ヒトゲノム: 解読から応用・人間理解へ (岩波新書 新赤版 728)
- 岩波書店 (2001年5月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004307280
作品紹介・あらすじ
ヒトDNAの全塩基配列を読み終えた-二〇〇〇年六月、クリントンとブレアは高らかに宣言した。急速に進むヒトゲノム解読はいまどこまで到達し、これからどう展開していくのか。日本が中心となった二一番染色体全解読から何がわかったのか。さらに遺伝子の解明、医学への応用、人間とは何かの追究について、日本の第一人者が語る。
感想・レビュー・書評
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この本と同じ時期に出された
『ゲノム解読がもたらす未来』は、サイエンスライターの金子隆一が
書いて、全般的な ヒトゲノム解読の意味と今後の展望をかいているが、
かなり、ゲノム解読の位置が、
仮説的な物語がふんだんに取り入れられているのと比べて、
この本『ヒトゲノム』は、ヒトゲノムプロジェクトにかかわった
研究者の榊佳之が書いているので、内幕話があったり、
日本人の研究者の活躍を紹介したり、セレラ社のやり方に批判をしたり
研究者的な感情が吐露されているのが なんとも言えずおもしろい。
専門的な部分が多く、露出して、解説に深みがある。
ヒトゲノム解読がなされて、ポストゲノム計画といわれるが、
ゲノム計画が終了したのではなく、ポストシークエンスというべきだ
というところも、現状認識としてはそういうことだろう。
ヒトゲノムが解読されて、
従来の 現象を見てその原因となる遺伝子を見つける方法から
遺伝子から、それが関与する現象を知るという方法に変化した
というのが、ポストシークエンスの大きな変化でもあろう。
ヒトゲノムが解読され、そこは 大きな可能性を秘めているが、
榊佳之は言う
『宝の山なのだけれども、見る人が見ないと、ゴミと変わらない』
確かに、そうだ。
ヒトゲノムを一般のニンゲンがどう活用するのかは、
まったくわからないし、どうしたらいいのかもわからない。
わかる人にしか わからない世界なのだ。
そういう意味では セルラ社のクレイグベンダーが
ビジネスとしての ヒトゲノム を一番理解しているのかもしれない。
ヒトゲノム解析を基にした疾病遺伝子の発見と機能解析から、
病気の発症メカニズムの解明が進展する。
たんぱく質を分析するよりも、遺伝子の分析は容易で正確。
その結果、さまざまな新しい薬や治療法が開発され、
一人一人の体質にあった医療が可能となる。
多くの検査や診断法は、病気が発症してから、あるいは
病気の兆候となるなんらかの変化が見えたところでしか診断できない。
遺伝子診断では、引き起こされる将来の
病気や表現型を予測することができる。
ヒトゲノムがわかることで、『人間とは何か』ということが、
発生・分化、生殖、行動、思考、知性、進化などのさまざまな視点から
ゲノムを通してもう一度人を見てみる。
ゲノムの中にはヒトの歴史も書き込まれている。
ヒトの言葉を使う能力や高度な思考をする能力が、
ゲノムの中に書き込まれているはずである。
儲かるか儲からないか。役に立つか役に立たないという基準だけで
判断することは できない。
ヒトゲノムは そういう視点で見ることで 真の宝の山となる。 -
ヒトゲノム解読のための機器の開発、各国との競争および協力(予算のかけかた)など、研究者たちの苦労と努力が書かれている。
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ヒトゲノムについて知りたくて、BOOKOFFで105円で販売されていたので購入。
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[いま読んでいる本]
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遺伝子を解析されると、何だか心の中を土足で踏み荒らされたような気がする文系の人に必携の1冊です。別にゲノムが分かったからと言って心まで分かるわけではないんです。気にせずに生きましょう。でも、前もって「あなたは何歳頃にこのような遺伝病になるでしょう。」などとは言われたくないですね。
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バイオを学んでいる人向けに、今どこまでがわかっているのかが書かれています。また今後、どのような方向に進んでいくべきかも書いてあります。ただ岩波は難しいので嫌いです(笑)