未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書 新赤版 837)
- 岩波書店 (2003年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308379
感想・レビュー・書評
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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を観たので、復習として読んだ。2003年の本なので情報は少し古いところもあるけれど(とくにデジタルまわり)、基本的なところは変わっていない。アメリカの「公共」とは「お役所」ではなく「市民」が作るもの。図書館とは、物理的スペースでも無料貸本屋でもなく、人と人をつなぎ知を支えるもの。
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ニューヨークの図書館の状況の紹介。図書館を貸本という機能だけでなく、どのような目的で存在しているのかに注目しているからこその利用のされ方となる構造となっている。
図書館に足を運ぶかではなく、サービスを受けられるかが大切という言葉にそれが表れている。
地域情報の核として同時多発テロ直後にホームページを更新。
起業セミナーを開くなど、幅広い学びの場。
音声データ、映像データの提供。広告など出版ルート以外のものの収集。
俳優志望者が朗読や音訳ボランティアをやる。
テレビ番組の図書館というのも新しいと思う。
寄付によって成り立っている。 -
図書館はただの貸本屋ではない!
図書館に秘められた可能性に気づきワクワクすると同時に日本の図書館をもっとより良いものにしていかなければ、という危機感を抱くような本。
自分で主体的に考える。与えられた知識を鵜呑みにしないリテラシーの獲得。
その力を付けられるヒントは図書館にあるのかもしれません。 -
今だけではなく未来の、理想的な図書館がそこにはあって、けどここに出てくるのは理想ではなく現実の図書館で。
日本とアメリカの図書館への認識の差もあるのだろうけど、それにしても。
やっぱり形にとらわれないこと、ニーズに合った活動をすることってすごく大事なんだなぁ、って思った。
日本の図書館は蔵書にこだわりすぎている、というのも分かった一冊。 -
図書館は夢をかなえる場というところが印象に残りました。
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本当に憧れる図書館の姿だなぁと思えた。
死ぬまでに一度は自分の目でニューヨーク公共図書館見てみたいです。 -
ニューヨーク市の公共図書館の起業、芸術、医療支援等の情報発信能力、制度・システム、国市以外のNPO、寄付団体等の財源の在り方、体制、魅力的な運営実態を紹介。貧弱な日本の公共図書館との比較、その改善策を説く。
NY公共図書館の特徴としては、①多様な情報の蓄積、媒体、発信、②情報の選択、評価、知の案内機能と人材育成、③市民の図書館活用力の育成、④人同士の出会いの場提供、
⑤研究スペース等知的空間の提供、⑥著作権問題、デジタル化への対応等。
ネットワークとしては、全市89館、うち地域分館85館、研究図書館4館(人文科学、科学産業ビジネス、舞台芸術、黒人文化研究)、専門館(点字館等)
読書愛好家に限らず、一般市民としてコミュニテイー形成の柱としての公共図書館の存在は実に羨ましい限り。 -
ニューヨーク公共図書館は本の貸し出し以外にも色々な活動をしています。
それも、図書館のミッションが「全市民が知を活用できる事」と思えば
納得です。
日本人は最初に全体の枠を決めると、その中で活動します。
図書館も「本を無料で貸し出すところ」と枠が固定化されると
誰もそれ以外のことをしません。思いつきません。
「図書館がそんなことまでするんですか?」という発言に
全てがあらわれています。
また公共という言葉も、自分たちのという意識が無く
お役所の仕事と思っています。
日本人は、公共や自由、平等、知などの概念は知ってはいても、
理解が間違っていると痛感させられる本です。 -
映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を観るのに合わせて読んだ。単に本を収蔵し貸し出しするだけの場所ではなく、情報や文化を発信し、芸術を育て、地域を支援しようという幅広い活動が紹介されていて面白い。デジタルなデータや情報がネットで多く手に入る時代に図書館がどうあるのか、とても興味を惹かれた。