含まれてしまうようだ。ましてや、思い出したくもない恐怖の記憶を、ピンポイントで呼び起こすのは難しい。しかし、語り継がなければならないことがある。

  • 1945年8月6日、原爆が投下され壊滅した広島で、大阪に交信を求めるもの悲しい女性の声がラジオで流れているのを聞いたという証言があるそうです。本書は、その「幻の声」の真実を追求したルポタージュです。
    当時の広島にいたNHK職員らに念入りな取材をした結果、たどり着いた結末は少し釈然としないものがありますが、取材を行う中で判明した数々の事実には、人の尊厳を否定する戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさ、極限状態で懸命になる人間の力強さを感じました。

  • NHKラジオのスタッフをしていた著者によるルポタージュ。

    原爆関連の番組を扱っていた時に届いた、一通の手紙から始まる。

    投下直後に流れたという、聞こえるはずのない「広島からの声」

    単なる個人の聞き間違いかと思いきや、その当時広島にいたあらゆる人々が
    その声を聞いているという。

    その声の主とは、なぜ聞こえないはずの「声」が届いたのか…。



    1940年代の放送、投下前後の大本営等軍や周辺自治体側の対応を知る切り口に。

  • 真実よりも伝説。

  • 昭和50年1月、放送局に届いた1通の投書から振り返る8月6日の広島。戦争を語り継ぐため読んでほしい1冊

  • 2008年8月12日

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