日本の近現代史をどう見るか〈シリーズ 日本近現代史 10〉 (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1051 シリーズ日本近現代史 10)

制作 : 岩波新書編集部 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310518

作品紹介・あらすじ

近代の幕開けから一五〇年余、日本は何を求め、どのような歩みを進めてきたのだろうか。そしてこれからどこへ行こうとしているのか。通史を描いた執筆者九名が、各時代の日本を理解するうえで欠かせない根本的な問いを掲げ、それに答えながら、総まとめをするシリーズ最終巻。各章ごとに推薦書を紹介。日本近現代史への導入としても最適。

感想・レビュー・書評

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  • 岩波新書 「日本の近現代史をどう見るか」

    日本近現代史シリーズ全10巻の最終巻。このシリーズは 黒船来航からバブル崩壊までの通史。

    最終巻は各巻の著者が論点を整理し1冊で近現代史全体を一望できる


    近現代史の論点
    *幕末期の日本の自立
    *明治期の天皇の必要性
    *日清日露戦争による日本の変化
    *大正デモクラシーとは
    *1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか
    *開戦を回避できなかった理由
    *占領改革による日本の変化
    *日本の高度成長理由


    国民国家意識が戦争時代につながり、敗戦して経済時代に変わったように読める。日中戦争以後、日本が下降している





  • 1.戦後歴史学→2.民衆史研究→3.現代歴史学という順序で「通史」は書き換えられており、1と2は「国民化」がテーマ、3は90年代以降のグローバリズムを受けての「日本」や「日本人」がどのように定義されてきたのかを問い直すという事がテーマになっているらしい。
    また、「新書通史」の特徴としては「時勢とのかかわり」「機動力を発揮」との事で、教科書からは一歩進んで読む通史という事になるらしい。だから大学の教科書や参考文献として使われるのは尤もである。ただし、一般人が教養のレベルで本書を読むかというと疑問もあり、それなりの物好きが読むのかと。
    本書は現代歴史学のシリーズ日本近現代史の最終巻としてこれまで刊行された9冊のマトメ&補足を行なっているのだが、はっきり言ってこれだけ読んでも何を言っているのかわからないだろう。すべてを読んだ上で整理として読むほうがいい。
    10年前に現代歴史学としてのシリーズ本が完結したわけだが、昨今は反グローバリズムの風潮があり、再度「国民国家」が問われつつあるように思える。90年代の冷戦崩壊・グローバリズムから30年が経過し、現代歴史学も、そろそろ「次の歴史学」へと変化すべき時に来ているのかもしれない。

  • 10巻読み通し終了。
    2010年代は乗り切れなかった模様。
    やはりアジアに目を向けないと。まずはガチで贖罪から。

  • この巻では、シリーズ日本近現代史の最終巻であり、日本史の中でも近年までの総括と全10巻及んた「幕末以降」の日本と世界との関わり合いが解説されています。

  • 加藤陽子さんは他に読んだことがあるので読みやすかったが…。手っ取り早く近現代を勉強しようと思いタイトルに惹かれたが、一つ一つがシリーズの補足的な内容なので大まかに掴むことは難しかった…。

  • 大正デモクラシーとは、1905年の日比谷焼き討ち事件から1931年の満州事変前夜までの、政党政治の実現を目指した動きが盛り上がる時期で、1918年の米騒動と、その結果誕生した政友会による政党内閣(原敬)を境にして、前期の民本主義の時代と後期の改造の時代に分けられる。この間の第一次世界大戦を契機とた経済成長により急速に社会が変化していた一方、韓国併合やシベリア出兵など植民地支配が本格化した時期でもある。

    戦後の自民党政治は、高度経済成長による成長の富を地方の産業基盤整備や道路やダムに投資して選挙民から支持を得る田中角栄までの政権と、新自由主義指向で国鉄から郵政までの民政化が進められた中曽根内閣以降に大きく分けられる。

  • 近現代史をどう見るかというより、岩波のシリーズをどう読むか(著者による補足説明)という雰囲気。各章にオススメの数冊が載っているのはありがたい。

  • シリーズのまとめ編。新たな視点もあるが、本編を読んでいれば、まぁ必要ないか。

    ・万世一系神話は、儒教の易姓革命論(君主が徳や仁を失えば、天に見放される)とは相容れない。仏教や儒教は外来思想という認識が根底に。
    ・出雲大社と伊勢神宮の「祭神論争」。伊勢神宮が勝ったから今がある。
    ・津波・火災から御真影・教育勅語を守ろうと死傷した教員などがいた。
    ・ルソー『戦争および戦争状態論』:戦争は敵とされた相手国の政治の基本的枠組み・秩序=憲法に対する攻撃という形を取る。
    ・第一次世界大戦までは国民責任論。第2次世界大戦から指導者責任論。
    ・グローバリゼーションのなかでの新自由主義的国家モデルやフレクシブルな資本編成の全面化と、社会的なリアリティの虚構化は、深いところで結びついている。

  •  本書は「シリーズ日本近現代史」の10巻目で「総まとめ」になるとのことだが、「シリーズの導入」としてもおすすめということで手にとって見た。
     10人の歴史家がテーマごとに分担しており、それぞれの内容は個別には興味深い見識も見られるのだが、当たり前のことだが、やはり視点の違いも痛感した。
     歴史を詳細にみると、通説とはだいぶ違う風景が見られる。
     幕末の幕府と諸外国との交渉で、「幕府の外交」が低く評価されてきたこともそうであるし、明治維新の「天皇」の存在の評価や、その後の明治憲法体制についての視点なども、だいぶ以前とは変わってきているように思える。
     しかし、「日清戦争」や「日露戦争」、「日韓併合」や「満州国建国」などのいわゆる「歴史認識」については、現在、一般に日本人みなが認識を共有しているとはいえないのではないのだろうか。
     そういう意味で、本書のような「近現代史」は実に興味深いが、本書の各項の視点はさまざまである。
     いろいろな視点からの検証という利点もあるだろうが、やはり「雑多」という印象はぬぐえないと思えた。
     シリーズもおいおい読んでみようとは思うが、「日本の近現代史をどうみるか」というのは、あまりにも大きなテーマである。
     歴史家の力量も問われるが、読者自身も相当読み込まなければ納得のいく読後感は得られないのではないか。
     本書は、読後に「驚き」や「充実感」をあまり得られなかったという意味では、ちょっと残念な本であると思えた。

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