大黒屋光太夫 (岩波新書)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308799

作品紹介・あらすじ

鎖国下の一八世紀後半、廻船・神昌丸が駿河湾沖で遭難、乗員らは漂着先のアリューシャン列島からシベリアへ渡った。立ちはだかる言葉の壁、異文化体験の衝撃、帰国を阻むロシア側の思惑…。帝都ペテルブルグでついにエカテリーナ二世への直訴を果たし、十年ぶりに帰国した船頭・光太夫らの数奇な漂流・漂泊の軌跡を新史料を交えて描く。

感想・レビュー・書評

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  • シネマ歌舞伎『月光露針路日本 風雲児たち』を観て読みたくなった。江戸へ向かう廻船が遭難しアリューシャン列島に流れ着いた17名の乗組員たち。船頭の光太夫は不屈の意志と持ち前の明るさで帰国をめざすが、仲間たちは過酷な環境の中次々と命を落としていく。
    帰国を阻む厚い壁に敢然と立ち向かい、ついには女帝エカテリーナ二世への謁見まで果たした光太夫。周囲を味方にしてしまう陽気さと柔軟さが彼の強みだったのだろう。10年を経て帰国した彼らが、かつての説のように幽閉されていたのではなく、比較的自由な生活を送ることができたことを知りほっとした。

  • 光太夫と磯吉は生き残ったのもすごいけど、それは運だけでなく状況をつかむ力、語る力のすごさもあると思った。『北槎聞略』が読んでみたくなる。

  • 18世紀末、ロシアに漂着し日本への帰国を果たした大黒屋光太夫の足跡を、実際の史料に基づきつつ小説風の筆致で描いている一冊。

    著者は「大黒屋光太夫史料集」の編者でもある。資料的な側面での裏づけは充分にあるのだろう。

    当時のロシアはエカテリーナ2世の治世末期。シベリア進出を図ると共に、日本との通商も視野に入れていた。そのためには日本語を話せる人材が必要であり、日本からの漂流者は日本語教師としてロシアに残ることが望まれていた。
    一方、徳川幕府は鎖国政策をとっており、異国に出た人間が帰国を果たすのは類のないことだった。
    こういった状況下にあって、あくまで帰国したいという思いを貫き、それを成し遂げるのは、ある種奇跡のような出来事だった。

    何度か小説化や映像化のなされてきた題材であり、内容を知っている方も少なくないかと思う。
    本書は史実に沿った形で読みやすくコンパクトにまとめられており、かつ、心動かされる内容となっている。
    一読をお薦めしたい。

  • 話は知っていたけど、映画も見てないしちゃんと何かを読んだこともなかったわけで、やっと一通りの奇譚を通読できた。光太夫のような、漂流民という存在が他にもいたのはちょっと驚き。帰郷には幾つものハードルがあったけど、日本の鎖国ってのが一番厄介だったのは皮肉な話だ。

  •  最初は、司馬遼太郎さんの「菜の花の沖」の人だと思って読んでいましたが、途中で間違いに気が付きました。あっちは、高田屋嘉兵衛です。
     私は、ジョン万次郎やシャクルトンなどの漂流物が好きで、その一環としてこの本も手に取りました。
     新書ですが新書っぽくなく、実際にそう言ったのかどうかは分かりませんが、一向のセリフとかも多くありました。
     ジョン万次郎の子孫は、伝記を書いたりしてますが、光太夫の子孫とかはどうなったのか気になります。

  • おもしろかった。
    ただ最後の章で少しトーンダウン・・・。

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