- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308225
作品紹介・あらすじ
中国語は一字一字が意味を伴う漢字という字によって表現され、他の言語とはちがった独自の歩みをしてきた。漢字の起源から現在の簡体字まで、中国人は漢字に対してどのように取りくみ、用いてきたのか。漢字の形、音、意味の問題を中心に、豊富なエピソードを交え日本に与えた影響にも言及しながら描きだす漢字文化史。
感想・レビュー・書評
-
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705489詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
p1:漢字は形(かたち)と音(おん)と義(いみ)からなる。
中国での辞書はまずこの三つに分かれて編まれた。
字書:漢字の構造により分類・配列し、意味を説く。「説文解字」、「玉篇」など。
韻書:南北朝時代からの漢詩作成のための参考書。漢字の韻によって分類・配列。「切韻」など。
義書:語の意味に従って分類・配列。「爾雅(じが)」など。
P65:言葉の概念(意味)と聴覚映像(音声)には論理的なつながりはなく、恣意的。(ソシュール)音声「イヌ」と犬との論理的結びつきはない。
劉熙(後漢末~三国魏)『釈名』声訓によって語源を探求。 -
[メモ]・四声を表したのは少しあとから。・”使われる言葉”は簡略化されていく。・どんどん複雑化されていった漢字。
-
漢字を発明したのは,ユンケルでおなじみの黄帝に仕えた,蒼頡という四つ目の文書担当官僚。はい,もちろんこれは伝説です。今のところ漢字の起源は,最も溯って殷の甲骨文。その後,春秋戦国ころにはバラバラになっていた書体が始皇帝によって篆書体に統一され,それをより実用的にした隷書から漢代には楷書がうまれる。我々が最もよく使う楷書が,実に二千年近くも昔にできあがっていたなんてすごい。ただ,近代化の過程で,漢字は大陸では簡化の憂き目にあい,伝統的な楷書は,ヘンテコな簡体字に取って代わられる。いやはや,随分と無茶をやるものです。このような,漢字のたどった数奇な運命を義書,字書,韻書・韻図の歴史とともにたどる。
簡体字は手書きには便利。チャイ語をかじった人ならちょっとメモするときに使うことがあるはず。なんせ七画の言偏が二画,十画の馬が三画で書けるんですから。ただ,活字もあれではかえって分かりにくいとの声も。かつては広大だった漢字文化圏からベトナムが消え,朝鮮もほぼ脱落し,辛うじて残ったのが中国・日本・台湾。簡体字・戦後略字・繁体字,折角残ったこの三箇所で,いまやそれぞれバラバラな漢字が使われているとは,歴史の女神も意地悪ですね。 -
大学のときに出ていた音韻論の授業はチンプンカンプンだったけど、本書のⅣ「表音文字として使う 韻書と韻図」を読んで、概略を理解することができた。
もちろん漢字の音韻だけでなく、その成り立ちや、字書の歩み、簡略化など、広く漢字一般のことを学ぶことができる。
まさに「漢字入門」にふさわしい一冊。 -
どんな感想が自分もわからないな