人が人を裁くということ (岩波新書)

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著者 : 小坂井敏晶
  • 岩波書店 (2011年2月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312925

人が人を裁くということ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  •  はじめに。もしも裁判で犯人が確定でき、もしも犯罪の理由が解明できるなら、犯罪の真相は究明され、犯人を罰し、同じ犯罪が再び起きないよう予防措置を講じ、そして被害者の無念を晴らすことだろう。司法への市民参加は義務か。ある確率で必然的に生じる冤罪の構造とは何か。真犯人を見つけることはできるのか。人間という存在を見つめ直す新たな光はあるか。

  • 思考実験に最適でした。

  • 法とは何か。裁判とは何か。
    それを考えさせられる良書である。

    職業裁判官にしても、裁判員にしても、
    人が人を裁くという構造は変わらない。

    では、職業裁判官が裁くことと、市民が裁くことの意味はどのように違うのだろうか。

    人が人を“正しく裁く”ということはできるのだろうか。

    裁くという行為の裏側にあることを、
    丁寧に掘り下げていく。

    法体系も裁判の様式も国によって異なり、
    裁判の意味さえも国によって異なるという。

    真実を究明する場か、断罪する場か。
    更生を求める場か、被疑者の恨みをはらす場か。



    誰がさばこうが、冤罪のリスクは少なからず残る。
    また冤罪を極力避けようとすれば、犯罪者をそのまま野に放つリスクが高くなる。

    このトレードオフの構造の中で、
    裁判は行われる。

    人が判断することなので、完璧なものなどあり得はしないし、
    簡単に、どの制度がよいとか論じられるものではない。

    しかし、人が人を裁くというその行為がどんな意味をもっているのかは、
    各自が自覚しておくことが必要なのではないかと思わされる。

    裁判員に選ばれて、裁判に参加することは、
    国民が勝ち取った権利なのか、それとも義務なのか。

    いくつもの問いが浮かんでくる。

    “なぜ市民が裁くのか。職業裁判官の日常感覚は一般人とずれているから素人に任せる方が良いというような実務上の話ではない。犯罪を裁く主体は誰か、正義を判断する権利は誰にあるのか。これが裁判の根本問題だ。誰に最も正しい判決ができるかと問うのではない。論理が逆だ。誰の判断を正しいと決めるかと問うのだ。人民の下す判断を真実の定義とする、これがフランス革命の打ち立てた理念であり、神の権威を否定した近代が必然的に行き着いた原理である。”

  •  大学のレポートの課題図書。
     著者は法律の専門家ではなく、社会心理学者であるせいか、本書法律学というよりも社会学、哲学チックに書かれているため、難しくなく、スラスラ読むことができた。裁判や捜査の仕組みを一から解説していたり犯罪そのものの定義について詳しく書かれている。法律を勉強している大学生は一度読まれてみてはいかがだろうか?

  • 前半の各国の陪審員制度の解説は、各国民の考え方が判って面白かった死刑制度の部分は、過去の歴史部分が興味深かった。アメリカとフランスの法概念の違いって、大きいんだと実感。

  • 一見すると、裁判のみに焦点を当てた本かと思うかもしれないが、心理学、社会学、哲学の分野に話が広がっているので、少し圧倒されるかもしれない。
    けれども、様々な視点から問題を捉えようとする筆者の姿勢であると私は感じたので、評価に値すると思いました。

  • 難しい本だったけど読んでためになりました。
    冤罪のできる過程とか。
    以前島田荘司さんの「奇想、天を動かす」って本で社会秩序を守るためにスケープゴートとして逮捕された人の話がでてきたけど、小説の中だけの話ではないと実感しました。しかし勿論それを肯定するわけでもなく否定もできないのかなと思いました。
    何を基準に善、悪を決めるのか等答えのない疑問について書かれています。
    1章、2章がそんなかんじだったけど、3章はなんか哲学っぽい話で読んでてよくわからんかった。

    また時間ができたときにでも読み返してみようかな。

  • 内容が濃くて読むのに時間がかかるが、多くの人に読んでもらいたい本だ。犯罪を処罰することに対して、私たちの常識がいかに間違っているかがよくわかる。

  • 裁判員裁判の話かと思ったら、最終章はかなり哲学的なテーマに切り込んでいるのでよくみたらこの筆者は法律家ではないのでしたのね。パラドックスに満ち溢れた司法というものを垣間見た。いかに自白がつくられるかという部分は恐ろしくも感じた。犯罪はなくならない。犯罪のない社会はすっかり煮詰まって進歩もなく同じ考えで同じ価値観の同じ顔をした人間がうろつくだけの社会と同じ、というところにもなるほどなーと思うところがあった。

  • これまた面白かった。自分の信じていた論理の前提を崩されていく感じがして、それでも踏ん張ってついて行くという“読み方”をしなければならない本。なかなかタフです。
    後書きに書いてあるとおり、多少途中であれ?と感じる箇所(それは今さっき否定したことを暗黙の前提にしちゃってんじゃないの?)があるが、それ自身も含めて読み応えがある。
    人が人を裁くということを通じて、「答えのない問い」にどう向き合えばいいのかを論じている。これは読むべき一冊だ。

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人が人を裁くということ (岩波新書)の作品紹介

我々は裁判の意味を誤解していないか。市民の司法参加が義務として捉えられる日本と、権利として理解される欧米。この違いは何によるのか。また、冤罪事件が繰り返されるのはなぜか。本書はそこから分析を進め、裁判という営みの本質に迫る。犯罪や責任、処罰についての我々の常識に挑み、人間という存在を見つめなおす根源的考察。

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