こころの定点観測 (岩波新書 新赤版 718)

著者 :
制作 : なだ いなだ 
  • 岩波書店
3.38
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本棚登録 : 87
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307181

作品紹介・あらすじ

政治経済、社会保障、教育など、日本社会に「不安」が蔓延している今、「こころ」をめぐる事件・現象も少なくない。その実態をどう考えたらよいのか。専門家十名が各々の現場や体験に即して、報告・分析・提言を寄せる。編者の他、石附敦、香山リカ、小林司、鈴木茂、滝川一広、中井久夫、成田善弘、平松園枝、山中康裕氏らが執筆。

感想・レビュー・書評

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  • このときから20年以上が過ぎた。
    20年前と今。変わらないものと変わったもの。
    このときの観測や予測が正しいとかではなく、流れの中においてみること。そして、20年が過ぎた今にいる人間たちもまた、観測を続けること。そういう意味で画期的な企画だったと思う。
    様々な立場の人間がどのように著述するのか、そのスタイルの違いも非常に表れている。真理をついて20年たった今でも色褪せないもの、その当時の流行り廃りの中で消えていったと思われるもの、無難な問いかけで終わらせて思惟を拒絶しているもの、出会った経験を大切にし行間に豊かに思いを含ませているもの。
    同じ企画をしたらいったいどんな観測が拡がるだろう。20年後生きているものから、ああそんな時代もあったんだなと同じように言われ、一笑に付されるかもしれない。あるいは人間ってやっぱりいつも変わらないんだなとあきらめに似た感覚を抱かれるかもしれない。けれど、こうした観測がその後を生きるひとの観測の糧となる。
    どうかこの企画も流行り廃りの中で埋もれさせないで続けていってほしい。

  • 735円購入2010-07-06

  • 【由来】
    ・大通のブックオフでたまたま。なだいなだ先生だったから。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 少年犯罪に注目が集まっていたころの著述集。こころの問題に関わる専門家の見立て。

  • 病いは世につれ、世は病いにつれ、か。
    症状は社会的なものであるとしたらそれは当然である。
    鈴木茂先生の境界例への対処の変遷は参考になった。全ての疾患は境界例の症状をはらむ、と言いたくなるほど現場は苦労させられているからだ。
    発達、そして人格。世界は少しずつハードになりつつ、ただ続いてゆく?

  • 10年以上前にも、「最近の若者」に対しては今と変わらない内容のことが言われていたとわかった 仕様なんだけど内容はてんでバラバラ好き放題という感じなので、この本で定点観測するのはなかなかに教養のある人にしか無理なんじゃないかなあという印象 しかし今でも読める本ではある

  • [ 内容 ]
    政治経済、社会保障、教育など、日本社会に「不安」が蔓延している今、「こころ」をめぐる事件・現象も少なくない。
    その実態をどう考えたらよいのか。
    専門家十名が各々の現場や体験に即して、報告・分析・提言を寄せる。
    編者の他、石附敦、香山リカ、小林司、鈴木茂、滝川一広、中井久夫、成田善弘、平松園枝、山中康裕氏らが執筆。

    [ 目次 ]
    若者の精神病理―ここ二〇年の特徴と変化(成田善弘)
    社会が病むということ―個人の異常と社会の異常(なだいなだ)
    自分らしく選ぶために(平松園枝)
    子どもたちの「窓」から眺めた子どもたちのこころと世界の変化(山中康裕)
    悩みぬいて生きるために―非行に陥った少年の目線から(石附敦)
    いじめと「心の教育」(小林司)
    境界例(ボーダーライン)患者の二定点観測―二〇年間の変化(鈴木茂)
    一精神科医の回顧(中井久夫)
    “いくつもの私”と“ほんとうの私”―変わりゆく自己(香山リカ)
    こころに掛かっていること(滝川一広)

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 再読。
    高校に入学したときに、合格者説明会のあとの物品販売で最初に買わされた本。新書を無意識に敬遠していた自分にはとてもいい機会でした。
    思えば高校は私が気づかないような本を提供してくれて、─読書の積極性を奪っているという非難こそあるかもしれないが─私の読書経験を育てる上で良い役割を果たしていた気がします。

    10人の識者による10個の定点観測であり、私のようにちゃんとその方面を勉強していない人間かつそのくせそういった方面におおまかな興味がある人間にはおあつらえ向きでした。
    個人的にはボーダーラインが馴染み深かったです。


    そしていまだに忘れられぬ一幕。
    私が高3冬に青年期らしいことで悩んで保健室に通っていた頃、この本を保健室の本棚に見つけたときの会話。
    自分「この本に出てくるボーダーラインと自分に少なからぬ類似点がある気がします」
    保健の先生「じゃあ自分で治してよ」
    自分「……^^;;」
    ごもっともで。

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著者プロフィール

なだいなだ:1929-2013年。東京生まれ。精神科医、作家。フランス留学後、東京武蔵野病院などを経て、国立療養所久里浜病院のアルコール依存治療専門病棟に勤務。1965年、『パパのおくりもの』で作家デビュー。著書に『TN君の伝記』『くるいきちがい考』『心の底をのぞいたら』『こころの底に見えたもの』『ふり返る勇気』などがある。

「2023年 『娘の学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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