地域再生の条件 (岩波新書 新赤版 1059)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310594

作品紹介・あらすじ

少子高齢化や過疎化などを背景に、多くの地域が衰退しているなか、自治体と住民が知恵を出し合い、個性的なまちづくりによって活性化に成功している地域が存在する。これまでの地域政策の問題点を明らかにし、地場産業の復興、持続可能な地域づくりなど、地域が真に再生するために必要な条件を、豊富な事例を示しながら提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 地方分権改革の難しさがよく伝わりました。素人助役云々にもあったけど、選挙絡みで犯罪まがいのことが当たり前に行われるような地域ってのは、どんな横槍が入ろうが利権のためには梃子でも動かないです。戦に負ければ一派は地域を去らなければならない、そのリスク回避のためにはどんなことだってする。そういうドロドロしてるエリアは何があっても変わらないです、政争がお盛んなエリアはまず第一に廃れていく。住民には何もできません。

    首長や地盤が安定していて、何者かを受け入れる余裕のある地域、自分たちの生活をより良くしたい活気のある地域にはどことなくチャンスがありそうだね。住民参加云々はいいんだけど、議会の役割にあまり触れられてなかったのは残念かも。一口に地方改革と言っても、市区町村と都道府県と国の関係性は変わらないし、お金にまつわるあらゆる方向のしがらみがグサグサ刺さって十分に身動きが取れない中で、凝り固まった筋肉をたった4年間でほぐし切るのは本当に難しい。

    市民のボトムアップと首長のトップダウンのどちらがいいかとは一概に言えない。それぞれに向き不向きがあるし、やっとの事で形になった施策も効果が限定的なら続かない。であるなら、方向性は市民が可処分所得を増やせる施策にこだわることだと感じた。少なくともその町に住んでて可処分所得が増えた(福祉によるものであっても仕事によるものであっても)と感じるのであれば、それは誰の目にも評価のできる最適解だろう。それによって人口が増えるかはわからないが、たとえ人口が減ろうともどうにか生きていければ最悪良い訳で。例えば新しい作物にトライしてみたり、福祉の町にしてみたり、副業のできる町にしてみたり、とにかくお小遣いが増えるような仕組みづくりができると良いのではないかな。

    もっと勉強します。

  • 都市・住宅政策等の研究者による書。まず率直に、学者が書いた本とは思えませんでした。参考文献がないこと、著者の主観による意見なのか、先行研究からの引用なのか判然としない箇所が多い、論理構成の裏付けのないままに結論を述べている点が散見されることから、本書の内容をそのまま受け取ることはできないものです。

    ただ、地域が衰退して行く中における、高齢者政策、まちづくり政策、農業政策等の各政策分野において、各市町村の先進事例を紹介している点は、参考知識が得られるという点においては評価できると考える。ただ、著者の主張につなげるために便宜的に事例として引用している可能性も否定できないとは思いましたが。。。

  • ・ハード面で整備作りはもはや効果をなさない
     (林道整備・ハコモノの設置)
    ・地方の実情を無視し中央集権的・画一的な地方整備計画を目指した国総(国土総合開発計画)や中央政府の政策上の誤り・誤謬に最大の原因は求められる。

    ・過疎沿線の電車、バスも一種の福祉とみれば維持する必要がある。

    <国より先行している地方自治体>
    ・農協の先進例→日田市大山地域
    ・「福岡県農業・農村振興条例」
    ・福岡県の黒木町の実情→スローライフエリア

    ・グランドデザインの策定は行政ではなく議会の場でおこなうべき
    ・人間一人一人が生きられるような地方自治体が必要不可欠。地方の農村だけでなく小都市や大都市でも「生きにくい地域」が出てきている。
    ・行政・住民が一体となって積極的に行動していく。

  • 地域の自律と自立、国の地域づくり干渉を止める、この2点が本書の骨子で、そこから、国の施策に従っていても地域活性化には繋がらないと、国の施策に反旗を翻します。

    ん~、悪くなはいんですけど、今一つインパクトに欠けるというか、頭に残らないです(笑)
    市長のリーダーシップが必要なのか、住民の行動力が必要なのか、とりあえず地域の衰退に危機感を持った人達が集まらないことには始まりませんが、スタンスとしては、市職員はハード整備までしかできないのが限界で(著者はハード整備だけでは意味がないと役所仕事を批判していますが、実際上役所仕事としてはハード整備までしかできないでしょう)、じゃあ誰が音頭を取るのか、というのが課題です。本来なら権力のある市長が手腕を振るうべきですが、その立場にありながら町のビジョンを明確にできないし、いくら民意で選ばれたとはいえ、ともすれば市長の独断専行で偏ったまちづくりになってしまう危険性がある……ということで、やっぱり一筋縄でいくわけがなく、だから成功事例を模倣する自治体が増えるわけです。

    住民主体のまちづくりには半分賛成・半分反対です。というのも、町というのは、その町一つで完結するようなものではないからです。他者と関わってこその個人、それと同じように、近隣市町村や観光客と関わることで一つの個性が磨かれると思うので、住民主体は良いのだけれど、排他的にならないように注意しなければなりません。

    本書は一般向けに書かれていますので、それはそれで良いのですが、本書よりもディープな『地域再生の罠』の方が尖鋭的で面白いです。僕の評価はAにします。

  • 疲弊した地域と、再生への道を歩む地域の具体例を通じて、日本各地で起こっている現状を洗い出す。

  •  地域を再生するには、何よりもまず住民の力が必要なのだというのが著者の主張。様々な成功事例が紹介されてる。バリアフリー都市を目指す自治体、日本では衰退してしまった林業を再生させようと工夫を凝らす自治体、貧乏な自治体だって、やろうと思えば色んなことが出来るんだと実感。
     この著者、あんまり資本主義が好きじゃない感じだけど、地方に対する愛情はかなりあるんだと思う。でも、もう少し経済的な問題も意識した方が良いのでは…。

  • 請求記号・601.1/Ho 資料ID・310003875

  • 地域再生というと住民のエネルギッシュな取組を紹介している本が多いが、この本はまず国の開発主義の国土計画・リゾート構想などの失敗を指摘している。阪神大震災の教訓から、住民が避難できるオープンスペースの確保、木造家屋密集地帯の改善などを提唱し、不採算で廃線となったローカル鉄道の復権や、ノーマライゼーション(バリアフリー)などを通して、まず基本的人権が保障された地域を作ることに「公」の意味を認めている。「地場産業」・「環境保護」・「住民参加」などの失敗例・成功例も比較的細かく報告されている。なかでも大事なのは住民参加、「ヨコならびでない地域」を作ることだという。「ヨコならび」の発想は中根千枝などが指摘しており、なかなか抜けないものであるが、数多くの事例をみれば、「わが道」を行くことは可能である。

  • 真の地域再生とは何か?それは、住民が幸せに生活できていることである。

  • [ 内容 ]
    少子高齢化や過疎化などを背景に、多くの地域が衰退しているなか、自治体と住民が知恵を出し合い、個性的なまちづくりによって活性化に成功している地域が存在する。
    これまでの地域政策の問題点を明らかにし、地場産業の復興、持続可能な地域づくりなど、地域が真に再生するために必要な条件を、豊富な事例を示しながら提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 なぜ、地域再生なのか
    第2章 人権が保障された地域をつくる
    第3章 地場産業で生活できる地域を作る
    第4章 自然と共生し、持続可能な地域をつくる
    第5章 ヨコ並びでない地域をつくる
    第6章 住民の意思で地域をつくる
    第7章 地域再生に向けて

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