司法官僚: 裁判所の権力者たち (岩波新書 新赤版 1200)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312000

作品紹介・あらすじ

全国の裁判官の人事や予算などの司法行政を担う最高裁判所事務総局。その幹部を構成する「司法官僚」とは、裁判官の衣をまとった行政官である。彼らはどんな経歴の持ち主なのか。判事たちをどのように「統制」しているのか。司法の消極性をもたらしているその実態を検証し、市民のための裁判所のあり方を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 裁判所を行政機構の視点から切り込み、問題点を浮き彫りにした。司法制度の中では、裁判官を批判できるのは裁判官だけ、とも言われる。視点を変えることで説得力が生まれた。

  • 裁判官会議の進め方や最高裁事務総局での人事の決定方法など、通常であれば知り得ない情報が網羅されており、著者のリサーチ能力に驚愕した。歴史的な価値のある一冊と言えるように思う。
    司法権の独立を守るという大義のために、最高裁事務総局を頂点とする司法官僚が権威になっているというのは、仕方のないことなのかもしれない。しかし、それが故に裁判官が内側を向いて仕事せざるをえないという現状は、やはり克服されなければならないだろう。

  • 深いベールに包まれた司法行政機構とりわけ司法官僚の実態や機能について切り込んだ意欲作品である。

    裁判員制度の導入にいたった司法制度改革審議会の設置は、たしかに人びとの司法への関心を高めた。

    社会にむけて「ものいわぬ人」とみられてきた現職裁判官のなかにも、司法の現実について積極的に発言をかさねるグループがつくられたが、最高裁事務総局を頂点とする司法官僚の支配は強固であり、突き崩していくのは相当な困難を伴うと著者は分析する。

    終章で、司法改革の責任は市民にあるとし、国権の最高機関である国会の役割が重要であると締めくくっている。

    まずは裁判所情報公開法の制定に取り組むべきであるとするなどなかなか読み応えがある作品であった。

  • 資料を引用して一般人には調べられないような裁判所内人事や組織内部の事情を知ることができる本。ただ、同じことを違う角度から何度も書いている部分が散見され全体的には内容が薄いような印象を受けてしまった。

  • 司法行政が、公務員制度の中でも極めて特殊ということは分かった。日本は公平・公正な登用や昇任というものの標準的な考え方を煮詰めてこなかった、単なる制度輸入(猿真似?)国家だという読み方もできる。だが、一般行政官僚と違いすぎて「わからない」ままにしている記述が多いので、もっと紙幅を割いて制度そのもの解説をすべきかなぁと思う。

  • ふむ

  • ほんとどんな人たちなんだろ。

  • 737円購入2009-09-24

  • 日本の司法の消極性をもたらしている要因として、裁判官でありながら、裁判官の人事や予算など司法行政を担当する最高裁判所事務総局の「司法官僚」に焦点を当て、その実態を明らかにするとともに、市民のための裁判所となるための司法行政改革について提言している。
    司法官僚という存在への着目は非常に興味深く、最高裁事務総局幹部のキャリアパスの分析などは良く調べられていると感心した。
    しかし、著者には権力=悪、市民=善というようなバイアスが感じられ、本書の主張には少し疑問も感じた。本当に、司法官僚による「支配」の実態はあるのだろうか。人事権限は確かに絶大だとは思うが、それはどこの組織でも同じで、特に司法だけ特筆すべきことだとは思えない。また、司法官僚が司法の消極性をもたらしているという主張は、多分に著者の憶測が混じっていると感じた。
    著者の提言については、裁判所情報公開法の制定などはどんどんやるべきだと思ったが、裁判官人事システムの改革など、他の多くの提言については、市民を入れた合議制の機関に任せればうまくいくというような市民への幻想が感じられて、あまり共感を覚えなかった。

  • 垣間見る事があまりないセカイだけに、なかなか興味深いです。ついでに某外郭団体あたりについての言及もあれば面白いのに、とか勝手なことを言ってみる。

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著者プロフィール

千葉大学名誉教授

「2020年 『概説 日本の公共政策 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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