フランス史10講 (岩波新書 新赤版 1016)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310167

作品紹介・あらすじ

フランク王国、百年戦争、絶対王政、フランス革命、一九世紀の革命、二つの世界大戦、「五月革命」など二千年余の激動の歩みを一冊でたどる。教会と国家、中間団体、名望家国家、政治文化など重要なテーマも掘り下げながら、「ヨーロッパ地域世界の中のフランス」という視点を軸に、フランス史の独自性を描き出す斬新な通史。

感想・レビュー・書評

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  • フランス人の起源について論争。先住民ケルト人(ガリア人)か、征服者ゲルマン人(フランク人)か。

    ローマの遺跡。円形劇場。水道。プロヴァンス(南東部)に多い。プロヴァンスの語源はプロウィンキア(属州)。

    西ゴートの都。建国時トゥールーズ(南仏)。その後、トレド(イベリア半島の内陸ど真ん中)へ。

    クローヴィス改宗。フランク建国時、ゲルマン人の人口は全体の5%、ローマ人95%。ローマ貴族の協力がほしい。ブルグンドや西ゴートはローマ化が早く、すでにキリスト教化(アリウス派)していたが、フランクはローマ化が遅く異教徒のままだった。

    東ローマでは、政治と宗教の権力が一体。西ローマでは政治の権力を世俗の王、宗教の権力をローマ教皇がもつ。

    共和国の象徴。マリアンヌ。自由のシンボル・フリジア帽。平等のシンボル・水準器。

    ドゴール。ドイツ軍によるパリ占領。ノルマンディー上陸後、パリでは共産党レジスタンスが蜂起、アイゼンハワーはドゴール派のフランス軍をパリに進軍させ、パリは解放される。パリに帰ったドゴールは共産党レジスタンスの貢献を無視し、ドゴールの亡命政権(自由フランス)が正統の政権だと主張。※ドゴールはヤルタ会談・ポツダム会談に招待されていない。▼共産党と対立し、ドゴール一時的に政界引退(1946)。反共産の「フランス人民連合」を結成、憲法改正で大統領権限を強化して仏を再生すべき。▼アルジェリアで独立を求める武装蜂起(1954)。フランス人入植者たちがアルジェ政庁を占領、アルジェリアの独立を抑える強権のドゴール政府樹立を要求(1958)。ドゴール首相に。アルジェのフランス人入植者たちは統治権を得る。第五共和制。初代大統領に。アルジェのフランス人入植者たちの反対を抑えて、アルジェリア独立を承認(1962)。▼アメリカには追随しない。核実験(1960)。西ドイツと友好条約(1963)。ベトナム戦争を始めたジョンソンを牽制するため中華人民共和国承認(1964)。NATO軍事機構脱退(1966)。▼ドゴールを批判する大学生や労働者によるストライキ(五月革命1968)。しかし、直後の選挙でドゴール派が単独過半数、左翼の議席は半減した。

    仏の共産党。レジスタンス運動の栄光の遺産。46年選挙で第一党。51年選挙で第一党。56年選挙で第一党。ソ連のチェコスロヴァキアへの軍事的抑圧(プラハの春)によりソ連への幻滅が広がり「モスクワの長女」といわれたフランス共産党の勢いが弱まる。それでも、81年まで20%前後の得票率。アラゴン、ピカソ、ジョリオ=キュリー夫婦、サルトルなどが共産党を権威付け。

    五月革命。戦後のベビーブームで大学生が増加し、大学生はエリート扱いされなくなった。経済繁栄のため就職を保障されているが、中級職員として階層秩序の中で「資本の番人」となる運命。経済的に豊かだが、なんだか堅苦しい(相反する感情)。国家・学校・政党は階層秩序を再生産して自分たちを抑圧している。一切の拘束からの解放を夢見るユートピア願望。

  • 世界史を専門に学ぶものとしては読み応えもあり、フランス史の概説にとどまらず、特にフランス革命史に関しては大学院レベルの史論にまで掘り下げている。それ故、初学者が入門で読むにあたっては腰を据えて読む必要がある。入門書、概説書というにはいささか難易度が高く、単なる教養程度で歴史を掴みたいと考える人にとっては向かない。史学を学んだものしては、じっくりは一つの史論に腰を据えて向き合ってほしいとは願うばかりだが。

  • 「フランス史10講」柴田三千雄著、岩波新書、2006.05.19
    230p ¥819 C0222 (2021.05.12読了)(2021.05.03借入)
    萩尾望都著「王妃マルゴ」を読むためにデュマの小説を読んだり堀田善衛著「ミシェル城館の人」、モンテーニュ著「エセー」を読んだりして、やっと萩尾さんの「王妃マルゴ」全8巻を読み終わりました。
    ついでに、フランスの歴史を見ておこうとこの本を借りてきました。歴史の教科書と同様簡潔で、印象に残りませんでしたが、とりあえず読んだという達成感はあります。
    少しずつ肉付けしていきたいと思います。
    とりあえず手元には、下記のようなものがあります。
    「ガリア戦記」カエサル著・近山金次訳、岩波文庫、1942.02.05
    「ジャンヌ=ダルクの百年戦争」堀越孝一著、清水新書、1984.08.
    「ジャンヌ=ダルク」堀越孝一著、朝日文庫、1991.07.01
    「ジャンヌ=ダルク」フィリップ・セギ著・藤田真利子訳、ソニー・マガジンズ文庫、1999.12.11
    「カトリーヌ・ド・メディシス」オルソラ・ネーミ、ヘンリー・ファースト著、中公文庫、1988.03.10
    「ラ・ロシュフーコー公爵傳説」堀田善衛著、集英社文庫、2005.11.25
    「ダルタニャンの生涯」佐藤賢一著、岩波新書、2002.02.20
    「世界の都市の物語 パリ」木村尚三郎著、文春文庫、1998.12.10
    「藤村のパリ」河盛好蔵著、新潮社、1997.05.30

    フランスなどの西洋諸国が、国民国家になってきたのは、18世紀後半のフランス革命あたりからなのでしょう。そうすると、それ以前の歴史は、現在、フランス国をなしているあたりの土地がどのような歴史をたどってきたのか、ということがフランスの歴史の18世紀以前ということになります。
    この本によると「国民国家」が生まれたのは、19世紀、となっています。(4頁)
    現在のフランスの国土になっている地域には、古代ギリシア人、ケルト人、ローマ人、ゲルマン人がつぎつぎに到来している。(5頁)

    【目次】
    第1講 「フランス」のはじまり
    第2講 中世社会とカペー王国
    第3講 中世後期の危機と王権
    第4講 近代国家の成立
    第5講 啓蒙の世紀
    第6講 フランス革命と第一帝政
    第7講 革命と名望家の時代
    第8講 共和主義による国民統合
    第9講 危機の時代
    第10講 変貌する現代フランス
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「ジャンヌ・ダルク」村松剛著、中公新書、1967.08.25
    「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20
    「王妃マルゴ(1)」萩尾望都著、集英社、2013.01.30
    「王妃マルゴ(8)」萩尾望都著、集英社、2020.02.29
    「ミシェル城館の人 第一部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.10.25
    「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25
    「ミシェル城館の人 第三部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.12.20
    「ロベスピエールとフランス革命」J.M.トムソン著・樋口謹一訳、岩波新書、1955.07.20
    「世界の歴史(10) フランス革命とナポレオン」桑原武夫著、中公文庫、1975.03.10
    「絵で見るフランス革命」多木浩二著、岩波新書、1989.06.20
    「図説・フランス革命」芝生瑞和著、河出書房新社、1989.06.22
    「フランス革命」遅塚忠躬著、岩波ジュニア新書、1997.12.22
    「西部戦線異状なし」レマルク著・秦豊吉訳、新潮文庫、1955.09.25
    「アルジェリア戦争」ジュール・ロワ著・鈴木道彦訳、岩波新書、1961.06.24
    「ベトナム問題入門」ベトナム研究誌・岡倉古志郎著、新日本新書、1967..
    (「BOOK」データベースより)amazon
    フランク王国、百年戦争、絶対王政、フランス革命、一九世紀の革命、二つの世界大戦、「五月革命」など二千年余の激動の歩みを一冊でたどる。教会と国家、中間団体、名望家国家、政治文化など重要なテーマも掘り下げながら、「ヨーロッパ地域世界の中のフランス」という視点を軸に、フランス史の独自性を描き出す斬新な通史。

  • フランス史を階級闘争などの紋切型ではなく、「政治文化」から説きおこしており、一冊で世界史のなかのフランスの特長を理解できる良書だと思う。

    フランスの場合、絶対王政の以前から、売官制があって、商人がビジネスから逸脱して官職を買うことがあって、これによって産業革命がおくれた。また、このことは、貴族対ブルジョアといういわゆる「階級対立」中心の史観に修正をせまるものであった。ブルジョワは官になり「法服貴族」を目指したが、貴族も鉱山開発などビジネスに参与したのである。

    また、以下の記述は示唆的だった。

    共和主義はドレフェス事件後の第三共和制の支配的政治文化だったが、1940年の敗戦(パリ陥落)の責任がそれに帰せられ、45年以後も人気がなかった。その理由は、ベルスタインによれば、国家の福祉政策が個人を保護するために、市民の連帯の魅力が減退したこと、著しい経済成長のため、共和主義の基礎とされた独立中間層からなる小所有者デモクラシーの社会理念が後退したこと、そして、経済成長に抑制的な社会政策が時代錯誤とみなされたからである。(柴田三千雄『フランス史10講』岩波文庫,2006年 p.222-223)

    福祉国家が市民の連帯の代替となるとすれば、連帯には福祉国家の編み目をうめるものとならなくてはならないのであるが、それはなかなか難しいのではないかと思う。

    サン・シモンの産業主義や、ドレフェス事件によって、個人の権利と国家の対立が先鋭化して第三共和制が成立してくるところも興味深い。古いところではルイ9世がヴァンセンヌ城の樫の木の下で公正な裁判をする王という理念などもおもしろい。歴史はこういう「政治文化」の変化で進んでいくのだろう。

  • フランス革命に関する本を読む前にフランス史に関し、大まかな歴史を知るために読み始めた。
    イギリスやドイツとは異なり、王に権力が集中しているが特徴的だなと感じたことと、一方で聖職者、貴族が特権を持っていたことがフランス革命に繋がったのだと感じた。
    フランス革命以降は現在の体制に至るまでに、想像よりも激しく体制が揺れ動いていることには驚いた。

  • 私レベルの人間が「フランスの歴史の本でも読んでみましょう」と思って読むにはハードルが高すぎました。

    最初のほうはそんな難しくなく、とても面白かったのです。フランス以外のヨーロッパの国やアジアの国との比較などがあって、わかりやすかったです。

    でもこの本の真ん中あたりに位置するフランス革命前後からとても難解になりました。
    それで一時中断『ベルサイユのばら』を読んでみました。
    ベルばらで1731ページかけた部分が、この本では28ページで述べられています。

    その後も苦労したのは言うまでもありません。
    ベルばらのように、重要なできごとをほりさげた本を少しずつ読んで深めていきたいと思いました。

  • カタカナの地名や人名が難しく感じる。

  • 2024.03.14 後半は情報量が多くてかなり置いて行かれたら。何度も読まないと理解できない。

  • タイトルや分量に比してかなり難しかったなと思った。
    デュマゴの本を読んだ直後だったのもあり、コーヒーハウスの成り立ち(植民地産のコーヒーを飲む習慣)、フランス植民地における北アフリカの重要性等興味深かった。
    近世史は、大学受験の世界史だと全世界を客観的にしか捉えられなかったものが一定フランス主観で学べるのが面白い。また留学を経て読み返したい。

  • 最近フランス革命についてめっちゃ読んでる気がする
    二次大戦後のフランス史について理解がなかったのでおもしろかった

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