新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

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著者 : 濱口桂一郎
  • 岩波書店 (2009年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311942

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

  • 正規非正規の問題の根源を知りたいときに真っ先に読みたい一冊(和田)

  • 労働階層を研究してる先輩に勧められて読んでみたけど、難しかった…2015/12/24

  • 著者が労働政策に知悉しており、歴史的変遷や制度の考え方について大変参考になった。
    ただ、解決策を論じる部分では論旨が難解に過ぎ、かつ現実的なロードマップが示されていないように思えた。
    参考になる部分もあるが、いかにも役人の書いた本という感じ。(元だけど)

  • 日本型雇用慣行の成り立ちと、労働法からみた現代の雇用にまつわる諸課題を丁寧に解説してあり、非常に分かりやすい。
    終身雇用、年功的職能給制度、企業別組合、ホワイトカラーの長時間サービス労働などはすべて’日本型雇用システム’を支える重要なパーツであり、すべてつながっている。従ってどれか一つだけ変えようとしてもうまく行かないことがよく理解できた。これらはある意味日本文化の本質とでも言うものであり、一朝一夕には変わらないだろうが、いずれグローバルスタンダードに収れんしていくように思われる。
    いまは非正規労働者というカースト外の身分を作ってそこにしわ寄せすることで何とか外国勢と戦っているが、今後若年労働者が減少し、多くの老人を支えるべき高生産性を実現していくにはサステナブルなシステムではない。

  • 現在の労働法政と実態のギャップを挙げるだけでなく、解決策、今後の方向性も示している。歴史的背景から論じている点も私には納得性の高まる要素となり良かった。非常に充実した内容で勉強になる一冊。

  • 雇用システムの転換期だとおもう。働く者のルールづくりには、働く者が関わるべき。

  • とりあえずどこかで日本の雇用システムの変革と社会保障をしっかりしていかないといけないよね。

  • 岩波だけあって油断してると字面を撫でるだけになってしまうが、それだけ内容の濃い本だった。
    労働に関する諸問題として、労働時間や賃金、生活給制度、非正規労働、労働紛争など幅広くカバーしている。

    著者が冒頭に述べている通り、国際比較と歴史的パースペクティブを軸に論を展開しているので、歴史や法律、欧米の事例といった話が主。
    とりあえず幅広い現状が知りたい人にはオススメ。

  • 第三章賃金と社会保障のベストミックス、この章が良かった。やはり、労働政策×社会保障論を同時に論ずるのは鉄則。労働マーケットから離れてしまった人は一時的に社会保障で支え、労働法による環境整備でまたマーケットに戻れるような施策を にとても同意。 また学校と労働の乖離の問題点指摘の部分もとても納得できた。
    1つ残念なのは、非正規という言葉を使っていること。労働法界では非典型雇用労働者と使うのがスタンダード。

  • 日本における労働社会が、世界のそれと比較されることで俯瞰的に見えてくる。

    良く目にする報道のように、残業にかかわる使用者・労働者の裁判を未払賃金の問題としてフォーカスすると、長時間にわたる(健康維持が難しくなる)労働時間という問題から視点がずらされてしまう。
    確かに!


    問題は、しかし、使用者だけでなく、労働者も長時間労働を容認していることにもあり。
    民間企業に勤めていた際は残業に抵抗なかったしな…

    理由として、もちろん残業代が得られる事もあるけど、やるべき仕事に時間を注ぎ込みたいという思いからもあり。


    それからもし長時間労働の少数人員に替えて、短時間労働人員を多数にした場合、その企業の競争力ってどうなんだろう。


    少数精鋭の方が情報伝達も管理もやりやすいし、仕事にたいする意識や情熱も共有しやすいように思う。
    職種によるけど。


    企業としての競争力が落ちたらそもそも人を雇うことすら出来なくならないか?


    って考えてしまったけど、この考えがもう日本の経営陣の思想に毒されてるんだろうか。

  • 現在の労働問題に関するバイブルともいえる書
    「2012日本の論点」の紹介から読んだが、この本に出会えてよかった。
    ほとんどのページに付箋を付けてしまうほどの良書
    但し、文章はやや難解

    序章 問題の根源はどこにあるのか
    日本型雇用システムでは労働を職務ごとに切り出さず、一括して雇用契約する。ここから、長期雇用制度、年功賃金制度および企業別組合という形態が導き出されている。
    第1章 働きすぎの正社員にワークライフバランスを
    管理職と管理監督者(部長、工場長以上)の違い、ワークライフバランスの罠
    第2章 非正規労働者の本当の問題は何か
    偽装有期労働にこそ問題がある.EUの有期労働指令、ドイツ等では有期雇用契約の締結自体に正当な理由を求める規制も
    第3章 賃金と社会保障のベストミックス
    ワーキングプア、生活給制度、職業訓練システムの再構築(日本版デュアルシステム)、登録型派遣プレミアム
    第4章 職場からの産業民主主義の再構築
    赤木智弘「若者を見殺しにする国」、労働ビッグバン論者八代尚宏 
    EUの雇用モデル オランダモデルとデンマークモデル

    岩波新書 新赤版 濱口 桂一郎 岩波書店 2009/7

  • 世界に類を見ない日本型雇用システム。これら日本独特の労働社会問題をどのように解決させるか、諸制度や機能の歴史的背景、欧州との比較などを含めて詳細に説く。ワーキングプア、非正規労働者など近年の労働諸問題解決に繋がるヒントも多いが、具体的な手法や提案をさらに訊きたいところ。

  • この本は……難しいです(笑)
    目新しいと感じたのは、最低賃金の成立背景つまり、家計を補助する学生や主婦が主だったためにその低賃金で良かった(所得主筋は男性である)が、もはやその性格は過去のものとなり、フリーター等はその補完的性格である最低賃金で生活を営まなければならない状況にあり、これは現実社会と醋齬をきたしている。

    それともう一つ。労使の団体交渉について、労働組合への加入は管理職を除く正社員であり、利害関係者として管理職や非正規社員は排除されている点。
    これだと労使間協議の際、利害を主張できない非正規社員が真っ先に不利益を被ることになる。
    しかも、一企業では非正規社員数と正規社員数の比率が逆転しているところもあり、そのような少数の(正規社員の)主張が労働組合全体の主張といえるだろうか、疑問を禁じ得ない。

    もちろんその他、主にEU諸国の取り組み事例を紹介し、それをEU礼賛主義ではなく、模倣する際の注意点や批判もあり、丁寧に書かれているにも関わらず読解力の無い(労働問題は全くの門外漢な)僕には理解の難しい点が多く感じました。

    偽装請負問題も分かったようで分からない、一知半解の状態で、もう少し社会勉強をしてから読むと面白いのではないかと思いました。

    キャバ嬢の労組結成がタイムリーな話題となってるので、これから数年に労働問題のパラダイムを迎えるのは間違い無いと思います。

  • 雇用と労働の社会システムを法学・政策学的視点から詳細に論じた上で、産業民主主義の再構築へと架橋する、骨太の労働論。

    ここ最近読んだ数冊の中ではダントツで面白かった。
    まず、いわゆる「労働問題」についての解説が的確である。さらに、法学や政策学に基づく決してブレることのない視点が、筆者の論の強度を生んでいる。
    そして何よりも、全体を貫く主張がある。個々の問題の解説とそれに対する解決策が必ずセットになっており、しかも提示されている解決策はたいへん現実味がある。また、最終章において「産業民主主義の再構築」を掲げ、それらの解決策実現の土台となる包括的枠組みの提案を行うことで、個々の論点の補完を行うとともに、全体をまとめあげる役割も果たしている。これらの論点はすぐにでも議論の起点となっておかしくないだろう。

    最終章で論じられる「産業民主主義の再構築」が、わたしとしては非常に魅力的である。
    筆者の提案の要旨は、既存の労働組合を正社員・非正規労働者すべての利害代表組織として再構成し、使用者側からの独立を徹底すること、そして労使協議制の確立と労使双方の政策決定参加の推進を行うべきだ、という点にある。
    ここで、「労使双方の政策決定参加」に関し、コーポラティズムが言及されていることに注目したい。コーポラティズムとは、「集団」がそこに属する人々の利害を代表する形で政治運営に関わっていく、といった考え方である。
    コーポラティズムに関して個人的に良いなと思う点は、「利害」・「集団」の2つのキーワードが入っていること。
    労働は、ときにわたしたちの生死に直結する問題となるため、自己と他者の利害が顕著に現れるところである。さらに「労働組合」という「集団」は、比較的互いの顔が見えやすく、熟議・熟慮が成り立つ範囲としてもかろうじて成立しうる。ゆえに、政治を「利害の調整」という観点から考えると、このような集団単位(立派な共同体だよね、きっと)を基盤にした政治というのは、どんな個人・集団を基盤とした政治よりも、きわめて現実的に考えられるものだと思う。

  •  日本の労働の現状を分析しつつ、どのような政策を取るべきかを論じた本。

    ・三六規定(労働基準法第36条の時間外労働規制)は1週間の労働時間の上限(原則40時間)と定めているが、時間外労働を含めた上限を定める必要がある。

    ・日本は整理解雇(リストラ)の条件が非常に厳しく、個別解雇の条件が非常に緩い。そこで企業から退出を迫られることなく使用者に対して発言できる担保としての解雇規制を考えるべき。

    ・日本では均衡処遇=同一賃金同一労働の原則が適用されていない。これは同じ内容の労働に同時間従事しても、正規労働者か非正規労働者で賃金に格差が出ることである。

    ・2000年代に入ってもフリーターはバブル期と変わらない「夢見る若者」として扱われた。その中で非正規雇用問題も、アルバイトは「若者の就労意識の欠如」、パートタイマーは「夫婦間のアンペイドワークの問題」といった言葉で片付けられてきた。

    ・労働組合=正社員組合になっているのは危うい。非正規労働者を含めた集団的合意形成と共に、特定の人の利害のみを代表しない、使用者から独立した労働者代表組織が望まれる。

     この他にも、生活保護制度を救貧という観点でなく、就業促進を図れるものにするよう主張するなど、単なる人道主義に陥らないバランスの良さも評価できる点。

  • [ 内容 ]
    正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。
    その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。
    正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。
    問われているのは民主主義の本分だ。
    独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。

    [ 目次 ]
    序 章 問題の根源はどこにあるか―日本型雇用システムを考える
    第1章 働きすぎの正社員にワークライフバランスを
    第2章 非正規労働者の本当の問題は何か?
    第3章 賃金と社会保障のベストミックス―働くことが得になる社会へ
    第4章 職場からの産業民主主義の再構築

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • これは面白かったなー
    先輩に勧められて読んだ。
    やっぱり、ものを知ってる人はどれがいい本かも知っているようだ。



    日本の労働問題を、労働市場の観点からぶった切る本です。
    あ、別に過度に左とかいうことはないので。笑

    ずっと行政制度とか法律の問題として捉えてた問題を、違う観点から論じられてびっくりした。
    一つの観点に偏りすぎると、見えるはずのものも見逃してしまう。


    とりま、労働問題やるなら一回読むべき本かと思います。(´∀`)

  • 日本の労働社会の、本当の問題点は何かということを論じ挙げ、そのうえでの解決策を提示といったスタイル。
    日本の現状については、良く分析されていると思う。ただその解決策として述べられているのが、非正規雇用者も含めた新しい労働組合結成らしいが、はたして本当だろうか。もっとダイナミックな方策が求められると感じる。
    官僚出身者らしい、手堅い慎重な策ばかり述べられている印象。細かい法律論も多く、そのあたりはよくわからなかった。

  • 2010年前期集中の指定参考書とします!

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