従軍慰安婦 (岩波新書 新赤版 384)

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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303848

感想・レビュー・書評

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  • 公文書がいかに大切か分かる本。慰安所は国が公的に作った性暴力の場であり、女性の人権を踏み躙って良い場所。何をするのか知らないで連れられてくる人もいた。これは今のAV出演強要問題、性行同意年齢引き上げなければいけない理由とも深く繋がってますね。公文書に傷をつけた安倍前総理、議員バッジ剥奪されてくれ。

  • 25年前の本だけど、進展したことは多分、ほぼない。

  • 以前紹介した同著者のブックレット『日本軍「慰安婦」制度とは何か』はこれのダイジェスト版のようなもの、あれは本の題にもなっているとおり“従軍慰安婦問題とは何か”のつかみを知るためによいものだったが、これはその入門書でありバイブルとも言える存在。

    日本人ならばこの問題は必ず知るべきであり、そしてこの本はそれを知るために大変重要な一冊、まずは読むことをお勧めする。

    ただの日本軍における戦争犯罪の記録ではなく、過去から現代まで連綿と続く日本独特の“女性蔑視観”を浮かび上がらせるものだ。すなわち、この問題を解決―謝罪したからとて、それを“解決”と言っていいものかはわからないが―することは現代にいまだ残る女性差別の問題を解決する糸口になるのではないだろうか。

  • 「慰安婦」についての研究をだいたい網羅している。「慰安婦」問題を学ぶ者にとってバイブル的な一冊だろう。1995年に書かれた本なのに今でもあまり状況が変わってないことを実感させられる。

  • 慰安婦問題を概説する新書。かなり古い本だが、よくまとまっている。

    慰安婦制度は軍の中央・司令部含め、国家ぐるみで実行されていた。売春目的の強制連行自体が、国際法に違反することを理解していたのにもかかわらず、である。

    日本と同様、連合国側でも軍慰安所が設置されたこともあったが、公になるのを恐れたこともあって、すぐに閉鎖された。しかし日本の場合、軍の中央が推進しており、その点が決定的に違かった。

    著者は、日本人についてこう記している。日本人は公娼制度に肯定的であり、戦後も進駐軍用の慰安所設置が女性を中心に叫ばれていたのである。一部の女性を犠牲に、女性全体を守るという態度は戦時中も、戦後も変わってなかった。

  • アジア・太平洋戦争の敗戦記念日を前に、過去の過ちに向き合おうと、1995年に出版された吉見義明氏の従軍慰安婦を読んだ。
     1991年12月、はじめて3人の韓国人元従軍慰安婦が、日本政府の謝罪と補償を求めて東京地裁に提訴し、日本人に衝撃をあたえた。しかし、慰安婦は産業慰安婦と混同され、お金欲しさに日本を訴えているなどの歴史修正主義が、被害女性をより苦しめ続けている。著者の吉見義明氏は、従軍慰安婦・戦時性奴隷について、明治期以降の公娼制度、軍国主義の勃興を背景に、「からゆきさん」から軍慰安所の大量設置、そして日本女性も含めて、朝鮮、中国をはじめアジア地域への女性の被害と軍慰安所の拡大を歴史学者として丹念に検証する。各国の女性は甘言や詐欺で集められ、劣悪な生活環境で性奴隷を強いられ、外出の自由も許されず、戦場にも強制的に連行され、敗色濃厚となれば戦地に取り残され、無残な死を遂げた乙女たち。敗戦後は、米国侵略軍の性のはけ口として、敗戦後3日目には米兵向けの慰安所設置が急がれた記録など、軍や政府が女性を性のはけ口として、そして女性の人権を全く無視した丹念な記録に、過去の過ちを振り返る事の重要性を噛みしめた。

  • 日本人、理性なさすぎ…慰安所作りすぎ…性病蔓延すぎ…
    敗戦後すぐに米軍向けの慰安所を作って差し出すなんて、どんなギャグですか…

  • 秦郁彦本につづいて読了。秦郁彦氏の本と比べて調べた一次情報の量が少なく偏りが見られる。朝日新聞と同様、まず誘導したい結論ありきで、自説に都合のよい情報を並べて、決め付けているように感じられる。

    たとえば「大義名分のない侵略戦争であり、また、勝利の見通しのない無謀な戦争であった」(p52)とあるが、当時の政府や軍部に、「侵略戦争」とか「無謀な戦争」という認識があったのだろうか?植民地の女性が慰安婦にされやすかった理由のひとつとして本社は「民族差別」を理由として挙げているが、そうではなく、韓国・朝鮮人のほうが圧倒的に貧乏だった、圧倒的に識字率が低かった(本書によると女性の識字率は8%)、その結果日本人よりは職業の選択の自由が少なかった、その帰結に過ぎないのではないだろうか?

    このように、議論の前提となる条件からして、決めつけている感が拭えない。

    証言は泰氏と同様丹念に拾い上げていっているように思うと、残念でならない。証言をした元慰安婦女性の心情には、ウソ偽りはないと思う。字が読めないため、記憶があいまいで論理的整合性に矛盾した証言が多く、証言の信頼性が欠けるのは泰氏が指摘しているとおりである。

    <目次>

    ? 設置の経過と実態〜第一次上海事変から日中戦争期まで〜
    ? 東南アジア・太平洋地域への拡大
    ? 女性たちはどのように徴集されたか〜慰安婦たちの証言と軍人の回想〜
    ? 慰安婦たちが強いられた生活
    ? 国際法違反と戦犯裁判
    ? 敗戦後の状況
    終章
    あとがき

    2014.10.05 読書開始
    2014.10.07 読了

  • 95年に発行されていて、史料発掘による事実の検証が中心の本だ。よって、件の少女像のように昨今騒がれている話題には繋がらない。もちろん、この問題に関わる人道的・倫理的な問題指摘はしているが、具体的に誰が誰にどう保障するかという論点には触れていないが、中身には露骨で生々しい引用もあり、正直言って読み進めるのは辛かった、しかし、上辺だけの感情論に走らぬためにも、こうした素に近い情報に触れるのは損はないはずと思う。日本以外の従軍慰安所との比較もあり、概ね客観的な立場で書かれているが、戦時中という特殊な状況下にして、何故この問題が起きてしまったのかという本質論についての掘り下げが浅く、日本的な男尊女卑的な文化というような、ふわっとした因果に帰着させていたのが少し物足りなかった。

  • 朝鮮人の軍による強制連行の有無ばかりが議論されているが、強制連行の有無以前に、人権侵害とされるべき問題と思う。
    日本人従軍慰安婦が社会問題とならなかったことをよいことに、軍の関与を否定しているいうに思う。
    生死の境を彷徨った兵隊がストレスから解放されるための儀式だったのだろうか?
    日本軍にかかわらす戦争遂行のために必要な施設。肯定できる戦争などあるのか?

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