- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004307488
作品紹介・あらすじ
霊鷲山に座して真理を説く釈尊、空中に浮かぶ宝塔、大地を割って現われる無数の菩薩たち。『法華経』の世界はあくまでも視覚的イメージに富む。インドに生まれ、漢訳を経て我々の手に伝えられたこの経典が、多くの人々を惹きつけてきたのはなぜか。「誰もが仏になれる」という究極のメッセージを中心に、その歴史、構造、思想を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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タイトル通り『法華経』の学び、理解を深めるための一著。著者による解説や講義というよりも導入部?や周辺(仏教全体の流れとか)の説明もあり、下手な現代語訳や解説書よりも法華経の魅力が伝わってくる、気がする。久しぶりに読んだけど、忘れてることが多く、勉強不足だと痛感。もっと『法華経』の理解を深めていきたい。
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『法華経』の内容を解説している入門書です。
イメージ豊かな譬喩を用いて信仰の内容をえがき出し、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の着想のもとになったことで知られる一方、平田篤胤が薬効の能書きばかりで肝心の丸薬が入っていないと批判したように、その理論的な意義がいったいどのような点にあるのか理解しにくい『法華経』について、著者は「仏教の哲学的理論書ではなく、一種の「宗教文学作品」というべきもの」であると述べています。
そのうえで、大乗仏教の形成や、『法華経』の成立とその受容の歴史を簡単にたどり、一仏乗の教えをはじめとする、『法華経』の思想の核心をなすと考えられる思想についての解説がなされています。また、『法華経』の特色をなす三車家宅の譬喩などについては、あらためて解説の章を設け、その豊かなイメージに読者が触れることができるようになっています。 -
別にその門に入ろうってわけじゃないんだけど、仏教の世界観って面白いから折りに触れて関連書を読んでみたりしている。
今回は、「諸経の王」とも言われる法華経について概観した本である。
修行を積んだものばかりでなく、誰もが仏になれる・・・つまり「大乗」の教えを初めて体系的に説いたものであるらしい。
広大無辺な仏教の世界観や、お釈迦さんがいかに神格化(仏格化、か)されて行ったか、「塵点劫」「恒河沙」といった途方もない単位がどうして生まれたか。それらが、このお経に特徴的な物語的な展開、スペクタキュラーな舞台設定、横溢する想像力のもとで描かれているらしい。
こうした一般民衆にとってもわかりやすい話運びで、大乗、救済の永続性、(みな必ずいずれは仏になる)衆生への尊崇の念などが語られているらしい。
長い時間、いろいろな人の手を経て「仏教の世界観」が創られて来たと思うんだけど、その源流がこのお経にあるらしい。
これらを教えてくれる、平明な解説本である。面白かった。 -
うちは真宗だけど、法華経の持つマジカルさは魅力的。解ったような解らないようなひたすら広大な(それこそ久遠の)世界観。
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入門とは易しいという意味ではない。初学者にとっては専門用語も多く、理解しにくい部分もあるかと思うが、法華経の内容、特質、歴史、文化をよくぞ新書の形で纏められたと思う。
・古代の社会において人間の平等を説くことは衝撃的で危険な思想であった。
・法華経の独自性は、散漫とも言える全宇宙に散在する無数の仏を統合する強力、強烈な仏を新たに確立することであった。
・初期大乗経典は、悟り型でもなく、救い型でもなく、誓願の宗教であったことを端的に物語っている。 -
私の知識量に対してぴったり合った解説でした。とてもわかりやすい。
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73点。古来「諸経の王」とたたえられてきた初期大乗経典の一つ『法華経』
『法華経』は仏教の哲学的理論書というよりも寧ろ、一種の「宗教文学作品」というべきもので七つのたとえ話などが説かれていて、平易な内容の中に深い思想を読み取らせるものになっている。
また釈尊が眉間からビームを発してみたりと宇宙的スケール(SF?)で展開する壮大かつドラマチックな経典でもあるのだ。
死者を思う気持ちには些かの疑問もないが、題目を唱えるその中に加わる気持ちはなかったので手にとったが、こんなにも深く素晴らしい宗教思想に触れやがれ。くらいの筆者の思いが伝わりすぎる。入門書なんだからもっとリラックスして書いてくれないと。
ウグイスが経読み鳥という名をもつのも「ホーホケキョウ(法華経)」と鳴くからなんだというのはちょっとした発見。