- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308102
作品紹介・あらすじ
日本人の大好きなマグロの寿司や刺身。だが、そのマグロは近年、国際条約による規制をめぐって紛争がしばしば生じている。二〇〇〇年、日本がオーストラリア、ニュージーランドを相手に、ミナミマグロをめぐる国際裁判で逆転勝訴したが、この判決は何を意味しているのか?裁判の当事者が資源問題としてのマグロの現状を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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日本の数少ない国際裁判の、当事者による記録。
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ミナミマグロをめぐる2000年の国際裁判の経緯を中心にマグロの資源問題を解説している。前半は情報がまとまっていていい。
後半はミナミマグロをめぐる経緯で、著者は日本政府の代表としての立場だからやむを得ないが、日本側の取り組みを賞賛し、相手国側を非難する記述が目立ち、辟易した。4章の途中で読むのをやめた。 -
高級マグロとされるミナミマグロに関する、豪州ニュージーランドと日本の紛争。その紛争によって引き起こされた裁判の経緯と背景について。
当事者の方の書下ろしなので、臨場感もあっておもしろかったが、何分当事者の熱い思いが入りすぎていて、少し興覚めな部分も。
アメリカの水爆実験から漁場が高緯度に変わりそこで発見されたクロマグロに次ぐミナミマグロ。発見当時のミナミマグロの資源量、処女資源から乱獲され、相当数量が減った。ワシントン条約会議で絶滅危惧種に認定される気運が高まるが、認定されれば漁獲することができなくなるので、日本が地域漁業管理機関での管理が適切になされるものにはワシントン条約は介入すべきではないと主張。
その結果、オーストラリア、ニュージーランド、日本の3国で「みなみまぐろ保存委員会」を設立し、ミナミマグロ条約の締結を急いだ。
絶滅危惧種に認定されることを防ぐ目的で締結した条約であったが、豪州ニュージーランドと日本のスタンスが決定に違った。
日本は適切な管理をし資源量は回復し漁獲量を上げることは可能というスタンスに対し、豪州ニュージーランドは動物愛護の観点や漁獲量が増えてミナミマグロの単価下落の危機感で、一向に話が進まない・何も決まらない委員会となってしまった。
利害が一致しない集団同士では何も決まらないということは自明だが、その集団が国というスケールまで大きくなると、もはや手がつけられない。
国際裁判で決着がついたが、まれなケースなのかもしれない。竹島も国際裁判で決着を着けるべきだといわれるが、それも難しい理由が本書を読んで何となく分かる。
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クロマグロ Nouthern Blue tuna
ミナミマグロ
→刺身、寿司用の高級マグロ
メバチマグロ Bigeye tuna
→刺身用だが、料亭などではなくスーパーで刺身用と売られている
キハダマグロ Yellow tuna
→ピンク色の肉食。これ回転すしで回ってるやつかな。。
ビンナガマグロ
→白身のマグロ。脂がのっている部分は「ビントロ」。これも回転寿司かー
マグロの種類にはそこそこ詳しくなりました☆ -
ミナミマグロの漁獲量制限についての交渉がなかなか進まず、日本単独で実施した調査漁獲に関して、豪州+ニュージーランドから訴えられた裁判の顛末が主な話の中心です。資源管理のために提示された仮説の科学的根拠を判断するのが難しいのはもちろんですが、こういう国際私法に関する紛争に巻き込まれた場合、司法機関が中立公正じゃなかったり、管轄権をはじめとした手続法や裁判法が明確じゃなかったり、色々と問題があるんだなぁと実感しました。マグロの資源管理問題というよりも国際私法の仲裁に関する本だと思った方がいいかも。
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この本のおかげで大変助かりました…。
国際裁判もあてにならないものじゃあるね。特に機関が出来立てほやほやの場合は。