IT革命: ネット社会のゆくえ (岩波新書 新赤版 729)

著者 :
  • 岩波書店
3.34
  • (4)
  • (6)
  • (23)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 110
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307297

作品紹介・あらすじ

地球規模のメディア・ビッグバンによって、ブロードバンド時代が訪れようとしている。放送と通信の融合、インターネット接続が可能な家電製品の普及などとともに、今後、人々の生活はどのように変わるのか。都市空間や居住空間、従来の共同体はどのように変容するのか。二一世紀のネット社会のビジョンを示す壮大なIT論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 子どものころ描いていた21世紀の街のイメージは、車が空中を行きかい、ボタン1つで欲しい料理が出てきて、面倒な家事や仕事はすべてロボットがしてくれる。ロボットはちゃんと人間の言葉を解して、感情も持っている。そんなものでした。でも実際に21世紀を迎えるとそんなことは全然ありませんでした。まあ、想像できなかったのは、こんなに急速にケータイが広まったということくらいでしょうか。それと自分が毎日のようにパソコンに向かっているということも。さて、このタイトルには実はほとんど興味がないのですが、この著者が書いているということで本書を手にしました。これから10年くらいの間の世界像が大変わかりやすく描かれています。ものすごく楽観的ということでもなく、悲観的ということでもなく、非常に冷静に先を読んでいるように感じました。まず、この5年くらいの間にテレビがデジタル化される。同時に光通信が可能になり、テレビでインターネットに接続できるようになる。情報の流れも非常に早くなる。テレビというメディアが一方的、受け身なものでなくなる。こちらからも発信できるようになっていく。たとえば、情報番組を見ていて気に入ったお店があれば即予約ができる。たとえば、ドラマを見ていて主人公の着ている服が気に入れば即注文できる。インターネットの中に新しい社会が出来上がっていく。同じ目的を持った人たちが非常に集まりやすい環境ができる。そこではお互いに欲しいものをもらったり、できることは相手にしてあげたりする。すでに実際にそういう取り組みをしている人たちが世界にはいるそうです。LETSを代表とする地域通貨システムなどが新しい動きとして注目されています。地域通貨はどちらかというとせまい範囲、自治体での話ですが、インターネット上で電子マネーなどを使って1つの社会を作り上げていくことも可能なようです。もちろんいろいろな危険性もはらんでいます。たとえば注文してお金は払ったけど商品が来ない、逆に商品を送ったのにお金が払い込まれない、などなど。それに、顔を見ずに文字だけで会話しているので、つい空想的な話が現実味を帯びてしまう。すでにケータイのメールによる事件がいくつも起きています。そしてそれらの危険性に対処する方法もいろいろ考えられています。人間というのは大したものだと思います。新しい問題が起こればすぐそれに対処する方法を考えていく。IT革命によってできる社会にはとても魅力があります。でも、本書には今かかえている地球規模での環境問題や人口問題については何ら触れられていません。それらがIT革命の影響でどう変わっていくのかも知りたいと思いました。最後の方で著者が展開した議論には、実は私が子どものころに描いた21世紀の街のような世界が登場します。1000m級の超高層ビルの中に1つの社会を作り上げて行くなど、実は都市計画の専門家たちがすでに実際に考えているのだそうです。そんなことがこれから50年くらいの間には本当に起こっていくのでしょう。私が生きている間にどんな世界が見られるのか楽しみです。(15年ほど経過して、実際に起こっていること、そうでないこと、いろいろですね。)

  • あれから10年以上の月日が経ち...
    「放送と通信の融合」「ユービキタス」など懐かしいバズワードが並ぶ。
    筆者自身、今ではまた異なる見解を示すことでしょう。

  • 『マルチメディア』(岩波新書)の続編です。

    2001年に刊行された本で、ネット社会の到来によって、情報や人びとの社会的なつながりにどのような変化が現われることになるのかを展望しています。

    こうしたテーマの本は内容がすぐに古びてしまうは仕方がないとはいえ、前著の『マルチメディア』に比べても思想的な掘り下げがあまりなされておらず、やや不満を覚えました。

  • 10年以上前の本だが、読んでみる。
    電子マネーとかNTTと日銀がやっていたなんてことが書かれていた。
    サイバーフロンティアはアメリカの開拓と同じ感覚なのか??

  • (2002.02.05読了)(2001.12.07購入)
    内容紹介
    地球規模のメディア・ビッグバンによって,大きな生活革命が起きようとしている.放送と通信の融合やインターネット接続が可能な家電製品の普及などによって,今後,人々の生き方はどのように変わるのか.都市空間や居住空間,従来の共同体はどのように変容するのか.21世紀のネット社会のビジョンを示す壮大なIT社会論.

    ☆西垣通さんの本(既読)
    「電脳汎智学」西垣通著、図書新聞、1994.02.21
    「麗人伝説」西垣通著、リブロポート、1994.02.25
    「マルチメディア」西垣通著、岩波新書、1994.06.20
    「聖なるヴァーチャル・リアリティ」西垣通著、岩波書店、1995.12.05
    「インターネットの5年後を読む」西垣通著、カッパ・ブックス、1996.04.25
    「インターネット社会の正しい読み方」牧野昇・西垣通著、PHP研究所、1996.11.07
    「デジタル・ナルシス」西垣通著、岩波・同時代、1997.01.14
    「メディアの森」西垣通著、朝日新聞社、1998.10.30

  • きちんとした情報源、理論的組み立て。
    ITの専門家でない人が読むのには、よい本だと思います。
    また、IT業界にいるのに、一部の仕事しかしていない人が、全体を見渡すのにもよいかもしれません。
    それで何がしたいんですか?ということが、見えてきません。

  • 適当に手にとったこの一冊…

    10年も前の本であるけど電子マネーとか放送と通信の融合の考えた方とかあったんだなーと
    後ろの方の都市開発の考え方はすごい関心をもった

  • [ 内容 ]
    地球規模のメディア・ビッグバンによって、ブロードバンド時代が訪れようとしている。
    放送と通信の融合、インターネット接続が可能な家電製品の普及などとともに、今後、人々の生活はどのように変わるのか。
    都市空間や居住空間、従来の共同体はどのように変容するのか。
    二一世紀のネット社会のビジョンを示す壮大なIT論。

    [ 目次 ]
    第1章 IT革命とは何か(IT革命と生きがい 視野の狭いIT革命論 ほか)
    第2章 いま何が起きているか(中小企業も大企業と対等 ERP、SCM、ASP、IDC ほか)
    第3章 メディア・ビッグバンで変わる(光ファイバーを映像が流れる ストリーミングによるインターネット放送 ほか)
    第4章 オンライン共同体はできるか(一五〇名の群れ 共同体と生きがい ほか)
    第5章 情報都市をめざして(居住空間を見直す 工業社会の物流と情報流 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西垣通の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×