ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311126

感想・レビュー・書評

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  • 今の日本が同じ方向へ進んでいるようで、うすら寒くなった。

  • 貧困ビジネスという言葉では生ぬるい。なんと冷酷無情なシステムが出来上がってしまったのか。いのちなきもののように人間が扱われる状況におぞましさを感じた。

    ごく一部の人間が貧しいのではない。まさしくごく一部が富み、中流が細り、1/5~1/4の最下層が喰い物にされている。

    答えはほとんど提示されていないが、問題提議の書として、国・地方行政のありかたとして、検討に値する本だ。

    ・貧困児童の肥満。給食の皮肉。
    ・FEMAの実質的な民営化。政府が業務を委託すると敏速な動きがとれない。民間は効率優先のため、国民の安全維持という目的に合致しない。
    ・破産の原因の第一が高額医療費の負担。
    ・医療過誤死は年間7万人。交通事故の4万人を大きく上回る。
    ・おちこぼれゼロ法は軍へのリクルート情報の提供に真意が。
    ・大学生にとって怖いのはテロ:13.4%、仕事がみつからない:31.2%、借金が増える:32.4%
    ・軍が開発したオンラインゲーム
    ・軍関係の下請け会社。貧しい国人々も雇われ、下請け構造が複雑のため、責任の追及ができない。
    ・「機械的に身体を動かして金を稼ぐときに感情は邪魔です」「目の前の生活に追い詰められた末に選ばされる選択肢の一つに戦争があるというだけ」「アメリカ社会が僕から奪ったのは二五条です。人間らしく生き延びるための生存権を失ったとき、九条の精神より目の前のパンに手が伸びるのは人間として当たり前」
    ・イラク戦争は報復戦争というとらえ方では見方を誤る。民営化された戦争、貧困だからこそできた戦争なのだ。

  • いや・・・アメリカの貧困がここまでひどいとは思わなかった。

  • 遅ればせながら,読了.とても良質なジャーナリズムだと思う.

  • 「ワーキングプア」「派遣切り」「生保受給者バッシング」「格差社会」そして貧困による「餓死」…小泉竹中構造改革路線が生み出したこの10年の日本の貧困問題は、アメリカから見れば「いつか来た道」であることが、本書を読むと良くわかる。
    新自由主義政策の柱である「民営化」を、福祉や医療、教育に適用した結果生まれた貧困層の受け皿が「民営化された軍事」という、あまりにも壮大なマッチポンプに眩暈がする。
    「TPP参加」「9条改憲」を掲げた政党が大勝した後に読むのは、ちょいとヘビーだった。

  • 5年ぶりに再読。この本が出版された5年前よりも日本の状況は急速に酷くなり、アメリカに近づいている。TPPに参加し、軍事化を進めようとしている今こそ必読の書。

    「『民営化された戦争』という国家レベルに貧困ビジネスと、それを回してゆくために社会の底辺に落とされた人間が大量に消費されるという恐ろしい仕組み」

    自由競争、民営化などの美辞麗句に騙されてはいけない。格差社会は大資本や政治家の思うツボ。

  • 格差社会といわれる今、世界で何がおこっているのか!?
    この本を読んで世界の見方が変わりました。

  • アメリカでの医療費は高いってのは知ってたけど、実際の内訳知ると恐ろしいね。盲腸で1日入院しただけで132万!!(・o・)
    お産も産後の肥立ち…がなんて言ってられないのね?お産でさえ日帰りって!?3日も入院したら200万の請求だと。
    長期療養が必要になった時の医療費たるやどんだけー!?になるわな…。
    そりゃ、中流家庭の収入でも自己破産続出するわけだ…。
    しかも、戦争自体もここまで「民営化」されてるとは知らなかったわ。
    怖すぎ…。
    とはいえ、明日は我が身、我が日本…。笑ってられない。

  • 読み応え抜群。本当にこんなことが行われているのか。刑務所まで民営化。ホームレスで逮捕。奨学金制度の闇。どこまで市場の論理で突き進めば気が済むんだ。

  • 図書館より。

    アメリカの格差社会を医療や戦争ビジネス視点から書かれた新書。

    アメリカ=大国というイメージがあったので、アメリカの飢餓人口の想像以上の多さにまず驚き、アメリカ人の肥満と言えば自己管理が出来ていない、というレッテルが貼られていたのも今や過去の話になっていたことにもびっくりでした。今やアメリカ人の子供の肥満は貧困の一つの指標になっているわけです。

    中流家庭が病気や事故一つで破産寸前、もしくは破産にまで追い込まれるというのも今までニュースなどで何となく知っていましたが、それでもこの本で挙げられる実例は衝撃でした。日帰り出産をせざるを得ないアメリカの産婦人科の現状にもびっくり。

    戦争ビジネスの章では以前読んだ高野和明さんの著書『ジェノサイド』と被るところもあり、むざむざと現実を突き付けられた感じです。米軍の貧困という弱みにつけこんでの勧誘には慄然としました。

    そして恐ろしいのは日本もところどころでアメリカの流れに引っ張られているところ。

    民営化や自由競争がこの本の一つのテーマとなっていると思うのですが、その言葉の響きが読み終えた後だと違う意味を伴っているように思えます。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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