術語集 2 (岩波新書 新赤版 504)

著者 :
  • 岩波書店
3.36
  • (9)
  • (16)
  • (55)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 343
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305040

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 目次:
    まえがき―『術語集Ⅱ』について
    1 悪―存在の欠如/関係の解体/〈人類を進歩させていく重要な要因〉
    2 アニミズム―生命感覚/アニマティズム/粘菌
    3 アフォーダンス―現象学/マインドスケープ/表情
    4 安 楽 死―消極的安楽死/リヴィングウィル/自然死
    5 イスラム―湾岸戦争/モロッコ/ロジェ・ガローディ
    6 インフォームド・コンセント―術語の翻訳/宝石箱効果/文化の翻訳
    7 ヴァーチャル・リアリティ―実質性/仮想記憶/マインド・コントロール
    8 老 い―〈人生の階段〉/平均寿命/老熟
    9 オートポイエーシス―渦動/動的非平衡系/法システム論
    10 オリエンタリズム―脱エグゾチズム/イメージの押しつけ/ヘテロピア
    11 顔―観相術/顔画像のシミュレーション/《汝、殺すなかれ》
    12 カ オ ス―無為自然/力学的カオス/カオスモス
    13 記 憶―古代記憶術/〈方法〉の発見/想起的記憶
    14 共 同 体―エゴの孤独。社会主義の実験/〈無為の共同体〉
    15 グノーシス主義―異端/善悪二元論/〈悪しき造物主〉
    16 クレオール―ピジン語/ポストコロニアル/カリブの〈新しい世界〉
    17 宗 教―信仰心/虚無の自覚/逆光の存在論
    18 儒教文化圏―沈黙の宗教/儒仏道三教/産業的儒教倫理
    19 情報ネットワーク社会―informare/サイバースペース/ネチケット
    20 人工生命―セルオートマトン/遺伝的アルゴリズム/〈ティエラ〉
    21 人工知能―思考する機械/エクスパート・システム/ニューロコンピュータ
    22 崇 高―反美学/無感動/縄文の美
    23 世代間倫理―社会契約の相互性/長期責任の倫理/恩返し
    24 テクネー―ヒポクラテスの誓い/アート&テクノロジー/放下
    25 哲 学―生き方の確実な基礎/絶えざる自己還帰/哲学リズム節
    26 日本的霊性―無分別知/もがり/生命存在論
    27 脳 死―死の基準/脳幹死/人間の死
    28 恥の文化―罪の文化/場所の支配/〈キタナイ〉
    29 ヒトゲノム―シークエンシング/遺伝子テスト/遺伝子治療
    30 秘密金剛乗―大乗と小乗/オウム教団/三毒十悪
    31 ファジー集合―〈良い加減〉/コンセンサス/非デカルト的認識論
    32 フェミニズム―〈女嫌い〉/ジェンダー論/日本型フェミニズム
    33 複 雑 系―非線形/生きているシステム/〈カオスの縁辺〉
    34 ボーダーレス―性差の曖昧化/境界例/distinguo
    35 ポストモダン―ハイブリッドな建築/大きな物語の失墜/〈近代の超克〉論
    36 免 疫 系―もう一つの自己/胸腺/アポトーシス
    37 物 語―可能感覚/〈悟性の遠近法的短縮〉/物語vs科学
    38 弱さの思想―パトスの知/行為的直観/パテーマ大全
    39 リ ズ ム―振動/共振/汎リズム論
    40 歴史の終わり―社会主義終焉/純粋状態のスノビズム/気概の喪失
    文 献/あとがき/人名索引・事項索引

  • 本編と併せて書棚の真ん中に置いて繰り返し紐解きたい最良書。

  • 高校一年の時に、国語の教師に勧められたもの。人生初の新書。ある意味読書体験の始まりであり、原点である。
    「アイデンティティ」から始まり、「エロス」や「悪」などの語句の意味が解説されている私家辞書である。
    読み始めは、なかなか読みづらかったのを覚えているが、評論文の文体に慣れてくると、いつの間にか知的な刺激に病みつきになっていた。
    国語が苦手な全ての高校生に読んでほしい一冊だ。

  • キーワードを「今北産業」的に数ページで解説してくれる優れもの。入門の入門くらいの感じでさくっと入っていけます。

    メモ
    ・歴史の全体性がどれほど捉えにくく、それに向かい合う人々をカオスに直面。世界の総合的性格の捉えにくさ、それは永遠にカオス

    ・リズム:アナログ的・非線形的⇔デジタル的、この断絶を埋めるものとして振動、リズム。
    共通のサーカディアンリズム(生物の体内時計のリズム)をはじめ、様々な周期のリズム振動が多数存在。別々に存在してるのではなく、互いに引き込み(entrainment)によって共振し豊かになる。
    「リズム振動」「引き込みによる共振」→いたるとこに見出され、偏在的現象。・・・古代人はいち早く直感的にとらえていた。

    ・カオス:熱力学ではっきり。エントロピーは不可逆的変化によって常に増大。ex)心臓、脳の振動に生ずる乱れ/野生動物の個体群の変動→自然の不規則な面、断続的で気まぐれな面。
    実在の無秩序、不安定性、非平衡、非線形の関係性・時間性。
    巨視的に見れば無秩序かもbut微視的に見れば高度に組織化されている。

    ・バーチャルリアリティ:vertu=美徳。formal/possible/actualの反対→実質的な。
    光学>屈折や反射が生み出す「虚像」。想定できない粒子の速度、運動率=ヴァーチャル速度、ヴァーチャルモーメント。
    コンピュータ>ヴァーチャルメモリ=仮想記憶、エイリアス(デスクトップの分身)。光学上の虚像とにてるかな?
    あるにはあるが通常と違う「別の在り様」

    コンピュータサイエンスやテクノロジーが人間にもたらした新しいリアリティ(現実)は今考えるべきところかな。

    フロイト:文化は人間が作った貴重な産物。自分が作り出した文化によって拘束されるパラドックス。言葉もそうだね。
    マルクス:資本主義社会規範によって人間性が疎外される。

    ・オリエンタリズム:EUによる異国趣味(=西洋の東洋に対する支配の様式)。非EUなイメージの押し付け。
    根底>東洋西洋間の本質的な差異、存在論かつ認識論の分別。
    特定なイメージで表現、把握。

  • [ 内容 ]
    不透明感を増す現代を、根底から照らすキーワードを精選しておくる、ベストセラーの続編。
    「悪」「記憶」「宗教」「哲学」「物語」といった基本となる用語から、「アフォーダンス」「オリエンタリズム」「脳死」「歴史の終わり」など現在みおとすことのできないテーマまで、全四十項目を一新。
    緊密に関連づけられた叙述から明晰な認識が導かれる。

    [ 目次 ]
    悪―存在の欠如/関係の解体/“人類を進歩させていく重要な要因”
    アニミズム―生命感覚/アニマティズム/粘菌
    アフォーダンス―現象学/マインドスケープ/表情
    安楽死―消極的安楽死/リビングウィル/自然死
    イスラム―湾岸戦争/モロッコ/ロジェ・ガローディ
    インフォームド・コンセント―術語の翻訳/宝石箱効果/文化の翻訳
    ヴァーチャル・リアリティ―実質性/仮想記憶/マインド・コントロール
    老い―“人生の階段”/平均寿命/老熟
    オートポイエーシス―渦動/動的非平衡系/法システム論
    オリエンタリズム―脱エグゾチズム/イメージの押しつけ/ヘテロトピア〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『悪』が一番しっくり来ました。

    悪=関係性の破壊

    確かに。

  • これも言語論の教科書。

  • 100円で手に入れたにしては、お値打ちの1冊であった。よくわからん用語も多いことは多いが、大概の記述は一般の読者向けに、ごくくだけた文体で書かれている。教養が即刻効果を表すかどうかはともかくとして、なんとはなしに、興味は広く持たなくてはいけないなあ、という気持ちにさせてくれる。

  • 高3〜浪人時代、各章を400字で要約してました。これによって、基礎知識だけでなく、文章法も学びました。

  • 術語集の続編。こっちの方が現在よく聞く言葉を多く採り上げている気がする。とはいえ、コンセプトは変わらず、ちゃんと意味を理解して使いたい言葉が選ばれていて、すごく勉強になった。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1925年、東京都出身。哲学者。明治大学名誉教授。東京大学文学部卒業後、文化放送に入社。その後、明治大学法学部教授を長く務めた。西洋哲学をはじめ日本文化・言語・科学・芸術などに目を向けた現代思想に関する著書が多数あり、主要著作は『中村雄二郎著作集』(岩波書店、第1期全10巻・第2期全10巻)に収められている。山口昌男と共に1970年代初めから雑誌『現代思想』などで活躍、1984年から1994年まで「へるめす」で磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、山口昌男とともに編集同人として活躍した。

「2017年 『新 新装版 トポスの知 箱庭療法の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村雄二郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×