偶然とは何か――その積極的意味 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312697

作品紹介・あらすじ

偶然は避けることができない。確率論によってリスクを管理したり、合理的意思決定理論によって不運を消滅させることはできない。一方、生物の進化や人間の歴史を考えると、偶然の積極的な意味が見えてくる。偶然は、単に必然の否定といった消極的なものではない。偶然は想像力を刺激することによって、人生をより豊かなものとしている。

感想・レビュー・書評

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  • 「人生においては「運」「不運」はそれぞれに一回限りのもので、相互に打ち消し合うものではない。」

    「すべての人々に人間として必要な生活条件が保証されるべきであり、そのための費用をより幸運な人々が負担すべきであるという社会福祉国家の理念は最近ともすれば忘れられがちであり、ときには自由主義経済学者たちによって明確に拒否されている。」

  • 【まこ記入:2023.4.5】

    偶然とは何か?/竹内啓

    目的:偶然と必然の関係を知ること
    Q1:偶然って存在しますか?
    Q2:そもそも偶然の定義は?
    Q3:偶然への対応は?
    Q4:偶然って確率ですか?
    仮説(著者への問い)をしっかり持って読んだので、
    回答がどんどん得ることができました。
    ややマニアックな統計学の知識が多かったのですが、
    フォトリーディングのおかげで、無理に理解せず、
    読み飛ばしながらながら読むことができました。

    https://www.facebook.com/groups/898247247572913/permalink/1001137453950558/

  • 【1冊フォトリーディング】【マインドマップ】
    偶然とは何か?/竹内啓

    目的:偶然と必然の関係を知ること
    Q1:偶然って存在しますか?
    Q2:そもそも偶然の定義は?
    Q3:偶然への対応は?
    Q4:偶然って確率ですか?

    仮説(著者への問い)をしっかり持って読んだので、
    回答がどんどん得ることができました。

    ややマニアックな統計学の知識が多かったのですが、
    フォトリーディングのおかげで、無理に理解せず、
    読み飛ばしながらながら読むことができました。

  • 偶然を数学的に読み物として書くと難解になってしまう。
    かといって砕きすぎるとスナック菓子のようにかるくなってしまう。その点本書はとても良くまとまっていたと思う。

  • 756円購入2010-11-18

  • 確率論の概観から、偶然の哲学的意味、偶然性への対処の仕方まで幅広く論じている。読んでいて難しいところも(と言うか素人むけには明らかに説明不足の箇所も)あるが、結局のところ、わりと当たり前のことしか言っていない気がする。著者が批判するところの「『不確実性の下における意思決定の理論』により人は偶然の要素を排除して合理的に行動できるようになった」、なんて考えている人はそもそも余りいないんじゃないかと思うんだが。

    ・つり鐘型分布の前提として「偶然現象が重なるとき、その結果は和になる」というものがあるが、実際には乗法で累積したり、現象が互いに独立でなかったりする場合が多いのに注意。
    ・偶然と看做される現象が実際にランダムな系列を生じるか否かは、論理的には証明できないので、経験的に確かめる他ない。

    ・ネイマンの考え方:確率を頻度と同一視。統計的品質管理のように大量生産工場で多数のロットを処理する場合向け。
    ・フィッシャーの考え方:実験結果から客観的判断を下す時の論理。実験農場生まれ。
    ・ベイジアンの考え方:主観的確率。偶然変動を含む場に直面した主体の立場。

    「起こってはならない大事故」について確率論の無意味さを説いているのは、まさに「偶然」ながらタイムリー。

  • ・エントロピー増大の法則と情報量増大の法則
    ・ネイマン:統計的方法は機能的行動を示す。フィシャー:実験結果から客観的判断を下す時の論理。ベイジアン:偶然変動を含む場に直面して行動する主体の立場を表している。p.120
    p.136 ゴールトン:親が平均より離れても、子は平均にもどる傾向をregressionと読んだ。もとにもどる。

  • 偶然のもたらす運、不運による影響をできるだけ小さくするべし、運や不運は他人と分かち合える、との主張に共感

  • 【書誌情報】
    著者:竹内 啓[たけうち・けい](1933-) 統計学、経済学、科学技術論。
    シリーズ:岩波新書
    通し番号:新赤版 1269
    ジャンル:自然科学
    刊行日:2010/09/17
    ISBN:9784004312697
    Cコード:0240
    体裁:新書・並製・カバー
    頁数:238頁
    定価:902円

     偶然は避けることができない.注意したのに交通事故に合う.成功率95%の手術に失敗する.幸運は分配できるが,不運はすべて自己責任で引き受けるべきなのか.物理学,生物進化,確率論,金融工学などにおける「偶然と必然」を検討すると,偶然の積極的な役割が見えてくる.不運の分配とは,偶然の専制を逃れる方法である.
    [https://www.iwanami.co.jp/book/b226056.html]

    【目次】
    はじめに [i-vii]
    目次 [ix-xi]

    第1章 偶然と必然
    1 偶然をどう考えるか 002
    2 偶然の意味 013
    3 近代科学の決定論 022
    4 決定論の中の偶然性 029

    第2章確率の意味
    1 確率とは何か 038
    2 大数の法則と中心極限定理 050
    3 ランダムな事象 062
    4 主観的確率と賭けの論理 075
    5 確率の意味 082
    コラム 地獄行きは誰か? 087

    第3章 確率を応用する論理
    1 保険と大数の法則 090
    2 統計的推測の論理 096
    3 ランダム事象の積極的利用 103
    コラム 予言ダコの引退 120

    第4章 偶然性の積極的意味
    1 生物の進化と偶然 124
    2 歴史における偶然と必然 140
    3 人間の自由意志と偶然 154

    第5章 偶然にどう対処すべきか
    1 「運」「不運」と人間の主体性 162
    2「不運」の分配 169
    3 偶然と想像力 177

    第6章 歴史の中の偶然性
    1 大数の法則の時代 188
    2 大量技術の時代 194
    3 量から質への転換 199
    4 確実性の追求の時代 206
    5 偶然の再発見 216

    あとがき(二〇一〇年八月) [221-222]
    参考文献 [223]

  • 確率や統計の専門書を読みたい人は他の本を当たるべきだと思うが、哲学から歴史、確率論、心理学などあらゆる分野を横断した本はなかなかお目にかかることはできず知的な刺激を受けることができる。

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著者プロフィール

一九三三年(昭和八年)東京生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学経済学部教授、同先端科学技術研究センター併任教授、明治学院大学国際学部教授を歴任。東京大学名誉教授、明治学院大学名誉教授、日本学士院会員。統計学の理論研究で知られ、現代の科学技術社会の諸問題に関する評論も多い。『数理統計学』(日経・経済図書文化賞、東洋経済新報社、一九六三)、『無邪気で危険なエリートたち』(石橋湛山賞、岩波書店、一九八四)など著書多数。

「2022年 『数学の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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