本よみの虫干し: 日本の近代文学再読 (岩波新書 新赤版 753)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307532

作品紹介・あらすじ

『にごりえ』、『三四郎』、『友情』、『一本刀土俵入』、『てんやわんや』、『点と線』、『父の詫び状』など日本近代文学の名作、話題作を、できるだけ現代人の視線から離れ、時代に即して読み直した日本近代文芸思想入門。愛、個人、人生、戦争、家族、病気、貧乏、異文化接触といった近代日本の重要テーマが鮮やかに浮かび上がる。

感想・レビュー・書評

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  • 文学作品を「史料」として扱い、近現代史を振り返るという試み。他人の「私」に興味が持てず「小説」を読まない人であっても、「歴史書」として読めば「時代精神の誠実な証言であり必死の記録」として違った味わいがあるかもしれないと思わせる、目から鱗の一冊である。

  • [ 内容 ]
    『にごりえ』、『三四郎』、『友情』、『一本刀土俵入』、『てんやわんや』、『点と線』、『父の詫び状』など日本近代文学の名作、話題作を、できるだけ現代人の視線から離れ、時代に即して読み直した日本近代文芸思想入門。
    愛、個人、人生、戦争、家族、病気、貧乏、異文化接触といった近代日本の重要テーマが鮮やかに浮かび上がる。

    [ 目次 ]
    1 「やさしさ」と「懐旧」の発見
    2 「愛」というイデオロギー
    3 「病気」「貧乏」および「正直」ということ
    4 「人生」という課題
    5 「家族」と「家族に似たもの」をめぐる物語
    6 「個人」であることの不安
    7 激烈な異文化接触
    8 自分の戦争、他人の戦争
    9 「青年」というステイタス

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    [ 参考となる書評 ]

  • 自分が読んだことのある本については面白く読めた。
    そうでないのでは、それほど読みたいと思わせられることもなく、少々辛かった。
    おそらく期待とのズレ。

  • 「文学には日本近現代史そのときどきの最先端が表現されている。」と筆者は言う。「文学は個人的表現である。と同時に、時代精神の誠実な証言であり必死の記録である。つまり史料である。」と。
    筆者によれば、「日本人はこの百年、おおまかにいって、自意識と結核と金銭と戦争と異文化接触を、いわばらせん状にえがきつづけてきた」ということであり、すなわち、これらのことが、日本の近代文学の、とのときどきのテーマであった、ということになる。
    この本には、60冊の日本近代文学作品についての、筆者の解説・感想・評論とでも呼ぶべきものがおさめられているが、それらが、上記のテーマに沿った形で分類されている。(実際には、カミュの「異邦人」など日本人以外の作品も若干収載されている。それは、この本が文学作品をえがくことを目的としたものではなく、そのときどきの日本の実相というか、時代の雰囲気を文学作品を通じてえがくことを目的にしているからであろう)紹介されている60冊の本のうち、読んだことがある本は、約20%。紹介されている本は読んだことはないが、別の本を読んだことがあるという作家は、全体の約50%。ということは、実は、この本を読む上であんまり関係がない。上記したとおり、「作品」に焦点があっているわけではなく、その背景となっている「時代」に焦点があっているからである。

  • ・1作品につきわずか数ページしか割かれていないのに、とても充実している。無駄がない。  ・帯にある「文学は歴史である」の言葉の意味が分かったとき、ああ、各著者の表現を楽しむのではない、 こういう読み方もあるんだ、ととても安心できた。

  • 『にごりえ』,『三四郎』,『友情』,『宮本武蔵』,『ビルマの竪琴』,『点と線』,『父の詫び状』など日本近代文学の名作,話題作を,できるだけ現代人の視点から離れ,時代に即して読み直した日本近代文芸思想入門.愛,個人,人生,戦争,家族,病気,貧乏,異文化接触といった近代日本の重要テーマが鮮やかに浮び上がる.

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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