幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉 (岩波新書)

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著者 : 井上勝生
  • 岩波書店 (2006年11月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310426

幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

  • タイトルどおり幕末から明治維新までを記載した本。黒船来航からの通俗的な歴史の解釈としては、諸外国の来航に幕府が対応できず、代わりに薩長土肥等の維新関係諸藩が有効に対応した結果、大政奉還に至ったという物があるが、そうではなく、幕府においても、林全権など有能な能吏が諸外国に対して毅然とした対応を取ったとのことである。いかにこれまでの歴史の解釈が、維新政府にとって都合の良いようになされてきたのかがわかる。一方で、京都の公家側は改革派もいたもののよくわからない観念に振り回されており、どうしようも無いことがわかる。

  • 最後の章で力つきたまま何ヶ月も経ってしまった。あとがきを読んだ所でひとまず読了とする。いつか再読しよう。

  • 2006年刊。著者は北海道大学教授。岩波新書近現代史S第1巻はペリー来航~西南戦争期まで。◆なかなか興味深い書。特に和親条約・修好通商条約の交渉過程、条約における日本のメリット(結果的なものもあるが)を丁寧に解説する点だ。しかも、米ロなど列強毎の対応の差なども解説されており痺れる中身。◇加え、全体を通じ、幕閣・雄藩・公家・天皇・志士など多面的視点から説明されるのも良。結果、偏った解釈が避けられ、読み進めると、幕末の視野が薩長・天皇を善、幕府を悪という単純な図式から開放されていることに気付かされる書なのだ。

  • 東南アジア正解の情勢を見据え黒船来航から明治維新を書いた通史です
    最新研究で幕府対応が意図的にお粗末に書かれた従来の歴史と赴きが異なります

  • 吉田松陰なんて、ぜんぜん出てこないよ

  • <目次>
    はじめに
    第1章  江戸湾の外交
    第2章  尊攘・討幕の時代
    第3章  開港と日本社会
    第4章  近代国家の誕生
    第5章  「脱アジア」への道
    おわりに
    <内容>
    岩波新書の歴史シリーズの近現代史編の第1巻。購入は2006年だが、たっぷりと醸造していました…。
    しかし、江戸時代の社会の成熟を評価し、尊攘派の理論が「感情」以外に何もない、幕府側の方が大義名分もあったとする考えや、明治政府への従来の評価=近代国家を作り上げた、も一方的で、成熟していた農村社会を「西洋」の近代国家にするために犠牲にしていった(それも薩長閥の考えていた皮相的な西洋近代国家観で)ことがわかった。
    江戸時代のままでの「東洋的な近代化」も可能だったことが見えてくると、現代の西洋的な資本主義の限界に対しての答えが見えてくるかもしれない。

  • 近現代史の勉強会のために読んだ本。

    高校時代までに習った日本史とはだいぶ描かれ方が違い、開国に対する幕府の姿勢のイメージがだいぶ変わった。
    近現代史を勉強し直すには、ボリュームも含めておすすめ。

  • 岩波新書の「シリーズ日本近現代史」は吉見俊哉『ポスト戦後社会』,成田龍一『大正デモクラシー』についで3冊目。
    先の読書日記でも書いているが,北海道の近代化について勉強し,さらにはその内容で講義をするにあたって,日本自体の近代化についての知識不足を痛感し,急いで読んだ1冊。このシリーズは岩波らしい著者の選出で,一般的な広範な知識の伝達よりもより突っ込んだ歴史の本質を追究するようなところが面白い。といいつつ,先に読んだ2冊はその特徴故にか,いまいちな読書感だったのに対し,本書はなかなか楽しめました。
    私は西川長夫氏の近代国家論で日本の近代化について知った気でいましたが,改めて読み返してみると,細かい史実についてはほとんど説明がなく,これでは学生には説明できないし,自分自身もそうした細かい史実の知識がいかに欠落しているかを思い知った次第。

    はじめに——喜望峰から江戸湾へ
    第1章 江戸湾の外交
    第2章 夷攘・討幕の時代
    第3章 開港と日本社会
    第4章 近代国家の誕生
    第5章 「脱アジア」への道
    おわりに

    最近の歴史学の特徴ではありますが,本書の特徴は,ヨーロッパの近代化に比べ,日本の近代化は開国・文明開化という形で急速に進んだのが特徴ですが,それを時代の断絶としてではなく,なるべく連続性のなかで捉えようとするところにあります。
    また,欧米列強による強制的な開国として捉えるのでもなく,日本なりの正統性を持った対等な立場を貫こうとする外交が行われた事実も強調しています。その一方では,章のタイトルがあまりにも一般的な割にはそれ自体については詳しい解説がなされていないのも特徴。特に後半の「近代国家」というものが日本では具体的にどのような形を成したのかとか,「脱アジア」とは何かについては説明が不足しているような気がする。
    ただ,著者なりのこの時代の理解はとても説得的で魅力的でした。著者がたまたま札幌農学校に関する論文も書いていたことも,今の私にとってはちょうどよかったのかもしれません。巻末の年表も便利です。

  • 自国の歴史に無知で、または誤った知識しか持っていなかったか。一揆の多様さに驚く。また、幕府の現状認識の的確さにも。しかし、悲劇の種はあったのだ。しかし、天皇の阿呆さを咎める意見もあったのだ。この時代は面白いな。アイヌ、琉球、被差別部落への眼差しも今だから相対化して言えるのだろうが、そこにも闘争史があったことを忘れてはなるまい。

  • 歴史ものの新書全般に言えることですが、本書もノンフィクション以上研究書未満という感じで、やや歯ごたえのある内容です。

    実証史学の方法に基づいて、ペリー来航から西南戦争までのプロセスを描きだしており、よくまとまった良書であると感じます。

    特に、これまでの通説に疑問を投げかけ、検証によって異なる結論を提示してゆく方法はまさに「史学」であり、興味のある方にはお勧めしたい本です。

    しかしながら、その分ノンフィクションを読むような面白さには欠けており、薩長同盟の成立や勝海舟と西郷隆盛の会談などのいわゆる歴史上の「名場面」についてはごくごくあっさりした事実のみの記述に留まるため、人によっては小難しくて退屈に感じてしまうかもしれません。

  • 勉強になりました。

  •  調べもの読書。主に幕末、開国の流れについて。幕府のアメリカへの対応や開国論はイメージより良かったらしい。中高の教科書では攘夷派がぬるま湯につかっていた日本を改革した。幕府は時代遅れだったというイメージがあるが開国への流れはかなり複雑。幕府側主導で開国が行われた可能性もかなりあったのだろう。そこは歴史のifなので考えすぎてもダメだが。
     一方で明治に入ってからは読む気力が湧かず殆ど飛ばした。何か読む基準がないとただ歴史を追っているだけなので単調に感じる、良い悪いではなく。明治初期について調べることがあれば引っ張り出して読みたい。

  • 本書のおわりにこう記されている。『幕末日本の大方が攘夷で湧きたっており、その中心に天皇・朝廷がいたという神国思想や大国主義で色揚げされた物語こそ、本文で述べたように、「無稽の謬説」の一つであった。』この謬説が、このあといく度かの戦争による多くの悲劇を生み出していくのである。この謬説は誰が作り、なぜのちの世まで連綿と流布し続けたのであろうか。

  • 一般的に学校で習ったり、通説になっている事柄が違うということが如実に表れている本です。
    読み応えがありました。

  • 本書を読み終えた方は、この「幕末・維新」の時代を、学校で教わった時とは違った印象で見るようになるのではないでしょうか。

    開国に端を発した尊王攘夷運動は、「古い体質の旧幕府側」と「天皇を中心として新しい日本を作る維新側」という二つの勢力が対立しているという構図で見られがちです。この本では、その裏側で幕末、朝廷、雄藩がそれぞれどのような思惑を持ち動いていたかがわかりやすく描かれています。

    幕府側の堅実性と朝廷・雄藩側のムチャクチャぶりを見ると、明治維新が「現政権を転覆させる革命」だったということがよくわかります。

    日米和親条約の幕府側の意図、明治維新の薩摩長州の策略など、「そういうことだったのか!」がたくさんあって良かったです。

    本書より引用
    「諮問の「前後」こそが「人心の向背」にかかわる」

  • 近現代史にはまって、いろいろな本を読んできた。

    また一冊手に取った。

    黒船来航、開国へ向かうわけだが、しっかりと交渉している。

    それに引き替え、今の政治家は。。。

  • 幕末と、第二次世界大戦は、日本の方向変換の2つの事態。
    歴史に明らかにされていないことは、まだまだ沢山あるかもしれない。

    体制の変化は、
    牛鍋のような食生活や、
    洋装などの衣類や、
    住宅になで変化を齎した。

    このような劇的な変化を受け入れる素地がどこにあったのだろう。

    変化とともに、その受け入れる容量は計り知れない。

  • 幕末・維新期の幕府と倒幕派の抗争を、いわゆる維新史観ではなく、幕府の政治力の強さや、維新によって破壊された成熟した伝統社会を再評価することに軸足を置いて描き出す力作。

  • 歴史はドラマではなく、
    主人公や英雄が物語を紡いでいくのではない、ということ。
    それぞれの側面から見れば愚かな事であったり
    誠の行いであったり。
    きれいな美しいだけの歴史はこの世界には無く、
    それぞれの命や血や呪詛や正義や願いの流れなんだろうな、と。
    新政府のやった事を否定したり賛成したりする前に、
    もっと詳しく歴史を知らないとなあ、と思った。
    この歴史書は側面だけでは見え方が偏りますよ、
    と、言ってるようにも思う。

    でも、前から少〜し思ってた事は、新政府って、
    「侵略」を断行し過ぎてる、でしたが、
    あながち間違ってなさそうな気もする。
    あれほど日本各地で一揆が起こっているのだし。

    あともう少し突っ込んで知りたい、と思う事は、
    尊王攘夷、とあれほど押し進めて来た道のりを、
    どうやって世論を説き伏せたのか、という事。
    戊辰戦争、西南戦争のおかげ、って事もあるんだろうけど。
    知らないのは、良く無いなあ。
    歴史の授業が西暦で覚えるだけだった事を残念に思う。

  • 幕末に熱狂的な興味はなかったけれど、この本を読んで新しい見方などが提示されていて、とても興味深く読んだ。いろいろな人が真剣に当時の日本の行く末を考えていたんだなぁと思いながら読んだ。

  • 幕末・維新のざっくりとした理解が深まり、また通説に対して新たな捉え方を数多く提示しており、歴史認識や物事を多角的な視点から捉える必要性を再認識させてくれた一冊。興味ある人物や歴史認識の関心を高めるきっかけを提示してくれ、これをきっかけに個々の人物や歴史について、より一層理解を深めていきたい。

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