自殺予防 (岩波新書 新赤版 1028)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310280

感想・レビュー・書評

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  • “自殺問題”の権威である高橋氏の著作。

    自殺の統計的概観、各国の事情、様々な自殺のサイン、「うつ病」、自殺予防対策、等々をまんべんなく著述。
    例えば「うつ病」治療についての項目では、各種の「抗うつ薬」の特徴まで詳述されている。
    「症例」研究の項もある。実際に自殺で亡くなった方達の“最後の日々”を辿るもので興味深い。

     網羅的にして詳細な内容がコンパクトにまとめられている。“自殺問題”に初めて取り組む人にはこの1冊で十分、な内容。

  • 信頼できる著者による医学的見地からの自殺論。
    自殺者の9割は、自殺の直前になんらかの精神疾患と認められる症状を抱えながら、そのほとんどが医師にかかっていないというデータを問題にし、主にうつ病対策の観点から自殺を減らすにはどうすればよいかを書いた本。
    文章は平易。ためになる。

  • 一家に一冊あってもいいと思います。自分のためにも、人のためにも。

  • ・臨床の場で自殺予防に取り組む精神科医による著作。
    ・私は、身の回りで自殺が起こったという経験はないが、自殺はどの社会階層でも発生しうると気付いた。つまり、当然ながら今後も起こらない保証はない。そして、既遂後に後戻りはできない。
    ・日本に限らず世界的に見ても中高年男性の自殺が目立つという。今後も高齢化が進む日本では、自殺予防の重みはいっそう増すことだろう。また、男性の自殺率の高さが職場に起因すると考えれば、今後は社会進出をより多く経験する女性にも注意を払う必要があると考える。さらに、大きな社会変動により、若年層の自殺が世界的に見ても増える傾向にあるという。私たちの生きる現代日本もまさに変動のさなかにある。
    ・自殺は、多様な要因が複雑に絡み合って発生する。また、一定の準備期間を経て実行に至るケースが多い。精神状態、身体上の健康状態、極端な言動の変化など、サインを身落とさないことが肝要である。
    ・深刻な相談を持ちかけられたとき、当人は悩んだ挙句に相談相手を選び抜いていると考えたい。「本題」とは一見無関係な話題から入る場合もあるが、かねてから「兆候」が感じられる場合は、丁寧に傾聴することが不可欠となる。相手が言葉を紡ぎ出せなくても、沈黙を共有することもまた大切である。

  • 自殺の心理学(講談社新書)に続き、どのようにすれば、自殺を防げるかについて書いた本。テキストが多いので、若干読みにくいため★3つ

  • [ 内容 ]
    年間自殺者三万人超という深刻な事態が一九九八年から続いている。
    国としての対策も動きはじめた今、自殺を防ぐために知っておくべきことは何だろうか。自殺という死の実態、自殺に至る心理、心の病、とくに「うつ病」との関係、遺族に対するケア、国内外での先進的な取り組みなどについて、事例も交えて具体的につづる。

    [ 目次 ]
    第1章 自殺という死(青木ヶ原樹海からの生還者―自殺と記憶喪失 自殺は「強制された死」である 日本における自殺の実態 世界との比較から 年齢によって異なる危機 マスメディアの影響―群発自殺とネット心中)
    第2章 自殺の心理(自殺の危険をどうとらえるか 自殺する人と自殺しない人の違い 「自殺したい」と打ち明けられたら どのようにして受診につなげるか 自殺の心理に関連していること)
    第3章 こころの病と自殺(治療を受けずに自殺する人びと 自殺予防とうつ病治療の関係 うつ病とは うつ病の治療)
    第4章 自殺予防の取り組み(国連による自殺予防ガイドライン フィンランドの実践 新潟県東頸城郡の自殺予防活動)
    第5章 家族を支える、遺族をケアする(家族が抱える問題と自殺行動 自殺予防に不可欠な家族の協力 自殺が起きたときの遺族へのケア 芽生え始めた自助グループ ポストベンションは次の世代のプリベンション)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  「年間自殺者数3万人超」が十数年連続記録となって久しい。遅ればせながら、ようやく本格的に自殺対策が打たれ始めたが、まだ途上の段階だ。
     本書は、自殺に至るまでの症状や、うつ病との関連、治療方法、遺族へのケアなどについて、平易に概説している。
     自殺はうつ病など心の病(心理的病理)との関連が深いとされている。心を救うことが命を救うことにつながると実感する。
     巻末には、相談機関の電話番号やURLなどの連絡先が載っている。

  • 後を絶えない自殺。
    自殺に対する正しい知識を持ち、予防に目を向ける。

  • うつ病などの精神疾患と自殺の関連性やその予防について書かれている本である。
    フィンランドのデータで自殺に至った人々の九割以上が何らかの精神疾患にかかっていたと考えられるとゆう記載があったことが印象的だった。
    自殺予防には、その家族や、職場、友人などがサインに気づくこと、
    そして、精神科だけでなく、他の医療機関なども連携を図ること、さらに自治体や政府も積極的に自殺対策に取り組むことが重要であると感じられた。

  • 日本では年間3万人も自殺する。リトアニア、ハンガリー、ロシアは更に多い。
    死んじゃ駄目だよ、生きてるだけで儲けもんなんだから。いじめなんかで死んでいたら社会に出たらもっと壮絶ないじめがありますから。それでも人生、楽しいもんですよ。

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著者プロフィール

防衛医科大学校・防衛医学研究センター・教授。精神科医。
著書:『自殺予防』(岩波新書)、『自殺、そして遺された人々』(新興医学出版社)、『医療者が知っておきたい自殺のリスクマネジメント』『自殺のポストベンション:遺された人々への心のケア』(医学書院)、『新訂増補 自殺の危険』(金剛出版)、など。
訳書:ヘンディン『アメリカの自殺』(明石書店)、シュナイドマン『アーサーはなぜ自殺したのか』(誠信書房)など。

「2007年 『自殺で遺された人たち(サバイバー)のサポートガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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