平家の群像 物語から史実へ (岩波新書 新赤版 1212)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312123

作品紹介・あらすじ

「賢人」重盛、暗愚な宗盛、「運命の語り部」知盛、こころ弱き人維盛-。それぞれ『平家物語』の描きだしたイメージでよく知られる平家の人びと。しかし「実像」はどうだったのか。当時の貴族社会や合戦の現実に目配りしつつ、人物それぞれの動きを丹念に追うことで、新たな「史実」が浮かびあがる。歴史研究の醍醐味を味わえる一書。

感想・レビュー・書評

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  • 平家関連ですが、本のメインは清盛の孫維盛と五男重衡です。この二人が軸になっているので、今まで読んできた平家物語や平氏関連書籍とはまた違う歴史・史実が垣間見え、とても新鮮でした。平家物語で書かれている人物像と実際の人物像はかなり違うようで、平家物語はやはり「物語」なんだなぁとしみじみ感じました…。この本を読んで、宗盛や知盛の印象はかなり変わりました。平家物語や源平盛衰記ではカッコ悪い姿の宗盛、対照的に書かれている知盛ですが、実際の人物像は後世の人が作り出した部分が大きいようで、とても衝撃を受けました。新書で学術書ポジションだと思うので、気軽に入門書として手に取る方はいないと思いますが、ある程度平家物語のキャラクターや流れがつかめていないと難しい本だと思います。自分も人物相関図を睨みながらの読書でした。でも、新たな発見が多かった、いい出会いでした。

  • 平家物語の世界に慣れていると、重盛は知性の人、知盛は武勇の人、そして宗盛は愚人ということになりますが、著者はそれを徹底的に分析して、英雄・敵役を物語として語るために創られたものとして否定しているかのようです。そして 光源氏の再来と謳われた小松家の長男維盛、牡丹の花の猛将・重衡の2人に焦点を当てて、真相を探っていきます。「父太郎」と「母太郎」の対抗関係として、清盛と頼盛、重盛と宗盛、維盛と資盛などの関係が描かれておりますが、これなどは今までこのような見方を知らずに平家一門を見ており、新鮮でした。それにしてもこのような研究をすることの意味がどこにあるのか?といってしまうとオシマイなのでしょうね。私としては物語の登場人物の本当の姿の追究は実に楽しかったのですが・・・。平家政権が武士による最初の幕府だったという証明にもっと力を入れるとか、あるでしょうが。清盛が白河法皇の落胤という説を受け入れているということでも、この著者は随分捌けた人です。

  • 2022年5月23日購入。
    2023年1月26日読了。

  • 物語としての平家物語を頭に入れた上で、史実の側も...と見るのはとても面白かった!

    ・平家の「家」(p.12): 律令制では、親王、三位以上の上流貴族の「家」は公的な存在で、家政を掌る職員(家令)が官給されていた。...源氏と平家と呼んでも源家と平氏とは言わない。語呂の善し悪しの問題ではなく、両者の朝廷における位置の高下さによるものである。

    や維盛は嫡子か(p.35)なども、特にアニメ平家物語の中では維盛、資盛、清経と仲の良い兄弟のイメージが強いけれども昇進の差などめちゃくちゃ面白かった。

    あとは平家物語の中では将としてのイメージが強い知盛の病(p.88)の考察なども興味深く、勝手にプレイボーイ重衡と思っていたけれど、勇ましい部分に光を当てるのもまた面白い

    こういうアプローチの本をもっと読みたいし、やはり読み本系も読みたいなあ

  • 平氏のしかも清盛ではなく弟、息子、孫を中心に語られており新鮮でした。
    親族でない家臣団については語られてないのは残念。
    鵯越が義経ではなく多田行綱が行っていて逆落としはしていないって説は面白かった。

  • 時間切れでした
    平家物語に引きずられた歴史
    実像のほうがも~っと面白い

  • 平家物語のせいで
    平家はやたら悪者扱いされているけれども
    実を言えばそれを滅ぼした源家も
    結局は一部分が変わっただけで
    何も変わっていはいないんですよね。
    歴史は繰り返す…

    きっとやっかみがあったからこそ
    なお一層悪者にされたのだと思います。
    しかしながら木曽義仲は本当に扱いが悲しい…
    どこにも身の置き所がなかったからね。

    それと…巴御前出してない…
    この方波乱の人生送っているのに
    その後出したげてよぉ…

    平家がどうして滅んでしまったか…
    ちょっとの手腕がなかったとも
    人に裏切られたとも…
    いずれにしても人がすべてを握るんだと思うのです。

  • 2012年大河ドラマ『平清盛』に備えて、予習。

    <目次>
    序章 清盛の夢
    第一章 「賢人」と「光源氏」−小松家の「嫡子」
    第二章 「牡丹の花」の武将ーはなやぐ一門主流
    第三章 内乱の中の二人ー平家の大将軍
    第四章 平家都落ちー追われる一門
    第五章 市の谷から壇ノ浦へ−平家一門の終焉
    第六章 さまざまな運命
    あとがき
    主な参考文献

    「光源氏」に例えられるのは平維盛
    「牡丹の花」は平重衡

  • 平家の六波羅幕府が日本史上初の幕府とする高橋先生の清盛以外の平家の人々を描く作品
    物語と違い、学術的な検討が行われ平家の人々の違う一面を発見できます。

  • 清盛の弟や子供、孫、公家の平家の人間関係などからどう運命が変遷したかを分かりやすく記述していておもろかったー。

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