ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311126

感想・レビュー・書評

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  • 「民営化された戦争」という国家レベルの貧困ビジネス」(p204)について書かれた本。これだけではなんのことか分からないかもしれないけれども、世界のシステムについて新しいパースペクティブを提供してくれるのは間違いない。

    日本ももちろんこういう方向を目指しているわけで、昨今の派遣切りの問題なんかは、このシステムの裏面が思わぬ形で露呈したに過ぎない。

    クビの切り方が非情すぎると問題になっているけれども、アメリカではああいうやり方はごく当たり前で、ニュースにもならないんじゃないか。日本はまだ社会保障制度がしっかりしている分、アチラよりましだろうけども、これもだんだん怪しくなりつつあるな。

    冒頭の、「貧困が生み出す肥満国民」を読むと、アメリカ人が抱く「貧乏人=デブ」というイメージの背景がわかる。これにキャンピングカーが加われば、典型的なアメリカの最貧困層というわけだ。
    映画「ミリオンダラー・ベイビー」で、ヒラリー・スワンク演じる女性ボクサーの家庭がそうだったな。ジャンクフードばかり食べている(食べさせられている)生活保護世帯という設定。

    本書は2008年の日本エッセイストクラブ賞を受賞。
    けっこう注目を浴びた本らしいです。

    全然関係ないけど、著者の「未果」という名前はかわいらしいですね。
    著者の経歴を見ると、ニューヨーク市立大学大学院、国連婦人開発基金、アムネスティ、米国野村證券を経てジャーナリストという華々しさで、これほどバリバリのキャリアだったら、出てくるのはごついオバサンかなと思ったら、名前どおりのイメージ。

    ただし本書は真面目な秀才タイプの作品にありがちなように、無味乾燥で色気がない。次を読もうという気が起こりません。

    と書いたのは本書が出た2008年ですが、時間が経ってみると、続編も読んでみたくなりました。

  • アメリカってこんな国だったんだ、と読み終えるとゾッとします。

  • 本気で想像しながら読むと気が滅入りそうでした。でも、これも一面から見た真実なのだろうと思います。

  • フォトリーディング&高速リーディング。

    気分が良くなるないようではないので、あえて読む必要なしと思われる。衝撃的な貧困の状況。

  •  ずいぶん前に続編の「Ⅱ」を読んでこっちを読んでいなかったことが気になっていたのでようやく読んだ。10年前の本なのに未だに状況は変わっておらずむしろ格差社会はひどくなっているかもしれない。経済が弱者を食い物にする仕組みがよく分かる。日本はここまでひどくなくてよかったけど、うっかりしているとこうなってしまうかもしれないから気をつけないといけない。

     民営化は怖い。かといって国営も無駄が多くて困る。どうすればいいのだろう。

     憲法改正には以前は賛成だったのだが、安倍政権では嫌だと思うようになった。あんまり信用できない人にはやらないで欲しい。国民投票があったら反対する。

  • アメリカでは軍隊がテレビCMを流していること、大学の奨学金を出してくれること、でもその奨学金がなかなか取れないことは知っていた。

    が、軍隊へのリクルートのため国からの助成金と引き換えに高校に高校生の個人情報を提出させていること、高校生だけでなく、入隊すると学費ローン免除の制度がありコミュニティ・カレッジの学生も対象となっているのは知らなかった。

    ただ、「クレジットカード」がアメリカと日本では異なることをもう少し説明した方が良かったのでは。
    クレジットカードの発行審査が厳しいこと、
    最低支払額を払っていればカードを使い続けることができるが大きく利息がつき残債が増えること、
    カードを使ってきちんと返すことでローン審査が有利になることが異なっているので。

    病気になってしまい高額の医療費が払えないという医療保険のシステムもひどいが、
    本来返せない収入層に組織的にサブプライムローンを貸したのは、貧困ビジネス、というよりはただの「搾取」だと思った。

  • アメリカ社会に関して、知らないことがたくさん書いてあった。
    事実でない部分もあるかもしれないが、想像すらしたことなかった一面に光をあててくれて、議題のベースとなりうる話がいくつもあった。
    少なくとも、日本はこういう社会にしてはいけない、したくないと心から思う。

  • 今まで読んだ本の中でも1番と言っていいほど衝撃を受けた本。日本がいかにアメリカについて報道しないでいるかわかった。これまでアメリカを良い国、自由の国、というイメージだけで評価していた自分を恥じた。
    様々な費用の削減による格差の拡大、特に医療と教育。軍に入らざるを得ない、学びたい若者たち。どれも私の生活からは想像もできないような過酷さだった。発展途上国ではなく、先進国だからこその貧困がひどい。
    この本を読んでいて、貧困などで辛い思いをしている人に対して何ができるか、という問いに対して、もう救うすべはないのではないかと気付かされずにはいられなかった。戦争ビジネス。政府が教育や医療を民営化してしますことの怖さ。利益最優先な世の中の流れ。
    何度も言うが、本当に衝撃を受けた。

  • 読むのが遅かった。
    ここに書かれていることはもう周知のことだ。
    しかし、具体的なエピソードはどれもひどいものだ。
    これはブッシュ政権時代のことだが、その後のことも知りたい。Ⅱも読まなければ。

  • 読了

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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