ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312826

作品紹介・あらすじ

世界金融危機、そしてギリシャ危機に直面した欧州の統一通貨ユーロ。その役割と限界はどこにあったのか。導入から一二年となるユーロの歩みと通貨統合の歴史を振り返った上で、現状を分析し、今後の展望を示す。ユーロ圏が崩壊しないのはなぜか。危機の背後にある「リージョナル・インバランス」問題とは何か。

感想・レビュー・書評

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  • 「ユーロ 危機の中の統一通貨」田中素香著、岩波新書、2010.11.19
    235p ¥840 C0233 (2020.10.04読了)(2020.09.30借入)
    浜矩子さんの著作の積読が数冊あるので、少し減らそうと
    「ユーロランドの経済学」浜矩子著、PHP新書
    を読んだら、欧州連合とユーロについてほとんど知らないことに気がつき、下記二冊を読みました。
    「ユーロ その衝撃とゆくえ」田中素香著、岩波新書、2002.04.19
    「欧州連合 統治の論理とゆくえ」庄司克宏著、岩波新書、2007.10.19
    上記二冊で、大体わかったのですが、ついでという感じで、この本も読んでみました。
    「ユーロ」の本には、イギリスがユーロに参加していないためにイギリスのことは出てきません。ユーロに参加していないことが、イギリスのEU離脱につながったのかもしれませんね。

    ユーロが導入されたのは、1999年1月です。但し、現金は流通せず、銀行口座振替など帳簿上の取引のみ。(3頁)
    2002年1月から、ユーロの現金流通が始まった。(3頁)
    1月1日からユーロ現金が流通し、3月1日には預金振替も現金もユーロのみの「専一流通」となった。(6頁)
    ・ユーロの果たした役割(6頁)
    1、ユーロ圏の経済統合を大きく進展させた。
    2、ユーロ圏経済の安定化を実現した。
    3、ヨーロッパの基軸通貨、そしてドルに次ぐ世界第二の基軸通貨となった。
    ・ユーロ加盟国(7頁)
    1999年、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、アイルランド、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド(11か国)
    2010年までに、ギリシャ、スロベニア、マルタ、キプロス、スロバキアが加盟(16か国)
    2011年にエストニアが加盟の予定。
    ・ユーロ加盟のメリット(7頁)
    経済的に立ち遅れた国がユーロに加盟すると、国の信用力が強化され、金利が下がり、民間企業も国歌も資金調達のコストが低下する。ユーロ圏で同じ通貨を使用するから為替リスクがなく、ユーロ圏企業の進出が活発化し、雇用、輸出、経済成長を促進する。
    ・ユーロ加盟四条件(8頁)
    1、物価安定
    2、低い長期金利
    3、為替相場の安定
    4、財政赤字がGDP比3%以下、および政府債務残高が60%以下
    ・統一ドイツ(67頁)
    マルクを放棄する以外に統一ドイツが他のEC諸国に受け入れられる道はなかった。
    ・ユーロシステム(79頁)
    上部機関である欧州中央銀行と下部機関のユーロ加盟各国中央銀行から構成されている。
    ユーロ導入前から存在した各国の中央銀行の上に欧州中央銀行(ECB)をおき、政策金利やその他の決定を行う。決定事項は下部機関である各国中央銀行が実施し、欧州中央銀行がその実施状況を監督する。
    欧州中央銀行は1998年6月に設立された。(80頁)
    ・欧州連合加盟国(ネットより)
    原加盟国(1952年)
    ベルギー、ドイツ(加盟時西ドイツ)、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ
    第1次拡大(1973年)
    デンマーク、アイルランド、英国(離脱予定)
    第2次拡大(1981年)
    ギリシャ
    第3次拡大(1986年)
    ポルトガル、スペイン
    第4次拡大(1995年)
    オーストリア、フィンランド、スウェーデン
    第5次拡大(2004年(10ヶ国)および2007年(2ヶ国))
    キプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニア(2004年)
    ブルガリア、ルーマニア(2007年)
    第6次拡大(2013年)
    クロアチア
    EU加盟候補国一覧(5ヶ国)
    アイスランド、セルビア、トルコ、マケドニア(旧ユーゴスラビア)、モンテネグロ

    【目次】
    はしがき
    Ⅰ章 ユーロの歩み―一九九九~二〇一〇年
    Ⅱ章 ユーロ導入までの道のり―一九七〇~一九九八年
    Ⅲ章 ユーロはどういう仕組みなのか
    Ⅳ章 世界金融危機とユーロ
    Ⅴ章 ギリシャ危機と、ユーロ存亡の危機―二〇一〇年以降
    終章 ユーロ再考―課題と展望
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「EC統合 ヨーロッパの悪夢」宮崎正弘著、光文社、1990.03.30
    「ユーロランドの経済学」浜矩子著、PHP新書、2001.01.29
    「ユーロ その衝撃とゆくえ」田中素香著、岩波新書、2002.04.19
    「欧州連合 統治の論理とゆくえ」庄司克宏著、岩波新書、2007.10.19
    「ルポ 難民追跡――バルカンルートを行く」坂口裕彦著、岩波新書、2016.10.21
    (2020年10月14日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    世界金融危機、そしてギリシャ危機に直面した欧州の統一通貨ユーロ。その役割と限界はどこにあったのか。導入から一二年となるユーロの歩みと通貨統合の歴史を振り返った上で、現状を分析し、今後の展望を示す。ユーロ圏が崩壊しないのはなぜか。危機の背後にある「リージョナル・インバランス」問題とは何か。

  • ・金融政策集権、財政政策分離
    ・ギリシャがユーロを脱退→ギリシャドラクマ暴落→ユーロ建てのギリシャ負債高騰→デフォルト必至
    ・ギリシャ危機によりユーロ安のなったことでドイツは競争力上昇

  • 20181028-1105 2010初版なので既読かもしれない。
    2010年段階だと、ギリシャ危機がピークを迎えたころ。8年位前の状況を今振り返って読むと、なかなか面白い。まだシリアの難民問題は生じていないので、EU圏外からの大規模移民難民の流入も、生じていない。イギリスも金融危機が生じたので、ユーロ加盟が議論になったというのも、BREXITが大問題な2018年現在からみると隔世の感あり。

  • 手頃で手堅いユーロの入門書。ユーロのこれまでの実績、ユーロ導入に至る歴史、ユーロの仕組み、2010年時点までの世界金融危機やギリシャ危機とユーロとの関わり、ユーロの今後の展望がコンパクトにまとめられている。ユーロの構造的問題としての、競争力問題を中心としたリージョナル・インバランスの問題の指摘が興味深かった。
    著者は、ユーロの実績を高く評価し、ユーロの崩壊や解体はありえず、制度を前向きに改革するしかないという主張をしている。確かに、ユーロが全体として崩壊することはないだろうが、2015年時点で考えると、ギリシャのユーロからの離脱は避けられないのではないかと思う。ユーロをめぐる情勢は刻一刻と変化しているので、2010年時点までの情勢しかカバーしていないという点が本書の惜しまれる点である。

  • p-5「利回り格差」
    「ユーロ導入により、ユーロ加盟国の国債の利回り格差は一晩で消えた。」

    p-7「ユーロ加盟の利点」
    「経済の遅れた国がユーロに加盟すると、国の信用力が強化され金利が下がり、資金調達コストが低下する。ユーロ圏での為替リスクもなく域内の進出が活発化し、経済成長を促進する。」

    p-8「ユーロ加盟の4条件」
    1.物価安定:域内の物価安定上昇率が低い方から3カ国の平均から1.5%以内

    2.低い長期金利:1.の3カ国の10年国債の平均の2%以内

    3.為替相場の安定:ユーロとの2年間の相場安定

    4.財政赤字がGDPの3%以下および債務残高60%以下」

    p-25「シェア」
    ドル :86%

    ユーロ:37%

    円  :17%

    p-27「貸付高」

    ドル建て :3兆ドル

    ユーロ建て:1兆ドル

    円建て  :1000億ドル

    p-27「外貨準備高」
    ドル :62%

    ユーロ:27%

    p-28「ユーロ圏の収支」
    「経常収支はほぼ均衡⇒赤字のドルと違い世界にバラ撒かれていない。」

    p-29「基軸交代」
    「ユーロ圏が経済力を基軸通貨戦略に集中させる政治力、外交力を備えない限りあり得ない。今のところユーロにその意思はない。」

    p-38「4つの自由」
    「単一通貨地域には商品・サービス・資本・労働力の4つの自由がなければ経済の不均衡が生じてしまう。」
    ※実際は労働力の移動は難しい。やはり自国(いい国)で働きたいと思う。

    p-66「ドイツ統一」
    「ドイツはマルクを捨ててユーロになることに反対だったがドイツ統一(東ドイツもEC入りすること)と引き換えにユーロを認めたが、マルクをモデルにすることを要求した。」

    p-74「通貨危機」
    「EMS域内の為替変動をなくすと金利差を利用され通貨危機に陥る。ユーロ導入はその対抗措置でもある。」

    p-83「ECBの目標」
    「物価安定が達成されている限りにおいて、他の政策目標を支援できる。」

    p-85「金融調節法」

    「ユーロはインターバンク金利をオペにより誘導する通常の方法」

    p-90「単一金融政策のジレンマ」

    「ある国では高金利で不況を深刻化させる一方、ある国では低すぎてバブルを引き起こす。」

    p-94「制止措置」

    「財政赤字がGDP比3%を超えると、赤字の削減手続きを取らされる。」

    p-96「外貨準備」

    「ユーロシステムの外貨準備は4600億ユーロ、日本の半分、非常に少ない⇒市場介入をしないから」

    p-98「介入」

    「2000年に唯一介入し、ユーロ下落を食い止めた。」

    p-110「マーストリヒト条約」

    「ユーロ制度は平時の対応を決めただけで、リーマンショック後のような危機を準備してなかった。」

    p-116「住宅バブル」

    「基軸通貨ドルとかけ離れた高い金利を付ければ、資金が流入し資産バブルを起こす。世界はバブルになった。」

    p-151「ハードカレンシー」

    「ユーロ加盟国で流動性危機に陥った時、ECBは無制限にユーロを供与して銀行を救済する。ソフトカレンシーでは世界は受け取ってくれない。」

    p-158「スプレッド」

    「それまでは、ドイツとギリシャの国債のスプレッドはほとんどなかったが、リーマンショック後二つは同じ国債ではないことに気づき、2~3%に広がった。」

    p-165「ユーロ借入」

    「ギリシャは危機時ユーロを1100億ユーロ借入れた。自国で発行する国債を中央銀行が買えない条約があるからだ。」

    p-168「ドイツ世論」

    「ドイツ世論はギリシャ支援に反対だが、ユーロ暴落はドイツ人の生活に悪影響を及ぼすため、最終的にドイツ政府は支援を決めた。」

    p-172「IMFの参加」

    「EUの基本条約(リスボン条約)には危機に陥った国を義務で縛りつける規定はない。IMFの参加でそれが可能となる。また、IMFを通じてアメリカの意見が入ってくることは画期的である。ドイツのような内向的で世界経済に疎い国が主導権をにぎるEUにとって利益が大きい。」

    p-174「トリシェの後任」

    「ギリシャ危機でECBは各国の国債を買い続けた。その結果市場機能を回復させた。これに対し次期総裁候補のドイツのウェーバーは批判的。2011秋にウェーバーに交代したらどうなってしまうのか?」

    p-180「ギリシャのごまかし」

    「ギリシャ政府は財政赤字を過小評価し続けた。しかしEUはユーロシステム離脱の強制も検査する権限もない。」

    p-182「ギリシャ離脱」

    「ギリシャがユーロからドラクマに戻れば、ドラクマの暴落から負債は拡大し、間違いなくデフォルトする。」

    p-186「リージョナルインバランス」

    「ユーロ圏では、為替変動がないためインフレ国では競争力がなくなる。ドイツに有利、イタリア・スペインに不利。」

    p-188「リージョナルインバランス2」

    「ユーロ圏のリージョナルインバランスは各国の物価上昇率格差が是正されない限り構造的な問題として残り続ける。」

    p-190「ギリシャの返済」

    「2013年以降、450億ユーロを返済、その他合わせて800億ユーロとなる。」

    p-202「世界金融」

    「先進国の銀行は相互に資産負債を持ち合っているため、ユーロ危機は米英日にまで直ちに波及する。」

    p-203「陰謀」

    「ドイツ政府はギリシャ危機の問題として各国の経済発展水準の高低を無視している。ドイツにとっては競争力問題はドイツの競争力を引き下げる陰謀だという捉え方もある。」

    p-210「熱意」

    「EUの一体性が薄れてしまった。オランダのように熱心だった国ですら、21世紀に入ると顕著に冷めてしまった。戦争世代が引退し、「平和」が接着剤にならなくなったことも大きい。」

    p-212「ドイツの思い」

    「ドイツはすべてを手に入れた今日、EUでこれ以上新しい責任を持たされることに原則的に反対する。」

    p-222「フランスの思い」

    「フランスはアメリカ、イギリスと並んで世界政策を常に考えてる国。ヨーロッパ主導の世界を目指している。フランスにとってドイツ抜きのヨーロッパはありえない。」

    p-222「ドイツの思い2」

    「ユーロを離脱すれば、マルクは切りあがり製造業は大打撃を受ける。」

    p-224「経済政府」

    「フランスはリージョナルインバランスを縮小するような政策をとる経済政府の設立を提案するが、ドイツは反対。今後これが進まなければユーロの未来はない。」

  • 9784004312826 235p 2010・11・19 1刷

  • ユーロの成り立ち、長い歴史の中での現在の到達がよくわかる作品。ギリシャ危機といわれるものが、その後著者の予告のとおり解決に向かったことで、この著書の価値が判る。

  • ユーロ危機が叫ばれている。大学のゼミが欧州政治であった為、復習のつもりで読んだ。
    氏の見解(2010年著なので少し古いが)は、「ユーロは崩壊しない」という結論。
    通貨統合のもたらした意義と背景を丁寧に説明されているが、特に1990年以降急速に発展した金融経済(マネー経済)から欧州経済を守った意義が大きい。確かに、1992年のEMS当時の投機筋による欧州通貨危機と、それに続いたアジア通貨危機は、ユーロ発足を政治的な観点からも大きく前進させた。
    しかし、ユーロ発足後の欧州経済の発展は、当初の「シナリオ外」の好循環、つまりバブルであった。(財務的にわりと危なく、国債の金利が高かった国が、ユーロ発足後信用度が高まり国債金利が切り下げられ、資金が流入してバブルになった)ギリシャは粉飾を続けていた。欧州経済安定のために、欧州各国が支払った資金は5500億ユーロ(IMFは2000億ユーロを出資)ギリシャに続いて他の国も危なくなったら、独・仏などの国民の怒りは計り知れない。
    氏は、ドイツにとってユーロを手放すことは逆に損になるとしている。その理由は、マルクが高くなり製造業が大きなダメージを受けるというが、それは本質からずれて詭弁であるように思う。
    それでも、やはりユーロは崩壊しないだろう。少なくとも欧州内部から自壊することを必死に独、仏は食い止めると思う。
    ユーロは多くの欧州国民にとって前進/進歩の証であり、それを手放すことが改革と考える人は少ないのではないか。

  • 2章にユーロ導入までの道のりが書かれている。通貨統合を決定的にしたのは「ドイツ統合という戦後の世界政治の大転換であった。」
    通貨統合前の西ドイツの「世論調査では常に60%以上が通貨統合に反対であった。」
    「『EC統合とはドイツ問題である』といわれた。ドイツは20世紀、イギリス、フランスの植民地帝国主義に対抗して中欧地域に覇を唱え、二度のヨーロッパ戦争・世界大戦の口火を切った。EC統合は第二次世界大戦後に西ドイツを西欧に包摂して、仏独不戦体制の構築を目的にスタートした。ECとは西ドイツを平和のうちに西側体制に包摂するための知恵と努力の結晶であった。」
    しかし1989年11月のドイツ再統一によって欧州情勢は全面的に転換した。主権を回復したドイツがECを離れてソ連(あるいはロシア)と取引し、再び中欧に支配権を確立するような次のヨーロッパ戦争につながるかもしれないという警戒感がEC各国を支配した。
    「イギリス・サッチャー首相とフランス・ミッテラン大統領はドイツ統一に反対したが、ソ連の再強化を警戒したアメリカは強く統一を支持し、ソ連のゴルバチョフ大統領も統一に反対しなかった。米ソが支持するとなれば、イギリス、フランスが阻止するのは不可能であった。不可能とわかると条件闘争になる。
    EC諸国はドイツ統一を無条件に承認し、東ドイツを即ECに迎え入れ、また西ドイツの中央銀行制度を模範に通貨同盟を組織するという約束をした。その代償としてドイツはマルクを放棄し単一通貨を採用する。マルク放棄とドイツ財政のECレベルでの規制によって「独り歩き」を封じる。
    この取引をコール首相に代表されるドイツ支配層は受け入れた。ドイツ財務省の手になる当時のユーロ解説文献には、「マルクを放棄する以外に統一ドイツが他のEC諸国に受け入れられる道はなかった」と書かれている。
    マルク放棄を決意した西ドイツ政府は、統一通貨を西ドイツ風に制度化することを要求した。統一通貨はマルク同様に物価安定を目標とすること、欧州中央銀行制度は西ドイツ連銀制度をモデルにすること、などである。ECBの所在地がドイツの金融センターであるフランクフルトに決まったのも、その一環と考えられる。」
    「ドイツ統一がなければ、あれほどすんなりとドイツ型の通貨同盟が受け入れられることはなかったであろう。通貨統合を時代の風が後押ししていたのである。そしてこのことは、ユーロが『政治的通貨』というDNAを継承していることを物語っている。
    さらにコール首相の決断が非常に重要であった。コール首相は世論調査の結果が通貨統合に不利であってもまったく動揺しなかった。『欧州統合は平和か戦争かの問題だ』と繰り返し、世論を押し切った。統一ドイツが統一通貨の制度に組み込まれなければ、また戦争に向かうかもしれないという危機感をもっていたのである。ドイツ南部で敗戦の日を迎えた若きコールは鉄道が麻痺していたため故郷の街まで徒歩で帰ったのだが、その途上で見たドイツの町々は空襲で見るも無惨に破壊されていた。『ドイツは二度と戦争をしてはならない』と念じて彼は政治家になった。」
    2010年6月に開かれた80歳の祝賀会においてコールは「ドイツ人がドイツのことだけを考え、ギリシャやユーロ圏全体のことを考えないことに警告を発した。戦争体験世代が政界からいなくなった21世紀のヨーロッパに危機感を抱く人は少なくない。」

  • 教科書的な所が多かったけど、後半になるにつれ面白かった。物価の安定、金利の安定って日本じゃ感じないけど、大切なんだな。

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著者プロフィール

東北大学名誉教授

「2022年 『現代ヨーロッパ経済〔第6版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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