- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004311119
作品紹介・あらすじ
新嘗祭、神武天皇祭など頻繁に行われる宮中祭祀に熱心に出席、「神」への祈りを重ねた昭和天皇。従来ほとんど直視されなかった聖域での儀礼とその意味に、各種史料によって光を当て、皇族間の確執をも視野に入れつつ、その生涯を描き直す。激動の戦前・戦中から戦後の最晩年まで、天皇は一体なぜ、また何を拝み続けたのか-。
感想・レビュー・書評
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宮中祭祀官としての昭和天皇像。
戦争中に天皇ができることは、神に勝利を祈ることだけだったのだろうか。しかし、天皇の重要な仕事は「祈る」ことだったのは事実だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦前から晩年までの昭和天皇の動向がまとめられた新書。年を重ねるにつれて、天皇としての役目、立場を意識し始めたことがわかる。また、戦前の昭和天皇といえば、白馬に乗った写真が印象的だが、そのイメージが形成されるきっかけとなるのが、1929年の水戸郊外の陸軍大演習だと読んで知った。これ以外にも、占領期以降、政治的配慮から靖国神社参拝を控えたこと、皇室におけるキリスト教受容の検討は、敗戦がきっかけではなく、大正末期の貞明皇后(昭和天皇の母親)にあるなど、高校日本史では明らかにされなかった事実を学んだ。
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昭和天皇の歴史は日本の戦争の歴史と重なる。昭和天皇の戦争観に触れて改めて戦争に対する考え方が変わった。
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19/05/07。
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戦前と戦後をまたいだ昭和天皇の業績を、「政治的主体」と「非政治的主体」、「お濠の内側」(不可視の天皇)と「お濠の外側」(可視の天皇)という2つの座標軸によって構成される4つの象限に分けて、ていねいに論じた本です。
とくに、生母であり筧克彦の「神ながらの道」に大きな影響を受けた貞明皇后からの影響と反発が昭和天皇の中でどのような仕方で絡み合っていたのかを解きほぐしつつ、戦前・戦中・戦後の祭祀が持っていた意味について考察を展開しています。
ときに昭和天皇に対する批判的な視点も示しつつ、全体としては政治的空間の中で天皇の祭祀がどのような意味づけを帯びることになるのかという、興味深いテーマに踏み込んだ試みだと思います。 -
烏兎の庭 第五部 書評 8.31.15
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto05/bunsho/Hara_Ten.html -
宮中祭祀を中心に昭和天皇を紐解こうとする一冊。
皇太后との対立など今まで知らずにいたことが多い。
ただこの本だけでは見えて来ないことも多いので、
その他の関連本も読んでいきたい。 -
昭和天皇の戦前と戦後の姿を追う。
それまで断絶の側面に光を当てられていたが、
連続性に注目しているのは興味深い。