盛り場の民俗史 (岩波新書 新赤版 300)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303008

作品紹介・あらすじ

香具師の口上が盛り立てる祭りの賑わい、欲望うごめく夜の歓楽街。そこに通いつめる人がいて、そこを仕事場とする人がいる。伝統的な盛り場が消えつつある今、長年の民俗調査にもとづき、その空間を鮮やかに分析し、歴史的な歩みを明らかにする。江戸から現在まで続く稀有な盛り場、上野広小路を主舞台に、哀歓こめて描く聞き語りの世界。

感想・レビュー・書評

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  • 1993年刊行。宮本常一に師事していた著者が、主として近世江戸から戦前期につき、上野周辺の歓楽街を定点として、その模様・変遷を解説する。昼の歓楽街(行楽)と夜の歓楽街(色街)とを別の章立てとする。岡場所や遊郭などは他書にも書かれ(殊に近世)ており、余り目新しい所はないが、昼の行楽(芝居・歌舞伎小屋、露店)から祭礼日のテキヤの存在など、かなり多面的に説明する点は新奇。終戦直後のドサクサにおいて、①GHQが在日朝鮮・韓国、あるいは台湾人を解放国民としたため、日本の法令に従わずに闇市を跳梁跋扈した点。
    ②終戦直後、自力救済の必要性が高まったため、テキヤ独自の武装面を暴力団構成員が担当した点。その結果、歓楽街の治安維持に彼らが利用された一方、終戦の混乱期が収まるにつれ、他の暴力団構成員との対立関係を官憲が企図・実施したことで、テキヤやその背後に対する戦後の悪イメージを刻印したとされる点も、さもありなんと思える情報。

  • 盛り場の歴史的変遷を注視している。
    もう少し踏み込んだ内容を期待していた。

  •  盛り場の源流としての「門前」と「火除地」。有職渡世の「テキヤ」と無職渡世の「ヤクザ」との違い。「ケハレ」の空間としての歓楽街。法的規制とその抵抗のせめぎあいによる都市構造の変容。

  • 上野の盛り場の江戸時代からの歴史を追い、その変遷を当時の資料などから記した本。色街だけでなくテキ屋などのことも調べてある。

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著者プロフィール

神崎 宣武(かんざき・のりたけ):1944年岡山県生まれ。民俗学者。武蔵野美術大学在学中より宮本常一の教えを受ける。長年にわたり国内外の民俗調査・研究に取り組むとともに、陶磁器や民具、食文化、旅文化、盛り場など幅広いテーマで執筆活動を行なっている。現在、旅の文化研究所所長。郷里で神主も務めている。主な著書に『大和屋物語 大阪ミナミの花街民俗史』『酒の日本文化』『しきたりの日本文化』『江戸の旅文化』『盛り場の民俗史』『台所用具は語る』などがある。

「2023年 『わんちゃ利兵衛の旅 テキヤ行商の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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