自然な建築 (岩波新書 新赤版 1160)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311607

感想・レビュー・書評

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  • 著者の他の本も何冊かよんでいる。が、逆にちょっとレビューしにくい。新しい内容なのかまとめなのか、敢えて切り口を少し変えているのか変わってしまっているのか…読み終わってすっきりしなかった。これが一冊目なら素直に面白いだろう。

  • 語りかけるような文体で一気に読むことができた。
    スケジュール最優先の現在の建築の進め方に疑問を投げかけながらも、周辺に溶け込むような建造物を造るため試行錯誤を繰り返し、数々の制約やクライアントの意向と折り合いをつけながら現実的な解を探っていく様子が興味深かった。

  • 「自然素材」を使った建築について。「自然」な素材ってそもそも何なのか。
    実例が多く、専門知識がなくても楽しい。いますぐにでも見に行って、空気を感じたり、触れてみたくて仕方なくなる。

    高校のとき、電車から見えた、不揃いなルーバーのある高崎駅近くの駐車場。あれは動くんだろうか、といつも思っていた。あれもこの作者のデザインであったらしい。(この本には登場しません)

    栃木県の広重美術館
    しまなみ海道の亀老山展望台
    新潟県柏崎市 高柳町、陽の楽屋
    行ってみよう

  • 自然な建築とは何だろう。そもそも建築とは人工物そのものではないか。

    そんな問いに著者は、自然な建築とは、自然、人間、空間を取り持つ媒体のようなものであるべきだという答えを出しています。それは、表面だけを取り繕うのではなく、物質、素材のレベルを重要視しつつ、現実的に折り合いをつけてゆく建築だと言えるでしょう。
    つまり自然な建築を実現することが重要であって、予算も顧客も無視したり、人工物を全て否定するような、いわば「原理主義者」ではありません。

    本書はこうした著者の考え方を踏まえながら、著者の実際の仕事を紹介しています。

    効率的(より早く、より安い)であるために、有り合わせを組み合わせるだけだったり、コンクリートにシートを張り付けて表面だけを飾って高級感を出すような建築に対する著者の嫌悪感をひしひしと感じながら読みました。
    ただやっぱり、時間とお金。その場所に本当に適した建築をつくるためには、その場所をぶち壊すような建築(著者はその技術のやり玉としてコンクリートを挙げる)よりも、時間もお金も手間もかかるんですよね・・・。

  • 歴史の引用を自らの建築に繋げる語り口がなめらかに書かれている。
    主張が”自然名な建築”と一貫している為に変な展開が無く、いかに自然なものを成立させる事が大変な作業であるかという事と、想像できない領域(体験する事)の大切さを説いている。
    建築物の素材にスポットを当てており、それ以外はほとんど語っていないという印象。著者の取り組みと、その思考の連続性を探ることのできる一冊。

  • メタボリズムの世界展から建築というものにもった自分にとってはコンクリートと鉄筋によるものこそが建築であった。主体の自然との関係性を重視する建築家・隈研吾氏による自らのプロジェクトの解説。素材を活かしてつくられたことが伝わってくるので建築そのものを確認しに行きたくなった。

  • 感性や好き嫌いに基づいた技術批判が散見されるようで、普遍的な説得力があるわけではないなと思いました。
    全体としては著者の作品群の解説を通しての思想や工法の紹介および奮闘記といったところでしょうか。
    目新しい材料や素材の雑学本として捉えるなら面白いと思います。

  • 隈さんの、横浜っ子らしい、または下町のオヤジさんのような冷めているようで、熱く挑戦的なかんじがよいです。

  • ≪目次≫
    序章   20世紀とは
    第1章  流れゆく水ー水平へ、そして粒子へ
    第2章  石の美術館ー切断の修復
    第3章  ちょっ蔵広場ー大地と融けあう建築
    第4章  広重美術館ーライトと印象派と重層的空間
    第5章  竹ー万里の長城の冒険
    第6章  安養寺ー土壁のデモクラシー
    第7章  亀老山展望台ー自然と人工の境界線
    第8章  和紙ー究極の薄い壁
    終章   自然な建築はサスティナブルか
    あとがき

    ≪内容≫
    著者の挑んだ、20世紀を否定(?)する自然物を基本とした建築とその建造物ができるまでの流れ、苦労などを割と淡々と語ったもの。
    古き良きものを現代に再構築しようとした工夫が多く盛り込まれている。

  • 隈研吾という建築家には、以前から惹かれる部分があった。それは自分が現代の建築人でもっとも尊敬している、藤森照信のもつ空気感のそれとはまた違うと思っていたのだが、そうでもなかった。やはり本流は同じであった。

    「素材」に対する氏の姿勢は、見ていて本当に気持ちがよい。

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著者プロフィール

1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、『反オブジェクト』(ちくま学芸文庫)、他多数。

「2022年 『新・建築入門 思想と歴史;ク-18-2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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