金融NPO: 新しいお金の流れをつくる (岩波新書 新赤版 1084)

著者 :
  • 岩波書店
3.51
  • (3)
  • (15)
  • (20)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 122
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310846

作品紹介・あらすじ

「意志あるお金」を社会に活かす。キーワードは社会的リターン。既存の銀行や市場ではお金がうまく流れない、社会や環境のためにお金を回したい-さまざまな知恵と工夫によって広がる内外の金融NPOを詳しく紹介。営利金融との連携や「協働」を促すための望ましい金融制度の姿を論じる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705660

  • 【版元】
    著者:藤井良広
    価格:本体780円+税
    通し番号:新赤版 1084
    刊行日:2007/07/20
    ISBN:9784004310846
    新書 並製 カバー 252ページ
    在庫僅少

    「意思あるお金」を社会に活かす.キーワードは社会的リターン.時代が求める非営利金融の現在とは.既存の営利金融や市場では果たせない,社会や環境のためにお金を回したい.さまざまな知恵と工夫によって広がる内外の金融NPOを詳しく紹介.営利金融との連携,金融政策など,望まれる金融制度の姿を論じる.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b225872.html

    【目次】
    はしがき [i-ii]
    目次 [iii-vii]

    第1章 日本の金融をどうみるか 001
    1 金融・危機から再生、そしてバブル再燃? 002
      激変する金融環境
      金融NPOは“あだ花”か
      何かが機能していない
    2 金融NPOのルーツ 006
      頼母子講の伝統と精神
      わが家の場合
      意志と知恵
    3 営利金融と非営利金融 010
      金融に求められる二つのリターン
      非営利にこそ「知恵」が必要
      米一九三三年証券法
      銀行と金融NPOの「つなぎ」
      加速する資金偏在
    4 担い手は誰か 018
      住民であり、借り手であり
      団塊世代も担い手に
      金利より社会性
      「金融」を取り戻せ

    第2章 広がるNPOバンク 023
    1 住民自身の融資機関 024
      銀行ではなく「バンク」
      市民の「便法」
      講から学ぶ
    2 老舗格の行動派――未来バンク 028
      出発は「郵貯批判」から
      「エコバンク」がモデル
      焦げ付きなし
      特別担保提供融資
    3 目指すは女性信用組合――女性・市民信用組合設立準備会(WCC) 035
      女性向けバンクを
      貸し手と借り手の相互信頼
    4 「東京砂漠」でお金を活かす――-東京コミュニティパワーバンク 039
      東京のど真ん中で
      ともだち融資団
      公開審査方式
    5 行政との協働方式――北海道NPOバンク 043
      道・市と二人三脚
      三人四脚
      融資判定表
      出世払いも人づくりも
    6 信濃の国で夢を応援―― NPO夢バンク 048
      協調の長野方式
      行政支援――融資と出資と
      資金調達に奔走
    7 地震被災地での資金循環を――新潟コミュニティ・バンク 053
      始まりは「志」の投資から
      困難を乗り越えて
      じっくりと歩みを進める
    8 アーティスト・パワー ―― APバンク 058
      音楽家たちの参入
      リアルなお金の使い方
      自然エネと省エネと環境と
      バンクバンドへの共鳴
    9 若者も金融を主導する――コミュニティ・ユース・バンクmomo 064
      「エコ貯金」が生みの親
      「時間泥棒」から夢を取り戻す
      お金の中央集権打破を
    10 団塊世代中心で中小企業支援――愛知コミュニティ資源バンク 068
      株式会社でNPO
      日本版CRAにも奔走
      毎月払いの出資金
      地方の活力をどう引き出すか

    第3章 多重債務者を救え 073
    1 貸金業規制法改正のインパクト 074
      灰色金利論議から波及
      資産規制強化が重石に
      政治決着で救われる
      金融商品取引法でも
    2 多重債務阻止の先駆者――日本共助組合 078
      半世紀の歴史
      「共助」の精神
      神父が先導
      教会に「お金」の窓口
      激動にも直面
      ラフォント神父の回想
    3 もう一つの先駆者――岩手県消費者信用生活協同組合 086
      花開いた信用生協方式
      宮古事件で生まれた知恵
      札束を積み上げる
      金融機関との連携
    4 首都の多重債務者救済を――生活サポート生協・東京 092
      賛同から導入へ
      資金調達は匿名組合方式で
      血縁に代わる支援の輪は
    5 広がる岩手方式――グリーンコープ生協ふくおかなど 097
      生活が“分解”していく
      ホームレス支援も
      購買生協で初
      雪深し青森

    第4章 市民ファンドで起業支援 103
    1 起業の夢にエール――市民バンク 104
      バンクとファンドの狭間
      バブル前に銀行を脱出
      「エコバンク」の啓示
      夢作文で会社を審査
    2 女性起業家を特訓―― WWBジャパン 109
      起業支援のスクール展開
      公開起業オークション
    3 地方のエンジェル――島根県民ファンド 112
      みんなでエンジェルを
      桃太郎モデル
      団塊から若者まで
    4 若者ベンチャー ――地域維新グループ 117
      平成維新の志士たち
      首相官邸に招待
      「もったいない」運送
    5 八つの起業ファンド 122
      ファンドが促す若者と団塊の世代連携
      カリスマ発明主婦を支援
      年金生活宣言
    6 NPOパワーで風車を回せ――自然エネルギー市民ファンド 126
      風に込めた決意
      原発反対から風車建設へ
      匿名組合契約で資金調達
      ウインド・ファームに挑戦
    7 太陽が照る街――おひさま進歩エネルギー社 133
      市ぐるみ太陽光発電
      「おひさまファンド」の船出
      地産地消のバイオマス起業
    8 パイオ熱利用――備前グリーンエネルギー社 138
      太陽と森のエネルギー
      住民運動との協調
    9 手づくりの医療機関債――中井生活経済研究所 141
      母の死と医療への悔い
      自主ルールで行政に先行する
      債権証書も手づくり
      総額貸付型と地域オープン型
      地域医療の連携役も
      病院職員向け債権

    第5章 寄付で促す資金の還流 149
    1 寄付文化は日本になじむか 150
      寄付の効用
      富者の篤志活動
      寄付先進国・米国
    2 マンション型寄付方式――大阪コミュニティ財団 154
      大阪らしい社会貢献を探せ
      多彩なメニュー
      日本版ユナイテッド型
      子孫のために木を植えよう
    3 寄付による投票条例――寄付市場協会 161
      ホームタウン・ドナー
      第一号は泰阜〔やすおか〕村
      障害者の海外旅行で賛否
      一七番目は夕張市
      非営利株式会社の設立
    4 知恵と工夫の寄付活用――循環者ファンド 168
      地域通貨との連携
      銀行との協働
    5 オンライン寄付―― NGOアリーナ、ガンバNPOなど 171
      クリック一つで意志を送る
      サイトの合従連衡も
      つり銭型寄付から変化?

    第6章 米英の金融NPOの担い手たち 175
    1 米国の非営利金融活性化の政策 176
      CRA制定までの道
      格付け検査で合併に「NO」も
      地域金融の担い手、CDFI
      資金循環のメリーゴーラウンド
    2 米CDF1の担い手たち――ボストン・コミュニティ・キャピタル(BCC) 182
      ボストンの「下町再生」
      個人資金が基盤
      近隣のニーズを把握
    3 NPOのインフラ整備――イリノイ・ファシリティーズ・ファンド(IFF)など 187
      「風の街」の街づくり
      学校債券発行をアレンジ
      起業家向け技術支援も
    4 世界の金融センターで――ノンプロフィット・ファイナンス・ファンド(NFF) 192
      一〇六のCDFI
      二つのボトムライン
    5 米国モデルを「輸入」した英国 196
      金融排除への挑戦
      投融資免税策も
    6 マイノリティ支援――フェア・ファイナンス 199
      環境の前に貧困を
      「年利一〇〇〇%」の高利貸し
      一ポンド株主
    7 多彩なCDFI活動―― GLEワンロンドンなど 204
      開発会社のCSR
      起業支援で助言者制度
      CDFI輸入の先駆者
      住宅エクイティ・スワップ
      「不死鳥」なしで飛び続けられるか
      銀行との連携

    第7章 「銀行」になった金融NPO 211
    1 コミュニティ・バンクの道 212
      営利・非営利の統合へ
    2 「三つの道」を目指す銀行――トリオドス銀行(オランダ) 213
      ピンクの銀行本店
      GFSの幹事役
      マイクロ・ファイナンスに資金循環
    3 資金の行き先が見える銀行―― GLS銀行(ドイツ) 217
      シュタイナー運動が起源
      「エコバンク」を救済合併
    4 米コミュニティ・バンクのメッカ――ショアバンク(米国) 220
      四人のシカゴ・マフィア
      自助の意志を創り出す
      大手銀行とも競う
      クリントン大統領にインパクト
    5 慈善を貫く営利銀行――チャリティ銀行(英国) 227
      もう一つのメッカ
      預金金利を自分で選ぶ
      「慈善銀行」の問いかけ

    おわりに――お金の巡りは社会を活かす 231
      営利と非営利の金融をつなぐ制度設計を
      民民連携の設計も
      手探りの日本
      監督行政と政策行政
      金融NPO特区を
      金融CSRで民民連携
      団塊よ、核となれ!
      金融NPO同士の連携も 
     

  • 知ってるようで知らないことがわかる良書。

  • 「意思あるお金」を社会に活かす。キーワードは社会的リターン。既存の銀行や市場ではお金がうまく流れない、社会や環境のためにお金をまわしたいーさまざまな知恵と工夫によって広がる内外の金融NPOを詳しく紹介。営利金融との連携や「協同」を促すための望ましい金融制度の姿を論じる。

  • 前半は日本のいろんな金融NPOの紹介にとどまり、無味乾燥な感じ。後半の日本以外の国の状況について書かれている部分は面白かった。元新聞記者なだけあって、文章はとてもわかりやすいと思う。

  • 社会的金融って日本ではあまり浸透していないかと思っていたけど、色んな例があったんだなぁと。
    もっともっと広げていきたいなぁー

  • 面白いけど著者は教授であるものの論文とはいえない
    新聞記者だけあって新聞記事の集まりみたいな感じ。
    NPOバンクを知りたいなら必読だけど、もう少し学問的な体系がなされる必要あり。

  • SLIに興味が湧いたため購読。ビジネスと社会貢献を両立させることの大変さと必要性が伝わった。

  • 生協や共済だったり、貸金業だったり、グラミン銀行だったり、NPOだったり、自分が知ってた事がこんな形で繋がるなんて。面白かったし、こういう社会参加っていいなって思った。apバンクもただのフェスだと思ってたし。

  • [ 内容 ]
    「意志あるお金」を社会に活かす。
    キーワードは社会的リターン。
    既存の銀行や市場ではお金がうまく流れない、社会や環境のためにお金を回したい―さまざまな知恵と工夫によって広がる内外の金融NPOを詳しく紹介。
    営利金融との連携や「協働」を促すための望ましい金融制度の姿を論じる。

    [ 目次 ]
    第1章 日本の金融をどうみるか
    第2章 広がるNPOバンク
    第3章 多重債務者を救え
    第4章 市民ファンドで起業支援
    第5章 寄付で促す資金の還流
    第6章 米英の金融NPOの担い手たち
    第7章 「銀行」になった金融NPO
    おわりに―お金の巡りは社会を活かす

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • キーワードは「意思あるお金」でしょう。
    昨今注目が集まっている金融NPOについて、金融NPOが起り始めた背景、実際に起っている多様な事例を交えながら解説されています。社会的課題解決のために既存の金融機関が融資しない・できない対象を扱うファンドの話、多重債務者救済の策の話、ファンドレイジングの手法として参考になる点も書いてあると思います。

    事例紹介の際も、既存の選択肢をしっかりと明示した上で、金融NPOが扱う領域を示しているので論理的にわかりやすいです。

    世間一般的にも、ソーシャルファイナンスという分野の先駆的な本だと思います。

    金融関係の本を読んで基礎も抑えないとなと思うようにもなりました。

  • 少し前の本。著者はジャーナリストで国内や海外の金融NPOをタイプごとに丹念に取材されている。地元、一宮市の教会の事例が出てきた。教会の場所も知っているのに、耳目を集める活動についてはまったく知らなかった。
    厳しい経済環境の中でも、たくさんの預金、資金、寄付金を集めることができている事実に勇気づけられる。政府の支援は、特定業界の支援ではなく、マネー循環と起業促進というインフラ整備であり、マーケット創造は市民・起業の責任であるということを裏打ちする議論を展開してくれている。

  • お金の流れについて、新たな視点を提供してくれました。

  • 近年日本でも徐々に活動が活発化しつつある金融NPOについての入門書。

    タイトルでは「NPO」と一括りにされているが、その形態は必ずしもNPOとは限らない。信用組合もあれば、株式会社もある。

    重要なのは「非営利の金融」だということである。
    既存の営利金融では、社会の本当に必要な部分にお金が回っていない、という市民の問題意識に基づき環境や福祉などの社会起業へと資金を融資する金融である。

    出資者も金銭的リターンではなく、自分のお金が社会的に意義のあることに使われる、という社会的リターンを期待する。

    日本で有名なのは、Mr.Childrenの桜井和寿氏らが出資し、環境系の活動に融資を行うAPバンクなどである。


    本書は日本内外で活動を展開する非営利金融を「NPOバンク」「市民ファンド」など活動形態ごとに分けながら多数の事例紹介を行っている。
    あまりに事例紹介ばかりが続きすぎて、正直読後には一つ一つの印象は薄れてしまうが、たぶんそれでも良いのだろう。情報はあとから読み返せば良い。重要なのは、日本にも徐々に「意思あるお金」の流れができ始めている、ということである。

    社会起業やNPOなどへの融資だけでなく、多重債務者の救済にも非営利金融が活躍していることは知らないこともあった。


    地域再投資法や寄付による税控除制度など政府が非営利金融の社会経済的効果を理解し率先してシステムを構築している米国やそれを模倣した英国に比べると、日本の制度は非常に遅れているし、今後も政府が非営利金融に理解を示すとは少なくとも近い将来には考えにくい。

    市民の側の更なる活躍が期待されるところである。
    また、本書にも書かれていたが、国が動かずとも地方自治体であれば動く可能性がある。財政悪化が続く自治体が多いが、そういう自治体ほど今後公共サービスの担い手としてNPOや社会起業に期待するところは大きいはずだからである。


    個人的にはオンライン寄付などウェブ上の非営利金融サービスも気になった。欧米の先進事例などもう少し調べてみたい。

  • 『NPO』という単語に惹かれてふらっと買いましたが、内容にぐいぐい引き込まれました。
    全国各地の「新しいお金の流れ」先進事例が満載です。
    ソーシャルファンドって結局何なんだ?という方にもおススメです。

    お金を流す仕組み、仕掛け、その背後にある数々の工夫

    ソーシャルファンドっておもしろい!

全16件中 1 - 16件を表示

著者プロフィール

大阪市立大学卒。日本経済新聞経済部編集委員を経て、上智大学地球環境学研究科教授。現在、一般社団法人環境金融研究機構代表理事、CBIアドバイザー等を兼務。
主な著書に『環境金融論』(2013年、青土社)、『EUの知識 第16版(日経文庫)』(2013年、日本経済新聞出版社)、『金融NPO(岩波新書)』(2007年、岩波書店)等多数。神戸市出身。

「2021年 『サステナブルファイナンス攻防』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤井良広の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×