韓国現代史 (岩波新書)

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著者 : 文京洙
  • 岩波書店 (2005年12月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309840

韓国現代史 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 韓国の現代史を簡潔にたどった本です。なお2017年現在、本書の改訂版である『新・韓国現代史』(岩波書店)が刊行されています。

    第二次大戦の終結と日本の植民地支配からの解放を出発点として、盧武鉉政権の誕生とその後政権が直面することになった問題までを、分かりやすく説明しています。とくに著者が力を入れているのが、民衆の視点から民主化への動きを詳しく論じることです。同時に、地域間の相克が韓国国民の民主化の願いを分断することになった経緯や、インターネットの隆盛による国民世論の動きが政治にストレートに反映してしまうことの「光」と「影」について読者の注意をうながしています。

    とはいえ、あくまで韓国現代史を概観するための本であり、特定の主題に基づいて韓国の政治と国民の歩みを検証したものではありません。韓国の歴史について一通りの知識を得ることができるコンパクトな入門書です。

  • 読んで良かったなあ、と思いました。
    恥ずかしながら、ほんとに判っていませんでした。韓国の現代史。
    一八九四年日清戦争。一九〇四年日露戦争。
    「坂の上の雲」な日本の歩みは、要するに「朝鮮や台湾、そして満州を植民地にすることで、後発ながら帝国主義の勝ち組の仲間入りをする。アジアで唯一の帝国主義勝ち組になる」。
    ということに尽きるんですね。
    ハッキリ言って、植民地に売るほどの製品も無いんですけど、そこは工業化と無茶苦茶な同時並行で突き進んだ訳です。
    それが善とか悪とかという価値判断は別として。
    ものすごくざっくりと。間違っていたらごめんなさい。
    日本の植民地にされてしまう以前の朝鮮は、大まか李氏朝鮮でした。王朝ですね。
    それが日本に支配されてしまって、一九四五年八月、終戦を迎えます。
    その後、自由独立民主主義を求めるコミューン的な動きが散発でありましたが、要するにアメリカとソ連にわっしわっしと蹂躙されます。
    「中国」に比べると、小国で征服しやすく、海に突き出た半島という地理条件が、そういう流れを産んでしまったようですね。
    バルカンもそうですけど、やはり海に向かってにらみを利かせられる。もっと言うと、日本にとっては(つまり、アメリカにとっては)どうにもここが敵国だと落ち着かないんですね。
    一方でソ連にとっては、凍らない海な訳ですから。
    で、その後。
    韓国(朝鮮半島の南側)は、日本と同じ、戦後アメリカの間接的属国というか。対米従属で歩んでいきます。
    もちろんその途中で朝鮮戦争があります。
    朝鮮戦争っていうのも、良く知ってみると、もうむちゃくちゃですね…。
    一度、朝鮮全域がほぼ北のものになって。反攻で今度は全域が南のものになって。また反攻で38度線…。
    もちろん、そんなダイナミックな戦局には全て、朝鮮人以外の強大な勢力、アメリカやソ連や中国が絡んでいる訳です。
    結局地元の朝鮮人としては、操られ、憎しみ合うようにされ、殺し合いさせられ、国土はずたぼろに…。
    うーん。
    酷過ぎる話です。
    そして、南側はアメリカ従属路線で、韓国になる訳です。
    その過程では、アメリカ従属型の国政に反対する人々も多く、時代の流れとしてそのほとんどはいわゆる左翼的な嗜好になります。
    そしてそういう左翼的な嗜好に対して、ヒステリックな共産主義批判、弾圧、殺し合いまでが起こります。
    そして。
    ●李承晩イ・スンマン
    ●朴正煕パク・チョンヒ
    ●全斗煥チョン・ドゥファン
    と、少なくとも一九八八年くらいまでの40年間。もっと言うとその後の盧泰愚ノ・テウ政権の1993年まで、簡単に言うと韓国には、戦後の日本におけるような民主主義や自由は無かったんですね。
    (戦後の日本だって、建前は別として、権力による弾圧や不審死というのは多数ありますけど、まあ、総論に於いて、です)
    その間はつまり。
    アメリカの都合に反しさえしなければ、時の権力者の都合で、反対勢力(特に左翼的な民主化運動)は徹底的に弾圧されました。
    そのほとんどが、「北朝鮮と密かにつるんで悪いことをしている」というでっちあげ。
    正直に言うと、2015年の日本がいくら公権力が巨大化していて民主主義が危ない、と言っても、比較すると口あんぐりの凶悪さです。
    で、やっぱりさすがに、北朝鮮型の独裁でもないですから。
    やっぱり経済、暮らしが発展しないと苦しい。
    そして、アメリカは韓国に経済成長という飴を与えないとしょうがない訳です。親分ですから。この辺は日本の戦後史と同じです。
    そして結局、経済が発達していこうとすると。
    アメリカ型ですから自由資本主義なんです。
    資本主義と言うのの素敵なところは、基本的に民主主義や言論の自由と相性が良い、ということですね。(素敵じゃないところもあるわけですけど)
    韓国も徐々にそうなっていきます。そして資本主義として栄えていくために、ソウル五輪があります。
    なんですけど、五輪をやるとなるとさすがに、無茶苦茶な弾圧とか暴力とかは、国際的に顰蹙を買っちゃってどうにも行き詰っちゃうんですね。
    そして、民主化に至るまでには、何十年にもわたっての、時の若者たち、インテリ大学生を中心とした、青春の情熱を傾けた市民運動があります。
    もはや運動というよりも戦いと呼びたくなるくらい、その都度に弾圧され拷問され、死人がすごい数、出てます…。
    そして1990年代以降、金大中政権を象徴として、ようやくの民主化。そして当然と言うか、皮肉のように経済成長も「無茶苦茶な高度成長時代」が終わり、都市化工業化輸出型の限界が諸問題となって現れる。
    そしてまた皮肉なのは、民主化されたと同時に、すさまじいまでの勢いで学生政治運動が冷えて行きます。政治の季節が終わり、ノンポリと享楽の季節が来ます。
    ですけれど。
    その一方で、2000年代中盤から、世界最先端のブロードバンド大国になった韓国では、ネットの動向が政治を動かす事象すら起こっています。
    マスメディアや政府の宣伝に流されない、ネット上の市民勢力とでも言うべき潮流もできている、ということですね。
    (まあそれが必ずしも全般的に素晴らしいかどうかというのは難しいところですけれど。ネトウヨなんて言葉がある国もありますからねえ)
    そういった流れを、かなりわかりやすく現代史の通史として描いてくれます。
    無論のこと、こういうことは筆者の趣味や主義や立場によって変わった風景になる訳ですが、少なくともこの本は、「どうしてこうなったのか」ということを、感情的な善悪論ではなく、力関係と経済の理由を常に意識しているところが説得力があります。
    (ま、それに加えて、なりふり構わない「権力欲」という人の営みの怖さを思い知らされますが)
    市民運動の弾圧。政府により言い訳。陰謀や悪事のねつ造。
    そして議会の勢力を削ぐような制度変更、選挙制度の変更。
    選挙という言い訳を盾にしながら、その選挙をなるたけ無効化しようとする。
    そして、憲法の変更。
    仮想敵国を振り回しての脅威論。それを理由にしての公権力の増大。
    実に、本当に、「うかうかしてると、こうなるねんなあ」という。たまりませんね。
    そして、論を超えた仮想的の植えつけ方の怖さ。
    日本で言えば沖縄のような離島である、済州島の、歴史からのもてあそばれ方。
    左翼勢力が起こり、強烈な弾圧。殺戮。その後の「赤狩り」の陰惨な歴史。
    そして、40年を経て、その歴史にようやくの陽が当たり始めています。
    でも、これも沖縄が背負わされてきた道のりを考えると、あながち他人事ではありませんね。
    実に面白かったし、勉強になりました。
    欲を言えば、この本は2000年代の本なので、この本の続編が読みたいです。
    歴史を面白いと思うためには、ゼッタイに現代史からさかのぼっていくべきです。
    「今こうなっているのはなぜなのか」と言うミステリーを紐解いていく。その果ての果てに縄文人とかが居る訳で。縄文人から始めても、歴史なんて面白い訳がありません。

  • 大学の講義で購入。
    再読希望か。

  • 【目次】
      はじめに
      序章  朝鮮史における中心と周縁 
    1 韓国の“地域葛藤”
    六月民主抗争――民主化の原点/湖南差別
    2 朝鮮王朝時代の中心と辺境
    高麗太祖・王建の遺訓――湖南差別の原点?/「朝鮮八道」/近世東アジアの国際システムと「小中華思想」
    3 済州島――ソウルと対極の地
    耽羅王国/済州島をめぐる「オリエンタリズム」/抵抗の伝統
    4 植民地期のソウル・湖南・済州
    封建王都の黄昏/植民地近代化と湖南財閥/他者認識の諸相

      第1章 傷ついた“解放” 
    1 人民委員会と米軍政
    下からの革命/特異な解放空間/南の人民委員会/人民委員会の各地での盛衰
    2 一〇月人民抗争
    信託統治/北朝鮮の民主改革/朴憲永の新戦術/一〇月抗争とその帰結
    3 済州島四・三事件
    済州島の人民委員会/三・一節事件/四・三事件の経緯/麗順(麗水・順天)反乱/四・三事件の遺したもの
    4 朝鮮戦争と湖南の周縁化
    開戦までの状況/朝鮮戦争下の虐殺・テロ/戦争と社会/抜粋改憲と四捨五入改憲/湖南の周縁化

      第2章 軍事政権の時代と光州事件 
    1 四・一九学生革命
    分断体制の展開/アメリカのコミット/四月学生革命/短命な第二共和国
    2 朴正熙とその時代
    五・一六クーデター/朴正熙とは/アメリカの「二つの戦線での闘い」/第三共和国――強い国家をめざして/輸出指向工業化/ベトナム戦争/日韓条約/南北共同声明と維新体制/捏造された人革党事件/重化学工業化――漢江の奇跡
    3 変貌する韓国社会と地域感情
    「慶尚道天下」――成長の嶺南、停滞の湖南/ソウルの変貌/政治に利用された地域感情
    4 光州事件
    きしむ韓米関係/YH貿易事件/金載圭の凶行(朴正熙射殺)/ソウルの春/抵抗の都市・光州/自治共同体と最後の炎
     
      第3章 分断を超えて――民主化と南北和解
    1 六月民主抗争
    新軍部政権の成立/侍女となった言論/新冷戦から新共存へ/社会運動の転換/蘇る社会運動/主思派とPD/六月民主抗争/第六共和国憲法
    2 地域主義の時代
    第十三代国会議員選挙/市民社会の諸組織・運動/済――レッド・コンプレックスを超えて/三党合同――少数与党から巨大与党へ
    3 九〇年代の韓国――「文民政府」から「国民の政府」へ
    文民改革/核疑惑と逆コース/「世界化」の罠/金大中の薄氷の勝利/構造調整――金融危機の克服/金大中改革の光と影/太陽政策
    4 盧武鉉の挑戦
    空洞化する民主主義/保守支配の三大要素/落薦・落選運動/盧風/気まぐれなネティズン

      終章 過去へ、未来へ 
    1 過去への眼差し――周縁の復権
    五・一八特別法/四・三特別法への道/過去史法の成立/反面教師
    2 e-politicsは未来を切り開くか
    インターネット先進国/大統領弾劾とネティズン/オンライン選挙/国会の刷新/周縁の行方 

      あとがき
      参考文献
      略年表
      索引

  • やや表現は難しいと思うところもあったが、第二次世界大戦後の韓国の歴史を知るには良い本だと思った。特に、下から(民衆視点)の歴史の観点、地域主義の観点を重視してまとめている。韓国の歴史の複雑さの一端が垣間見えるように思えた。

    内容は、次の4章構成である。
    1章 傷ついた「解放」
    2章 軍事政権の時代と光州事件
    3章 分断を超えて―民主化と南北和解
    終章 過去へ、未来へ

  • 戦後の韓国史を、韓国内の地域主義および階級対立という視点からまとめた本。地域主義を産んだ、古代からのエリア分断、地域間の経済格差の説明に詳しい。また、その中で生まれた戦後すぐの済州島での四・三事件、全斗煥政権時の光州事件の経緯にも詳しい。さらに、一般的に民主化運動と呼ばれる中に、マルクス派などの左派勢力も大きく入っており、その派内での対立や変遷なども書かれている。

  • 韓国の戦後史を、民衆の視点から綴った本。

  • あまりよく知らない韓国の現代史。知りたいと思うと、まず変な本をフィルタしなくちゃならなくて面倒くさい。嫌韓も好韓(?)もとりあえずはどうでもいいんで。そういう意味でこの本は当たりだった。戦後から始まるので、日本がほとんど出てこない。北朝鮮もほとんど出てこない。

    で、やっぱり知らなかった。光州事件の名前だけ知っているぼくのような者にとっては、読んで良かった一冊。韓国の戦後って大変だったんだな。戦争に負けた日本より、ある意味大変だったんじゃないだろうか。こういう大変さは、もう終わったのだろうか?

  • とくに解放後の韓国現代史を概観するには最適の書。K-POPだ韓流だと言っている現在からは想像もつかない激しい時代が、ほんの20数年前まで続いていた。

  • 2013/01/26
    ざっくり1900年代の韓国の政治的な流れがわかった。

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日本の植民地支配から解放されて六〇年。韓国の歩みは分断、戦争、独裁、軍事政権、民主化運動、そして経済破綻など日本では想像を絶するような波乱に満ちている。三〇年余りの歳月を隔てて起こった二つの悲劇-済州島四・三事件と光州事件を軸に、ダイナミックに描きだす激動の現代史。

韓国現代史 (岩波新書)のKindle版

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